「キラキラネーム」で輝かない子供の未来
石井 孝明🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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最近、難読の名前の子供が増えたように感じる。いわゆる「キラキラネーム」である。親を責める声も出ているが、この傾向をどう分析すればいいのだろうか。
◆「読めない名前の子供は遺伝により頭が悪い」?
ある人気ユーチューバーが3月17日、児童ポルノ禁止法違反の罪で逮捕された。その本名が、難読だった。それに「ひろゆき」氏がTwitterでコメントした。
「親の知能は子供に遺伝します。 他人が自分の子供を呼ぶために、名前をつけるのですが、一般的に読めない名前をつける親は頭が良くない可能性が高いです。よって、読めない名前の子供は遺伝により頭が悪い可能性が高いです。 と言う話をしてたら、また実例が増えました。」(3月17日午後8時20分投稿)
これには賛否両論が出たが、批判が多かったように思う。
この問題について、米国で難読の名に対する様々な研究が出ている。(以下慎重な言い回しをするが)難読の名前の子供が、遺伝的に頭が悪いという研究結果は見つからない。しかし、名付けの選択は親の社会での立ち位置を示し、その親が子供の人生に影響を与える可能性はある。難読や、派手な名前(いわゆるキラキラネーム)をつける親は学歴、所得の面で、平均より劣る傾向がある。おそらく、そうした親の影響として、変な名前の子供は刑事罰の多さ、所得水準や学歴が低いなどの傾向が出ている。
米国でこうした統計的に分析した名前と所得の研究が経済学や社会学で蓄積されているのは、同国での人種差別と人種間格差の解明のためだ。15年ほど前のベストセラー、「ヤバい経済学」(邦訳・東洋経済新報社)に、研究が紹介されている。
米国では珍名が親の就学年数の短さや所得の低さと関係する傾向にある。例えば2005年当時、親の教育年数が低い名前の女の子のトップ3は1位エンジェル(天使、Angel)、2位ヘブン(天国、Heaven)、3位ミスティ(霧深い、Misty)という。筆者は英語を母語にしないが、確かに変な感じがする。
◆「痴女」という名の少女の末路
同書では、奇妙な例をあげている。ディズニーのアニメ映画アラジン(1992年)では、非白人のヒロイン「ジャスミン」(花の名前から)が活躍した。その後、ジャスミンが非白人の名付けで流行した。ところが「Jasmine」というつづりがわからず、間違ったつづりで登録された名前が、かなり増えたという。
ある州の家庭裁判所に、テンプトレス(Temptress、痴女という意味)という15歳の素行不良の少女がきた。裁判官が審問に出席した母親に、なぜ名付けたのか聞くと、テレビで見て気に入った女優からとったと言う。しかし女優の名前はテンペスト(大風、Tempest)で、後からつづりの間違いに気づいた。「痴女」の単語の意味も後から知ったが、改名しなかった。困った母親に育てられた子供がかわいそうだ。
近年はそうでもなくなりつつあるが、米国では社会を主導するアングロ・サクソンの文化が社会規範に色濃く出ている。同書によれば、米国の新移民、また黒人社会では1960年ごろから、そうした社会に反発するために、白人的な名前と違うオリジナルな名前をつけるのを誇らしいとする動きが出たそうだ。
筆者が思いだす例は、オバマ元大統領の名前だ。ケニア人留学生のムスリム(イスラム教徒)の父と白人女性の間に1961年に生まれたオバマ氏のフルネームは「バラク・フセイン・オバマ」で、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖典である旧約聖書からの名前「バラク」(稲妻、光の意味だが、米国では珍しい)、ムスリムの名「フセイン」が入っている。
ところが、米国ではマイノリティは社会的弱者のままであることが多かった。一方で、変わった名前をつける流れも残った。米国の難読名の問題は、親の社会能力の問題に加えて、こうした同国特有の複雑な歴史、社会状況とも重なっているようだ。
日本は社会と文化が他国に比べて均質で、民族も大半が大和民族だ。米国ほど人種で名前の差は出ていない。しかし、似た傾向が少しあるようだ。(以下はネットで集めた情報)人気予備校講師の林修氏があるテレビ番組で語った話がある。テストの後で、高得点を取った順に名前を見ると、下位で途中から急に名前が読めなくなったという。また林氏によれば東京大学の合格者名簿では全員、名前が読める。米国と似た状況があるのだろう。
日本でも昔から、難読やキラキラネームの問題はある。800年前の随筆集の徒然草に「人の名前で見なれない珍しい漢字を付けるのがはやっているが、くだらない。どんなことも珍しさを求め、一般的ではないものを好むのは、薄っぺらな教養しかない人(浅才の人)が必ずやることである」(116段、要約と翻訳は筆者)と書かれている。つまり、完全否定している。
◆例外もある、心配しすぎてもいけない
もちろん「変な名前をつける親は社会性に問題がある」と、必ず成り立つわけではない。例外も当然ある。
例えば、明治の文豪で陸軍軍医総監・中将、東京帝国大学医学部卒、ドイツ留学、文学博士で大きな知的業績を残したと森鴎外は、子供の名前が当時の基準でも変わったものだった。
彼は長男・於菟(おと)、長女・茉莉(まり)、次女・杏奴(あんぬ)、次男・不律(ふりつ)、三男・類(るい)と名付けた。いずれも、ドイツ、フランス系にも読める名前だが、明治の日本ではかなり違和感があり目立つ。
名前をつけられた子供たちは、社会的に業績をあげた人がいる。鴎外の子孫は現代でも活躍しているが、失礼ながら変わった名前の人が数名いて、森一族では風変わりな伝統が受け継がれているようだ。
変な名前を持つ人も、過度に心配してはいけない。
◆日本で増える難読な名前
ただし気になることがある。日本でも難読、キラキラネームが増えているのだ。
子供用品のメーカー赤ちゃん本舗の新生児の2019年の名前調査では、男の子で3位に陽翔(はると)、7位に大翔(ひろと)、女の子に1位に陽葵(ひまり)、2位に芽依(めい)という名前が入っている。かなり変わった字と読み方だ。上位ランキングには他にも読めないものが多い。
もちろん、こうした名前を持つ子供に責任はない。ただし、私が説明したようなことを知る人は、親の社会の向き合い方を憶測する人がいるかもしれない。そして子供が日常生活で、困ってしまうことがあるかもしれない。
子供の幸せを祈るなら、「常識」が影響する範疇で、名前をつけた方がいいだろう。名前という人生の最初から影響を与える問題で、子供に奇を衒(てら)ったことをさせる必要はない。
石井様 興味深く拝読致しました。石井氏の投稿は、いつも読み応えが有り、楽しみにしています。有難うございました。
ありがとうございます。
石井様
何回かコメントさせて頂きました。
それに際しご挨拶もせず大変失礼致しました。
お詫び申し上げます。
署名記事であるにもかかわらず、何故か記事のみに思考が集中していた感があります。
今般の記事から、
語彙が増えるとIQが上がるとの説を思い出しました、無論仮説ですが、何となくわかる気がします。
言霊とか言われるように、言葉にはその世界、宇宙がある、、
それ故言葉を覚えると思考が深まる、よって脳神経細胞も賦活される、素人也にこんなところかと。
教育レベル、所得格差、ある階層に見られる傾向、知能が低い説はいざしらず、語彙量説と脈絡を感じます。
難解な名前?
広義に話し言葉を含む日本語の衰退なのでは、、
その原因、要因は種々あると思います。 時代劇の消滅もその一つ!!(時代劇好きであります。)
衰退が適切でなければ、表現、言葉、新たなものが生まれる、、時代は変わる、、
いや、やはり衰退なのでは、
日本語表現の深み、言葉の裏読みができる、それ故つちかわれる感性、知力、語彙量とIQの関係にも似て、 それが失われて行く、、
自分にそれがあるかは(>_<)
山本周五郎の作品に日本婦道記なる一連の作品、ネットで女性による朗読があります。
その言葉使いたるや、女性という性、その美しさ、その資質、女性は男とはまったく異なる生き物であることが如実に浮かび上がります。その言葉使いは多少現代にも通用する。
女性故の女性を女性たらしめる言葉、その表現、これを称えたならば
フェミニスト達が嫌悪、憎悪すること必定。
これは話し言葉のことですが、難解な名づけ、それが増えているとしたなら何故か、、
種々思い浮かびます。
鬼滅の刃、鬼滅も造語でしょう、ゴロはいい、こんな感覚的な、その表現での名づけ、その世代、
刃(やいば)というと私(私の世代?)は刀の刃の部分を感じてしまいます。
刃を合わせるとは、真剣で切り結ぶ、さらに刃と刃を合わせたつばぜり合いを思う、刃を向ける、というと短刀も思い浮かぶ、、刃物など、
白刃、はくじん、しらは も綺麗なひびきですね、
私の世代は日本刀とは言いませんでした、刀と、日本人がわざわざ日本刀とは、そんな世代、
鬼滅の刀(かたな) 鬼滅の剣(つるぎ) 鬼滅の白刃、やはり鬼滅の刃がいい感じか、、
日本は、日本人は変わっていく、和製英語を使いながら、、
失礼しました。
御返信は御不要であります。