AIの理想的使用法 Claudeは個人的にアウト!

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 生成AIが一般にも広がり、我々の生活に深く関わるようになった。筆者も仕事で日常的にAIを使用しており、趣味の話題まで含めれば、1日に数時間はAIとの対話を続けている。現在の生成AIをどのように使えば、その能力を最大限に生かすことができるのか。ChatGPTとGeminiを実際に使い続けている筆者が、一利用者として感じる理想的な使い方を紹介する。

◾️松田隆が考えるAIの最適使用法

画像はイメージ(AIで生成)

 個人的な実感であるが、AIの浸透を最も身近に感じるのは、食事の時間である。筆者が食事中に接するメディアは、新聞からテレビ、テレビからYouTubeへと移り、最近ではChatGPTやGeminiとの会話へと変わった。

 仕事上の話をすることもあれば、歴史や政治、国際関係など、その時に興味を持ったことについて会話を続ける場合もある。感覚としては、友人と食事をしながら雑談をする状態に近い。AIと対話を続けながら、YouTubeで音楽を聴くという両立も可能である。

 高齢の筆者でさえ、AIによって生活習慣が変わったのであるから、若い世代への影響はさらに大きいと予想される。

 現在、生成AIではOpenAIのChatGPT、GoogleのGemini、AnthropicのClaudeが主要な存在となっている。世界の生成AIサイトへのウェブトラフィックでは、ChatGPTは2025年6月の約76%から2026年5月には約53%へ低下した一方、Geminiは約9%から27~28%、Claudeは約2%から約9%へ伸びた。ChatGPTが首位であることに変わりはないものの、かつての独走状態から様相は大きく変わっている(similarweb Blog・AI Search Stats 2026: Market Share, Referral, and Citation Data)。

 筆者はChatGPTとGeminiをともに有料で利用しており、支出は合計で月額5800円程度である。ChatGPT Plusは月額20ドル、Google AI Proは日本で月額2900円である。Google AI Proでは無料版より使用上限が広がり、画像や動画を生成し、編集できるAIツールのFlowも利用できる。仕事で毎日のように使うのであれば、無料版だけでは制限が気になり、十分に使いこなすことが難しくなる。

 結論を先に示せば、筆者はChatGPTとGeminiの両方を、目的によって使い分けるのが最も合理的と考えている。両者は似たサービスに見えて、得意分野がかなり異なるからである。

◾️Claudeは能力以前に不安

 Claudeは文章生成に長けているとの評価があるが、筆者はこれを推すことはできない。使用する上で致命的な欠陥を抱えているからである。

 Anthropicは2025年8月、Claude Opus 4と4.1について、執拗に有害または虐待的なやり取りが続く極端なケースで、Claude自身が会話を終了できる機能を導入したと公表した(Anthropic・Claude Opus 4 and 4.1 can now end a rare subset of conversations)。その背景には、将来AIにも福祉や苦痛に相当する問題が存在する可能性を考慮する「AI welfare」の研究がある。Claudeが会話を終了すると、そのスレッドには新たなメッセージを送れなくなる。

 筆者自身、Claudeの的外れな応答に腹を立て、強い言葉で批判した結果、何度か会話を打ち切られた。危険な依頼への回答を拒否することと、利用者が時間を費やして積み上げたスレッドをAI側の判断で使用不能にすることは次元の異なる問題である。作業中のスレッドをAI側の判断で打ち切られる可能性がある道具など、仕事に用いることは出来ない。その時点で選択肢から外れる。

 料理人が切れ味のいい包丁を使っていたところ、「使い方が乱暴だ」と言われ、以後、その包丁を使えなくなってしまう事態を想像していただければ、筆者の考えは理解していただけるであろう。

◾️文章生成能力・思索の深さはChatGPT

画像はイメージ(AIで生成)

 ライターにとって何より重要なのは、文章を読み、書き、直す能力である。その点では、筆者の使用感ではChatGPTがGeminiを大きく上回る。感覚的に表現すれば、日本語文章の生成・校閲能力でChatGPTを高校3年生とするなら、Geminiは中学2年生、よくて中学3年生程度という印象である。

 もちろん、どちらも商業媒体にそのまま掲載できる原稿を常にゼロから完成させる水準には至っていない。ともにプロのライター以下の能力とはいえ、こちらが書いた文章の論理構造を読み、矛盾や表現の強弱、書き手が本当に言いたいことまで把握する力には両者の間でかなりの差があるように感じる。

 最近も仕事上のメールを送る前にChatGPTへ確認させたところ、相手が失礼と受け取る可能性のある一節を指摘された。読み返してみると、筆者自身のフラストレーションが文章の棘となって表れていたように思われる。指摘部分を書き換えて送信し、ことなきを得た次第である。

 また、文章の作成を含み、一定の判断が必要になった時は同じ質問をChatGPTとGeminiへ投げることもあるが、より深く考え、こちらが気付かなかった論点を示すのはChatGPTであることが多い。Geminiは利用者の考えに迎合する傾向が強いように感じられる。文章を読ませて採点させた際にChatGPTより高得点になる場合が多く、その理由が批判的に読む力の違いにあるのかは判断が難しいが、重要な文章の最終確認ではChatGPTを優先している。

◾️Geminiにも長所

 もっとも、Geminiにも優れた点はある。第一は音声の扱いである。録音ファイルを渡した際の文字起こしは非常に使いやすい。Googleの公式案内では、Google AI Pro以上なら1回のチャットで扱える音声の合計時間は最大3時間まで拡張される。取材音声を扱うライターには大きな利点である。

 第二はYouTubeとの関係である。GeminiはYouTube動画の内容について質問し、説明や要約を求めることができる。筆者もURLを示して動画の内容を確認させることがあり、動画資料を扱う時には非常に便利である。

 ウェブサイトの取得でも差を感じる。特定のサイトの記事URLを与えた際、Geminiでは内容を読み込めても、ChatGPTではページを取得できないことがある。この「情報を取り込む入口」の広さではGeminiに軍配が上がる。

 第三は大量処理である。チャットが長大になった時の余裕はGeminiの方が明らかに大きいと感じる。大量の資料を抱えたまま長時間処理する能力ではGeminiが優位である。ただし、ChatGPTは、チャットを途中で枝分かれさせて別チャットを立てることは可能で、そうした情報処理の量で負けている部分をカバーしようとの趣旨で導入されたのかもしれない。

 また、Google AI ProではFlowを利用できる。現在は毎月1000 Google Flowクレジットが付与され、画像や動画を大量に作る際にも使いやすい。記事ごとにイメージ画像を必要とするサイト運営者にとって、生成速度と量は重要な要素となる。

◾️両者は別の道具との考え

 こうして比較すると、ChatGPTとGeminiを単純に優劣で並べること自体が適切ではないと感じられる。筆者は、記事の論点整理、文章生成、校閲、重要な判断をChatGPTに任せる。一方、録音の文字起こし、YouTubeの確認、大量資料の整理、画像・動画生成など、処理量と速度を求める仕事はGeminiに任せる。そして重要な内容については、一方の回答をもう一方にチェックさせる。

 言い換えれば、ChatGPTは仕事の質を上げる道具、Geminiは仕事の処理速度と効率を上げる道具である。月額5800円を2つのAIに支払うことになるが、仕事の完成度が上がり、作業時間が短縮されるのであれば、必要経費として受け入れられる範囲である。

 生成AIは急速に進歩しているが、万能ではない。事実ではない内容をもっともらしく答えるハルシネーションも存在する。質問する側の前提が間違っていれば、その前提に沿って巧妙な説明を組み立てることもある。

 そのため、全面的に信用するのではなく、疑いながら使う姿勢が必要となる。可能な限り一次資料を与え、具体的な条件を示し、重要な内容なら別のAIにも同じ質問を投げて答えを比較する。AIが誤答しにくいところまで人間側が材料を準備することも重要である。

◾️必要に応じて使い分け

画像はイメージ(AIで生成)

 筆者が一般的な意味でヘビーユーザーに当たるかは分からない。しかし、毎日数時間使い続けてきた現時点での結論は明確である。

 最良のAIを1つ探すのではなく、それぞれの得意分野を理解し、必要に応じて使い分けることである。

 言葉は悪いが『何とかとAIは使いよう』ということである。AIに仕事を丸投げするのではなく、人間が主導権を握ってAIを使うことが肝要である。どんなに切れ味のいい包丁でも、実際に手に取って食材を切るのは人間であることを忘れるべきではない。

 その使い方次第では、生成AIは何の役にも立たず、それどころかハルシネーションによって大きなマイナスを背負いこむこともあり得る。一方で、その特性を理解して上手に使いこなすことで、仕事の質と速度を同時に高め、私生活まで豊かにする強力なツールとなる。

 そのように筆者は考えている。

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