高田氏謝罪も会社沈黙 許されないトカゲの尻尾切り

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 wakatte.TVの福島大学での発言問題で、高田史拓氏が謝罪動画を公開し、自らの暴言について謝罪した。ただし、あくまでも高田氏個人の謝罪の場であり、高田氏が取締役を務める株式会社A.verの法人としての責任については全く触れられていない。問題を発言者個人に帰する形となっており、武田塾を運営する株式会社A.verの法人としての姿勢が問われる。

◾️謝罪したのは高田氏個人

画像はイメージ(AIで生成)

 高田氏は9月5日、wakatte.TVで謝罪の動画を公開した。冒頭から「私の不適切な発言、大変申し訳ございませんでした」「今回の、私の発言、本当にひどい発言だったと、深く深く、反省しています」と謝罪。「もっともっと考えて発言すべきだった、動画を公開すべきだった」と、自らの発言と動画公開について落ち度を認めた。

 さらに、福島大学で行われている原子力研究や東日本大震災、福島第一原発事故への認識について、「当時はそこへの認識が正直甘かった」「そこを軽率に扱ってしまった」と述べている。

 当初、問題動画をいったん非公開にした後、説明テロップを付けて再公開したことについても、「その判断についても大きな誤りがあった」とした。「問題になった後すぐ、誠心誠意謝罪をするべきだった」として、その後の対応についても自らの誤りを認めている(以上、wakatte.tv:【お詫び】福島大学キャンパス調査の動画の件について謝罪させていただきます)。

 高田氏は一貫して「私の発言」「私の対応」について責任を認めるのみで、自身が取締役を務めるA.verについては言及がない。A.verがこの問題をどう認識し、法人としてどのような責任を負うと考えているのか、再発防止をどうするのか、高田氏に対してどのような対応をするのかといった点について、高田氏からは全く説明されていない。

 A.verの取締役が起こした問題について取締役個人が謝罪し、法人は表に出てこないというのが、謝罪動画の内容、スタンスである。

◾️プロデューサーは明確な謝罪なし

音畑プロデューサーのイメージ画像(AIで生成)

 ほぼ同時刻にwakatte.TVの音畑プロデューサーも、自身のチャンネルで動画を公開した。冒頭、福島大学関係者や被災者らについて、「その発言で傷ついた人たちに対しては本当に申し訳なかったなという気持ちで、いろいろお話しさせていただければと思います」とは述べたが、高田氏のように明確な謝罪を行ったわけではない。

 動画では、今後の番組の方向性を説明するとともに、「コンプライアンスという言葉の意味も分からず時代とともに広がったせいで、コンプライアンスを履き違えた初見の通りすがりが正義感を振りかざして暴言を吐いていくという、よく分からない循環がおかしいなとは思います」と批判する側に対して厳しい言葉を向けた。

 さらに、一定の批判者については「そこはお客さんでも何でもないから『外野は黙っとけ』となりますよね」とも話している。

 もっとも、音畑氏は問題動画の再公開について「自分の責任です、再放送しろと言ったのは」と認め、制作体制についても「スタッフ全員が『wakatte病』にかかっている」と述べ、内部だけで編集やコンプライアンスチェックを行っていたことの問題を認めた(以上、ネバタイズム・【緊急】福島大学の件に絡む炎上によるwakatteの今後について #517)。 

 つまり、一部の批判者に対しては強い反発を示すと同時に、制作側にも問題があったことは認めたのである。

 さらに、A.verの創業者である林尚弘氏は、高田氏の謝罪動画を取り上げたXの投稿を引用し、「wwwwww」とコメントした。A.verの取締役が、自らの発言を「本当にひどい発言だった」と認めて謝罪しながら、その謝罪動画をめぐる投稿に、A.ver創業者が「wwwwww」と反応する。

 この一連の動きを見る限り、少なくともA.verという法人が今回の問題について責任を認め、真摯に対応している姿は見えてこない。高田氏個人が引き起こした問題を、高田氏個人が謝罪して終わらせる。そのような処理になっているように見える。そのような行為の外観から、法人としての責任を回避するための対応ではないかという疑問も生じる。

◾️高田氏個人の問題で済むのか

 今回の件を「あくまでも高田史拓氏個人の問題」として処理することには疑問が残る。その理由はごく単純なものである。

(1)高田氏はA.verの取締役である。

(2)wakatte.TVは、A.verと全く無関係な番組として扱われてきたわけではない。

 武田塾のFC加盟説明会では、A.verの梅宮社長自らがwakatte.TVのスクリーンショットを示し、「wakatte.TVというウチの講師がやっているチャンネルなんですけども」と説明した上で、「よかったら、ぜひ見ておいてください」と加盟希望者に視聴を勧めている。

 このように、A.verは少なくともFC加盟募集の場で、自社の取締役が出演するwakatte.TVを武田塾に関係するコンテンツとして紹介し、加盟を促すための材料の一つとして利用していたのである。2021年にはwakatte.TVは、A.verが配信している番組として外部媒体で紹介されている(Adver Times.・YouTubeマーケティングの先駆者Suneight 5万本超のデータから導き出す「動画SEO」)。

 高田氏の謝罪動画ではA.verについて一切触れられず、A.ver自身も法人として見解を示していない現状を見ると、高田氏個人の問題で処理されることには疑問が残る。そのような不自然な状況となっているのは、この問題がFCオーナーに対する損害賠償責任にもつながり得るからと考えることができる。今回の問題でFCオーナーに損害が発生し、A.verの義務違反とその損害との因果関係が認められれば、同社が賠償責任を負わされる可能性がある。

 そもそもA.verは武田塾の運営会社、フランチャイズ本部である。全国のFCオーナーは、A.verと契約を結び、「武田塾」の名称やブランドを使用して校舎を経営している。加盟金やロイヤリティーを支払うのは、武田塾というブランドが持つ信用や知名度を利用して事業を行えることに経済的価値があるからである。

 当然、フランチャイザーであるA.verは、そのブランドを維持する義務がある。FCオーナーはそのブランドを信頼してフランチャイズシステムに加盟しているのであり、本部がその信頼を毀損する、ブランド価値を低くする行為をすることが許されるはずがない。

 この件で参考になるのが、不二家フランチャイズ事件である。裁判所はフランチャイズ本部について、「その使用を許諾した商標、サービス・マーク等のブランド価値を自ら損なうことがないようにすべき信義則上の義務を負うものというべき」と判断した(東京地裁判決平成22.7.14)。

 仮に武田塾のFC契約書に「本部はブランド価値を維持しなければならない」との明文がなかったとしても、それだけでA.verがブランド価値維持義務を免れるわけではない。

◾️高田氏の謝罪で何が変わったか

 今回の問題でFCオーナーに損害が発生した場合、高田氏の謝罪動画は、本部側の責任を追及する上で重要な材料となり得る。高田氏自身が「本当にひどい発言だった」「認識が正直甘かった」「軽率に扱ってしまった」と認め、動画再公開の判断についても「大きな誤りがあった」と明言したことによって、「そもそも高田氏の発言には問題がなかった」「世間が勝手に誤解しただけである」と説明することは難しくなった。音畑プロデューサーも、再公開を自ら判断したことや、制作側のチェック体制に問題があったことを認めている。

 つまり、この問題は高田氏がロケ先で言い間違えたというだけのものではなく、公開前のチェック、炎上後の再公開まで含めた番組制作側の問題でもあった可能性が明らかになったということである。そして、その番組をA.verは過去にFC加盟説明会で紹介していた。

 これらの事実は、A.verが将来、法廷において「wakatte.TVは当社とは無関係である」と主張した場合、それに対する反証材料となり得る。さらに、高田氏のロケへの参加がA.verの業務として扱われていたのか、交通費や宿泊費などを同社が負担していたのかも重要である。仮に、会社の指示や了承の下で業務として参加していたり、同社がロケ費用を業務経費として負担していたりなどの事実が明らかになれば、番組と同社の業務上の関係を裏付ける材料となる。その場合、「高田氏個人の活動であり、当社とは無関係」との説明は、一層困難になる。

 さらに問題となるのは、今後のA.verの対応である。沈黙したことだけで、直ちにブランド価値維持義務違反になるわけではない。しかし、取締役本人が問題を認めて謝罪し、制作責任者も番組制作上の問題を認めたのである。さらに福島大学は学長名で声明を発表し、文部科学大臣まで問題に言及した。ここまで事態が大きくなった以上、A.verが武田塾ブランドを守るために何をしたのかは当然問われる。

・高田氏から事情を聴取したのか。

・FCオーナーに経緯を説明したのか。

・加盟校に苦情が来た場合の対応を示したのか。

・再発防止策を講じたのか。

・wakatte.TVとの関係を今後どうするのか。

・取締役である高田氏について、会社としてどのような対応をするのか。

 こうした点について説明せず、実際にもブランドを守るための合理的な措置を講じていなかった場合、将来FCオーナーから、「A.verは武田塾ブランドが毀損される具体的な危険を認識していたにもかかわらず、必要な対応を怠った」と主張される可能性がある。

 まして、謝罪を取締役個人にとどめ、A.verが法人として説明をしないまま、創業者がその謝罪動画をめぐって「wwwwww」と笑うような反応を示している状況が続けば、「法人として責任を負うことを避け、高田氏個人の問題として処理しようとした」と評価される材料にもなり得る。

◾️次に問われるのは株式会社A.verの責任

林尚弘氏のイメージ(AIで生成)

 高田氏の発言が問題になって以降、A.verが法人として謝罪したことは確認されていない。一方、創業者の林尚弘氏は、高田氏の謝罪時の服装を茶化した投稿を引用し、「wwwwww」と反応した。取締役本人が謝罪する中、創業者がその謝罪を笑いの材料にするような態度は、問題を真摯に受け止めているのか疑わせる。

 高田氏個人が謝罪したことで、この問題が終わったわけではない。むしろ、取締役本人が自らの落ち度を認めた現在、次に問われるのは、株式会社A.verがフランチャイズ本部として「武田塾」というブランドを守るために何をするのかである。

 A.verが今、すべきことは法人としての責任を認め、真摯に謝罪し、再発防止に努めることである。創業者の林尚弘氏もX上で批判する者に挑発的なポストを続けるのではなく、同社が真摯に対応するよう働きかけるべきではないのか。このような姿勢を続けていると、全国の武田塾の経営に危険を及ぼし、A.verが損害賠償を請求される可能性があることを、真剣に考えた方がいい。

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