諭旨解雇スポニチ記者 雉も鳴かずば打たれまい

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
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 大相撲の朝乃山関と緊急事態宣言下に関わらず深夜に会食していたスポーツニッポン新聞社の相撲記者(44)が10日、諭旨解雇処分とされたことを、同社が11日に発表した。調査に対して大関と口裏を合わせて虚偽の事実を述べたことが問題視された。JRAの給付金不正受給問題でも競馬記者が処分されており、連続不祥事は会社の体質に問題があると言わざるを得ない

■大関朝乃山とキャバクラ通いの記者

記者の諭旨解雇を伝えるスポニチ電子版

 スポニチは11日にホームページに「本紙元記者を諭旨解雇 力士との深夜会食で」というお知らせを掲載した。

 それによると緊急事態宣言下にもかかわらず朝乃山関と頻繁に会食し、いわゆるキャバクラにも出かけていた。5月7日には、神楽坂のキャバクラの前で待ち合わせをしているところを週刊文春の記者に写真を撮影されて抗議している。

 週刊文春でスポニチに質問状が届いたことで、朝乃山関と口裏合わせを画策。その内容は「A(筆者註:当該相撲記者)が行きつけの西麻布のバーのマスターが知り合いのトレーナーを紹介することになった、神楽坂で待ち合わせし、西麻布のバーに行き、朝乃山関はトレーナーの施術を受けた」(「本紙元記者を諭旨解雇 力士との深夜会食で」から)というもの。

 ところが、5月19日、朝乃山関が相撲協会からの事情聴取で全てを明らかにし、連絡を受けた相撲記者はスポーツ担当部長、編集局長に真実を告げた。翌20日、会社から事情聴取を受け、21日から就業差し止めを通告され、6月10日に諭旨解雇処分となったのである(朝乃山関は6場所出場停止)

■口裏合わせが致命傷「雉も鳴かずば打たれまい」

 懲戒解雇は免れたものの、諭旨解雇であるからスポニチも厳しい姿勢を示したと言える。大関と口裏合わせをしたことによって、スポニチは週刊文春に虚偽の説明をすることになった。報道機関としての信頼失墜に繋がりかねず、処分は概ね妥当と言っていい。

 緊急事態宣言下に大関と飲み歩いていただけならこのような処分にはならなかったが、それを隠蔽しようと、大関を巻き込んで虚偽の事実を述べたことが命取りになった。明るみになった時点でひたすら謝れば減給程度で済んだかもしれない。「雉も鳴かずば打たれまい」の類である。

 JRAの騎手らが持続化給付金を不適切に受給していた問題でも、スポニチの競馬担当記者が申請の勧誘に関与したとして出勤停止処分となっている(4月28日付け)。この競馬記者は有力馬のオーナーと親しく、自分自身が地方競馬の馬主になっていたという。1か月半の間に2人の記者を処分というのであるから、記者の資質にのみその原因を求めるのではなく、会社の体質そのものを見直した方がいいと思う。

■スポニチの宿痾か 選手にベッタリ

写真はイメージ

 僕が日刊スポーツに在籍していた時代、スポニチはライバルとして意識していたし、優秀な記者も少なくなかったように思う。ただ、これはスポーツ紙全体に言えることであるが、選手にいかに食い込めるかが優秀な記者の尺度となる部分があり、その点、スポニチは特にそういう傾向が強かったように思う。

 特に顕著だったのが大阪スポニチのレース部で、デビュー当時から武豊騎手のコラムをスタートしてべったりマークだった。1994年だったと思うが、武豊騎手の結婚問題でスポーツ紙が抜いた抜かれたを演じていた頃、スポニチが1面で「武豊騎手 今日会見」という記事を出した。周囲が騒がしいため、会見をして「結婚する意思があります」と表明するものであった。

 結婚は既定路線だったため、今更「佐野量子さんと結婚する意思があります」と表明してもそれほど意味があるとは思えないが、「今日、記者会見します」という事実をスクープしたことがよほど自慢だったのであろう。会見の1日か2日後ぐらいに、普段は現場に出ることのない大阪スポニチのレース部長が栗東トレセンにやってきて、調教中のスタンドで大声で自慢話をしていた。聞くところによると、部長が現場にいた頃から武豊騎手との関係を築いていたとか。調子に乗った部長は、言わなくてもいいことまで話し始めた。

 「量子ちゃんのコメント、『豊さんのお嫁さんになれるのはうれしいです』って適当に書いとったんや、ワハハ」。

 どうやら佐野量子さんのコメントは取れなかったらしく、勝手に作ったことを自慢そうに話しているようだった。事実なのかどうか分からない、話を面白くするために冗談を言っていたのかもしれない。

 もっとも、「お嫁さんになれるのはうれしい」などというコメントを若い女性がするとは思えず、記事を読んだ時におじさん臭のするコメントだと思ったが、そういうことであれば納得がいく。(レース部長がコメントをつくったことを自慢している新聞って何なんだ?)(スポニチ大丈夫か?)と疑問に感じたことを今でも覚えている。その3年後の1997年に、競馬エイト掲載の厩舎コメントをスポニチが盗用していたことが明るみに出て、一部の役員が辞職する騒ぎになったのはご存知の通りである。

■新聞記者は素人ではない?

 こうして考えると、スポニチの記者が次々と問題を起こしたのも必然だったのかもしれない。今回の相撲記者も、その前の持続化給付金の競馬記者も、記者以前に人間として大事なことが決定的に欠けているように思う。

 件の相撲記者は「おまえら週刊誌だろ! こっちは素人じゃねえんだよ」と週刊文春の記者を恫喝したらしい。自分たちは素人ではないという驕りはどこから来るのか。特別な才能と努力で優れた成績を残す選手は特別な存在であっても、その周りに引っ付いている記者は特別な存在でも何でもない。

 そこを理解できなければ、同じような問題はまだまだ続くと思う。

One thought on “諭旨解雇スポニチ記者 雉も鳴かずば打たれまい

  1. アバター 月の桂 より:

    諭旨解雇処分ですか…。
    ズルいことをした結果でしょうから、自業自得ですね。同情はしません。
    コロナ渦で、どこもかしこも苦しい時に、再就職先などあるのでしょうか。
    フリーでライターになるとしても、組織という傘はもうありません。全て自己責任です。雨も風も大雪すらも、全て、自分1人で受けて立つしかない。実力が評価されるフリーの世界で生き残れるのは、取材力や文章力の高さはもとより、最終的には人間性でしょう。
    私は、松田さんの記事が評価されるのは、そこ(人間性)だと思っています。

    〉「お嫁さんになれるのはうれしい」などというコメントを若い女性がするとは思えず、記事を読んだ時におじさん臭のするコメントだと

    *****
    笑える(((o(*゚∀゚*)o)))
    強力な消臭剤も効かないほどのオジサン臭を
    撒き散らしてますね。もはや公害です(笑)
    今時、家の女と書く「嫁」になりたいなど、誰も考えませんよ。○○さんと結婚するのであって、○○さんの家の女になりたいなどと、考える人はいないと思いますね。

    ***
    常の通りで、お返事は不要です。

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