ドウデュースが勝ちそうな凱旋門賞

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
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 第101回G1凱旋門賞(芝2400m)が10月2日、仏パリロンシャン競馬場で行われる。今年は日本調教馬が4頭出走予定。ドウデュースが日本競馬界の悲願の優勝を達成する瞬間が見られるかもしれない。

■過去最多の日本調教馬4頭がエントリー

凱旋門賞の前売りオッズ

 今年の凱旋門賞には日本馬が過去最多の4頭が出走する。ドウデュース、タイトルホルダー、ステイフーリッシュ、ディープボンドという顔ぶれで、2014年、2019年の3頭出走を上回る頭数となった。

 史上最強と呼んでいいかどうかは微妙ではあるが、今年は日本馬、特にドウデュースが勝つ条件が揃っているように思える。まず、日本馬が勝てそうな理由を示すと、①欧州勢が手薄、②稍重馬場が期待されるという2点。

 ①に関して言えば、日本でも報じられているが、欧州最強の呼び声が高いバーイードが回避を決定したことが大きい。同馬はここまで10戦10戦、マイルG1を5連勝の後、前走8月17日のG1国際S(芝約10f)を制した。当初は凱旋門賞で距離の壁にも挑む予定だったが、結局、実績ある距離のG1英チャンピオンS(芝約10f)を引退レースと定めた。

 凱旋門賞に出てくればあっさり勝つかもしれないが、逆にひと伸び足りない、あるいはバッタリ止まる可能性もないわけではない。そうなると種牡馬にする時に「距離は10fまで」という評価が定まってしまう。それよりもほぼ勝てる英チャンピオンSに参戦して順当に勝ち、国際SでマイルG1より強い勝ち方をしていることから(おそらく距離は12fまでもつだろう)というイメージを残した方が賢明と判断したのであろう。既に欧州年度代表馬の座は確実にしているから、無理をして凱旋門賞に行く必要もない。

 結果的に怪物級の馬が出てこないことで、日本馬にとっては過去にないほど与し易い欧州勢となった。前売り1番人気のルクセンブルクは決して弱い馬ではないが(特に英2000ギニーは発馬後に躓いたが、巻き返しての3着と強い内容)、距離も未経験ではあるし、バーイードと比較すれば落ちるのは確実で、”普通に強い馬”のレベル。おそれるほどではない。

■稍重馬場見込みの凱旋門賞に仏ダービー馬参戦

ヴァデニ参戦を伝えるパリチュルフ電子版

 ②はスピード競馬に慣れた日本馬が勝つには良か稍重馬場が望ましいのは、多くのファンがご存知のことと思う。今年は2018年以来4年ぶりに重・不良馬場ではない凱旋門賞となりそうなのは、日本馬にとって追い風。9月21日時点で発表されているパリの長期予報を見ると9月29、30日は曇りで降水量ゼロの予報。10月1日夜から小雨になり、10月2日当日も小雨となっている(weather forcast.com)。良馬場は期待できないが、稍重馬場でできるのではないか。

 この天気予報を見たのか、道悪なら回避予定だった仏ダービー馬のヴァデニが参戦することが確実になった。アガカーン殿下のレーシングマネージャーは「良か稍重馬場ならヴァデニは凱旋門賞に行くことを決定しました。10月2日にスタートする可能性は高いでしょう」と語ったと報じられている(Paris turf・Qatar Prix de l’Arc de Triomphe : Vadeni, c’est oui)。

 ここ3年は重ー不良ー重という日本馬には厳しい馬場状態となり、結果は6頭が出走し最高が7着(2頭)で、2桁着順が3頭と大敗を喫している。その点で今回の日本馬には追い風が吹いていると言っていい。

■ドウデュースとタイトルホルダーの比較

 今回4頭出走の日本馬だが、ディープボンドはさすがに能力面から足りず、ステイフーリッシュも半分より前には来ても勝ち負けまでは難しいと思われる。勝負になるのはG1馬2頭であろう。タイトルホルダーはおそらく現時点で日本で一番強いと思うが、今回に限れば宝塚記念以来で、しかも鞍上は凱旋門賞初挑戦となると勝ち負けまで望むのは酷というもの。

 ドウデュースとの比較では斤量で56.5kgに対して3kg増しの59.5kg。秋の天皇賞なら56.0kgに対して2kg増しの58kgで出走できるところ、この1kgは小さくない。凱旋門賞が3歳馬に有利というのはこのあたりも影響している。日本馬では最も人気を集めるのは確実で、しかも前に行く脚質だけに欧州勢から目標にされやすい。そのような不利を全て跳ね除けて横山和騎手がガッツポーズする姿を想像できるかと言われると、答えはNO。

 そう考えると、ドウデュースが少なくとも日本勢では最先着を果たす蓋然性が高い。前走G2ニエル賞の4着で欧州ではすっかり評判を落とし、ブックメーカーのオッズも20倍を超える人気薄となっている。このニエル賞をどう評価するかが問題。

 武豊騎手は自らのホームページで「本番に向けての追い切りを兼ねたスクーリングという意味合いもあり、まだ全力を出せる状態ではなかったと思います。体重計がないので正確にはわかりませんが、ダービーとの比較で40キロ近く太い感じでしたからね。」(Take a Chance!・凱旋門賞につなげたいですね)としている。

 ダービー馬が一夏越して、セントライト記念や神戸新聞杯を40kg増で出走するなど、日本では考えられない。また、実際のレースを「本番に向けての追い切りを兼ねたスクーリングという意味合い」で出走させることもあり得ない。競馬施行規程は以下のように定めている。

日本中央競馬会競馬施行規程】81条

競走に勝利を得る意志がないのに馬を出走させてはならない。

 日本では全ての出走馬の陣営が勝利を目指していることを前提にしており、「追い切りを兼ねたスクーリング」、すなわち調教代わりに出走させれば制裁の対象となる。しかし、今回は中央競馬のレースではないため、陣営も堂々と「調教代わり」を明言できるし、また、調教が足りない状態で出走させてもJRAの制裁の対象とはならない。

■2016年マカヒキの敗戦が教えるもの

写真はイメージ

 東京優駿を優勝後、ドウデュース陣営はぶっつけで凱旋門賞挑戦を口にしていた。これはおそらく友道調教師の判断と思われる。2016年の東京優駿を制したマカヒキは、休み明けのG2ニエル賞を勝ったものの、本番は14着と大敗した。この失敗から、海外に輸送して前哨戦を勝てる状態で使って中2週で本番を迎える難しさを痛感したのであろう。

 しかし、5月末から4か月ぶりの出走で凱旋門賞を勝つというのも常識的に考えて難しい。そこで、調教代わりにニエル賞を使って本番という作戦に出たのではないか。

 ドウデュースは東京優駿で見せた末脚は強烈で、ゴール前でアスクビクターモアが寄って来なかったら、並ぶ間も無く差し切って楽勝していたと思われる。さすがにディープインパクト級とは言わないが、強いダービー馬の部類には入る。その強いダービー馬が海外遠征で2つとも勝ちに行くのではなく、どちらか1つに定めて残り1つは捨てにいくというのは悪くない戦略。日本の調教師が管理馬をフランスに遠征させて、初戦を捨てて本番に賭ける決断ができるのも、競馬サークルで数多く海外に遠征した経験があればこそ。日本の競馬はここまで来たかという思いと、こういう時に勝てるのだろう、という気がする。

 今回はドウデュースの単勝を買って応援しようと思う。

"ドウデュースが勝ちそうな凱旋門賞"に6件のコメントがあります

  1. nanashi より:

    ドウデュースの牝系には「欧州最強馬」と謳われたある名馬がいます。
    ダンシングブレーヴです。
    凱旋門賞の他にキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス、エクリプスステークス、2000ギニーステークスを勝った名馬で、種牡馬としてもコマンダーインチーフ、ホワイトマズル、キングヘイローなど多数の活躍馬を輩出しました。
    ひょっとしたらひょっとするかもしれません。
    余談ですが、19日の中山・中京のメインレースの勝馬はドウデュースと何だかの関係がある馬でした。
    中京11R JRAアニバーサリーステークス 3勝クラス
    1着:フラーレン(持込馬でドウデュースの半姉)

    中山11R 朝日杯セントライト記念 オープン (GⅡ)
    1着:ガイアフォース(デビュー戦でドウデュースと対戦して2着)
    2着:アスクビクターモア(弥生賞で当時無敗だったドウデュースを破る金星)

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

       このコメントは”釣り”ですか?

       ドウデュースの牝系にダンシングブレーヴ? 入ってないと思いますが。

      https://db.netkeiba.com/horse/ped/2019105283/

       そもそもダンシングブレーヴは日本で繋養されていましたから日本に産駒は多く、母系はもちろん、母の父がダンシングブレーヴという馬はそれこそいくらでもいると思います。母系にダンシングブレーヴが入っているから凱旋門賞を勝てると言うのであれば、2008年に参戦したメイショウサムソンがとっくに勝っているでしょう(結果は10着)。

       コメント自体が釣りなのか分かりませんが、冗談なら笑えません。

  2. オオカミ より:

    松田さんは横山和騎手の評価厳しいですね(苦笑)。個人的には一か八かの逃げで快勝して欲しいです。

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

       これでも控えめにしたつもりですが(笑)

       横山騎手もいいのですが、それよりも6月以来の実戦で凱旋門賞を勝とうという陣営の考えの甘さに驚いています。ディープインパクトもできなかったことをタイトルホルダーにできると考えたと思いますが、その根拠を知りたいです。凱旋門賞に行くなら、宝塚記念を使ってはダメでしょう。その意味ではステイフーリッシュのローテーションは非常に好ましく感じます。本番も結構、いいところまで来る気がします。

       ドウデュース陣営は休み明けが凱旋門賞ではダメと考えて調教代わりに一戦挟んでいるわけで、本番ではタイトルホルダーと、その分の差が出ると思っています。

  3. MR.CB より:

    》》ジャーナリスト松田様

    昭和の競馬ファンのひとりとして、日本馬による凱旋門賞制覇は何とか生きている間に味わいたい悲願ですね。ディープが負けた時に一度は諦めました。超スーパーホースではない馬が、相手関係や展開、そして運を味方に勝つのも競馬です。
    出来れば豊ちゃんに、その偉業を達成して欲しいですね。

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

       ディープインパクトが負けたショックは、本当にディープなインパクトを競馬ファンに与えました(笑) あの馬でダメなら、他のどんな馬が行ってもダメだろう、と思わされたものです。

       稍重馬場でできそう、3歳で斤量有利、バーイード回避で相手が例年に比べ軽い、調教代わりの叩いて上昇と条件は揃っています。前哨戦も直線で馬なりで先頭に並びかけた脚はさすがで、体ができていない分、そこから伸びませんでしたが、本番はそこから伸びるのでは、と期待しています。

       武豊騎手で大一番を勝てれば、たまらないですね。当日は期待してテレビ観戦します。

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