有馬はソールオリエンスvsドウデュース

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 G1有馬記念(芝2500m)が今日24日、中山競馬場で行われる。前売りで単勝10倍以下が7頭並ぶ混戦は、皐月賞馬ソールオリエンスの復権に期待したい。川田将雅騎手に手替わりして、大胆な騎乗で活路を開くのではないか。逆転候補は武豊騎手のドウデュースで、2頭が中心の競馬と予想する。発走予定時刻は15時40分。

◾️G3京成杯が今も影響

写真はイメージ

 16頭立てで7頭が単勝オッズ一桁、1番人気のジャスティンパレスでも4.0倍という状況は、(出るだけの馬以外にはチャンスがある)という状態を示しているように感じられる。ソールオリエンスは単勝7.5倍の5番人気タイに甘んじている(オッズは24日午前10時の段階)。皐月賞馬でダービー2着、菊花賞3着、3歳でもトップクラスの実力を持つ馬にしては評価が低いと感じるのは筆者だけではないはず。

 今回、ソールオリエンスの勝機が高いと考える理由は、鞍上を川田騎手にスイッチしたことで、これまでとは違う競馬をしてくれるという期待による。ここまでの戦いを見ると、G3京成杯の内容がその後のレースの仕方に決定的な影響を与えている。この時は4角を逆(左)手前で回って外に膨れ、レース後に平地調教注意を受けている。もし、外に他馬がいれば進路妨害で降着になっていた可能性もあった。

 そのため、G1皐月賞は他馬に迷惑がかからないように最後方の大外を回る競馬をしたが、前崩れの展開も味方して、まとめて差し切った。続くG1東京優駿は左回りで逆手前になる心配もないため、馬群の中、6番手につけて4角もスムーズに回ったが、直線でタスティエーラに前をカットされて一瞬仕掛けが遅れ、皐月賞で差し切ったタスティエーラにクビ差及ばず2着となった。ほんの一瞬の攻防が明暗を分けたが、東京優駿を見る限り4角で外に膨れる心配がないなら好位から差す競馬がベストと思われる。

 秋はG2セントライト記念、G1菊花賞はともに右回りということで後方から大外に持ち出して2、3着となった。多少、外に逃げたがっているように見えたが、逆手前にはなっていなかったように見える。とはいえ、4角で後方の外というハンデを負ってまで勝ち切るのは簡単ではないことを示す結果となった。

 今回、2戦目の京成杯から手綱を取った横山武史騎手から川田将雅騎手にスイッチする。横山武史騎手は1番人気のジャスティンパレスに乗るが、これが本人の選択なのか、ソールオリエンス側から降ろされたのかは分からない。おそらく、ソールオリエンス側から「今回はジャスティンパレスに乗れよ。あっちの方が人気だろう? こちらは他の乗り役探すから」というような形になったのではないか。そうすれば横山武史騎手のプライドを傷付けずにスムーズな騎手交代が可能である。

 そうなると、川田騎手に求められるのは前任者とは異なる騎乗。今までと同じように4角で外を回る競馬をして届かず2、3着なら、騎手をスイッチする意味がない。東京優駿のように5、6番手につけても末脚は鈍らないという確信を持って好位から差す競馬を試みると思う。幸か不幸か皐月賞と同じ最内枠に入り、川田騎手も開き直ってこれまでと違う競馬をしやすい条件は揃った。

 また、他馬も4角でソールオリエンスの外に合わせると不利を受ける可能性があるため、自分が勝ちたいと思えばリスクのある位置を通らないのではないか。以上の点からソールオリエンスがこれまで以上に力を出せる環境が整い、最も勝利に近いのではないかという期待にも一定の合理性はあるように思える。

◾️逆転候補はドウデュース

 もちろん、ソールオリエンスにも不安材料は少なくない。コーナーワークに変わらず不安が残るのは当然として、持ち時計がないことも不安点ではある。東京優駿の勝ち時計を前年と比較すると、ドウデュース2分21秒9に対してタスティエーラ2分25秒2と、まるで次元が異なると言っていいレベル。競馬は単純な時計の比較ではないが、もしかすると今年の3歳は古馬勢に比べて相対的に弱いのではないかという考えも成立する。

 もし、そうであればドウデュースがあっさり逆転しても不思議はない。天皇賞・秋当日に馬に蹴られて休養していた武豊騎手が有馬記念の1週前から戦列に復帰。この点を「もしドウデュースがいなければ、早くに復帰を来年としていたかも知れず」(Take a Chance! YUTAKA TAKE・ドウデュースの力を信じて乗ります)としている。

 イクイノックス不在の有馬記念なら勝つチャンスは大いにあるという考えはあったと想像する。それは「今年の3歳は怖くない」という認識に立っているのかもしれない。

 「ベストな舞台ではないかもしれませんが」(同)とも言っており、どちらかといえば東京開催向きなのは明らかであるが、強力な逆転候補と言っていい。筆者は馬券は買わないが、もし買うならソールオリエンスとドウデュースの2頭は外せない。

◾️馬に差がなければ「屋根」を見よ

愛ダービー時のオーギュストロダンとムーア騎手(先頭、JRA公式ch画面から)

 それ以下となると大混戦で、馬の力に大差ない場合は屋根で選ぶのも1つの考え。ライアン・ムーア騎手騎乗のタスティエーラに一発の期待をかけてみたい。G1BCターフでオーギュストロダンに騎乗、断然の1番人気馬が直線でインを突いて勝つという信じ難い騎乗をしたのは記憶に新しい。ゴール前に数頭がなだれ込むような展開なら、騎手の力量が着順に現れるかもしれない。東京優駿からぶっつけで菊花賞、ここが秋2戦目というローテーションも好感が持てる。

 展開面を考えればタイトルホルダーも上位食い込みはあるかもしれない。今回、行きそうな馬はアイアンバローズとタイトルホルダー程度で、スローな流れが予想される。極端なスローで切れ味勝負になると分が悪いが、そこは前に行く分、ある程度、前が残る展開に持っていけるという強みはある。

 1番人気のジャスティンパレス、大崩れがなく、屋根を含めて魅力のスターズオンアース、BCターフの内容が良かったシャフリヤール、そして今年、イクイノックスに最も迫った(宝塚記念でクビ差)スルーセブンシーズは当然上位争いには加わってくると思われる。もっとも、あまり手を広げ過ぎると投資効率がよろしくないので、どこかで見切るのも大事なことなのかもしれない。

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