グローバル化の象徴フォーエバーヤングにJRA賞を

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 2024年度の中央競馬が28日に終了、注目のJRA賞は個人的にはフォーエバーヤング(牡3)を2部門受賞としたい。この1年、一度も中央競馬を走らなかった同馬が2部門受賞、最優秀マイラーに香港調教馬ロマンチックウォリアー(騸6)選出なら競馬のグローバル化を象徴する出来事となる。また、年度代表馬はドウデュース(牡5)が相応しいと考えた。

◾️2024年も混戦模様

あくまでも個人の希望、予想です

 毎年、議論を呼ぶJRA賞は、今年も一筋縄にいきそうにない。特に問題となりそうなのが3歳牡馬とダートホースであろう。3歳牡馬については、三冠+NHKマイルCは全て異なる馬が勝ち、通常ならその中での比較となる。皐月賞優勝、東京優駿2着のジャスティンミラノ、東京優駿優勝、有馬記念3着のダノンデサイルに票が集まることが予想されるが、個人的にはフォーエバーヤングとしたい。

 G1東京大賞典で古馬を相手に完勝した内容は圧巻。さらにG1ケンタッキーダービー、G1BCクラシックと、世界のトップ中のトップのG1でともに3着は評価されるべき。さらに、G2UAEダービー、G3サウジダービー、Jpn1ジャパンダートクラシックを勝ち、今年は6戦4勝をマークした。地方競馬と米国で2戦ずつ、UAEとサウジアラビアで1戦ずつと、全て敵地での戦いにもかかわらずに好走しており、外国調教馬が出てこない場合、必ず日本調教馬が勝つ日本のクラシックレースを1つ勝つより価値ある内容と言える。

 特にケンタッキーダービーはハナ+ハナの3着、BCクラシックの上位2頭はケンタッキーダービーで戦った3歳牡馬で、内容は相当濃い。

 当然、最優秀ダートホースの有力候補でもある。ここはG1チャンピオンズCを連覇したレモンポップ(牡6)との争いになる。東京大賞典を勝った馬より、中央のG1であるチャンピオンズCを勝つ方が価値があると考えてレモンポップに1票を投じる記者も少なくないと思うが、JRA絶対主義のような考えはやめて、グローバルな視点で見ることをお勧めしたい。

◾️最優秀マイラーは初の香港調教馬に

 最優秀3歳牝馬も議論を呼ぶのは間違いない。おそらく、東京優駿と秋華賞を制したチェルヴィニアが受賞すると思うが、有馬記念を勝ったレガレイラに1票を投じたい。どちらもノーザンファーム産の木村哲也厩舎、ルメール主戦ということで使い分けられたのであろうが、皐月賞、東京優駿では牡馬相手に6、5着、エリザベス女王杯では古牝馬相手に5着で、年末の大一番を64年ぶりに3歳牝馬で制する快挙は、優駿牝馬+秋華賞のチェルヴィニアより上と評価していいように思う。3歳牝馬に有馬記念のタイトルはそれぐらい重い。

 最優秀マイラーも難しい。普通に考えればG1マイルCSを制したソウルラッシュ(牡6)が受賞すると思うが、ここはG1安田記念を制したロマンチックウォリアーとしたい。遠征馬でありながら単勝1番人気に推され、後の秋の王者ソウルラッシュ(3着)を負かしての優勝。

 香港と日本ではシーズンが異なるが、2024年に限れば5戦5勝、マイル戦は安田記念のみというのは気にかかるが(他は全て10f戦)、日本の最高のマイル戦を勝った馬を最優秀マイラーに選ばないことに違和感を覚える。JRA賞初の外国調教馬の受賞は新しい時代、前述のグローバル化を体現するものでもある。

 最優秀4歳以上牝馬も難しい。おそらくG1エリザベス女王杯を制したスタニングローズ(牝5)が選ばれると思う。ただ、今年は5戦1勝、残る4戦は最高で6着というのは何とも物足りない。他に4歳以上牝馬で中央のG1を制したのは、ヴィクトリアマイルのテンハッピーローズ(牝6)しかいない。

 この2頭の比較となるが、この際、該当馬なしという手もあると思う。ただ、テンハッピーローズはG1BCマイルでも4着と好走しており、あくまでも2頭の比較ということであれば、後者と考えたい。

◾️最優秀障害馬はニシノデイジー支持

 最優秀スプリンターはG1スプリンターズSを制したルガル(牡4)とG1高松宮記念勝ちのマッドクール(牡5)の争い。2つのG1での直接対決は1勝1敗と互角、香港遠征はともに11着(前者は香港スプリント、後者はチェアマンズスプリント)とこれまた互角。結局、重賞2勝のルガルが重賞1勝のマッドクールよりはスプリンターとしてはベターと言えるのではないかという程度のチョイスである。

 最優秀障害馬はJG1中山大障害勝ちのニシノデイジー(牡8)と、JG1中山グランドジャンプ優勝のイロゴトシ(牡7)の争いで、グランドジャンプも3着と好走した前者に軍配が上がる。

 2歳は牡・牝ともあっさり決まると思われる。牡馬はクロワデュノールとG1朝日杯FS勝ちのアドマイヤズームの争いであるが、レース内容の比較、デビューから負けなしの3戦3勝というキャリアから前者で間違いないと思われ、個人的にも投票権があればクロワデュノールに投じる。牝馬は唯一のG1を制したアルマヴェローチェで問題ない。

◾️ドウデュース年度代表馬へ

 最優秀4歳以上牡馬は天皇賞・秋とジャパンCを連勝したドウデュースが満票近い票を集めるのではないか。もちろん、個人的にもそれ以外に選択肢はない。

 問題は年度代表馬。おそらくドウデュースになると思うが、フォーエバーヤングにも少なくない票数が集まると思う。仮にフォーエバーヤングが米国でどちらかを勝っていれば、個人的には問題なく年度を代表する馬としてチョイスするが、やはり3着2回では、ビッグタイトルについては秋2戦であらためてチャンピオンホースとしての実力を示したドウデュースへというのが常識ある選択というものであろう。

JRA中山競馬場(撮影・松田隆)

 個人的に感じるのは、米国への参戦が多くなったことで日本のダートホースへの評価が上昇していることを好ましく感じる。グラスホースは欧州、香港、UAEドバイへと遠征し、ダートホースは米国、UAEドバイ、サウジアラビアで戦うわけで、我が国は世界でも珍しい、芝・ダートそれぞれ世界一を狙える競走馬資源を持つ国となりつつある。

 フォーエバーヤング陣営は調教師の出自も関係しているのかもしれないが、中央のレースには見向きもしないで地方競馬と米国・中東と転戦しているのを目にすると時代が移り変わっていることを思わされる。

 一言で申せば競馬のグローバル化、そんな時代の到来を感じさせる2024年度のJRA賞にならないといけないと思う。

    "グローバル化の象徴フォーエバーヤングにJRA賞を"に1件のコメントがあります

    1. nanashi より:

      新年あけましておめでとうございます。
      私も最優秀3歳牡馬は、フォーエバーヤングで異論はありません。
      中央GⅠは未勝利ながらも地方交流のJpnⅠ及びGⅠを2勝、そしてサウジダービーとUAEダービーの海外重賞を2勝、更にダートの本場アメリカに於いてもケンタッキーダービーとブリーダーズカップクラシックで3着と好走しているのですから、文句なしでしょう。
      芝偏重という時代は終わりにしても良いのはないかと思います。
      ところで、こう見るとゼンノロブロイ(祖母のDarling My Darlingの半弟)が芝の中長距離で活躍していたのが不思議に思えますね。
      明らかにダート血統ですし、それでいながら、芝のGⅠ3連勝(秋古馬三冠)をしているのですから、やはり藤沢マジックなのでしょうね。

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