岸田総理に爆発物 テロを肯定した人々の責任

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 和歌山市の雑賀崎漁港で15日、選挙の応援に駆けつけた岸田文雄総理の近くに筒状の物が投げ込まれ、爆発音がする事件があった。和歌山県警は木村隆二容疑者(24)を威力業務妨害の現行犯で逮捕した。昨年7月、安倍晋三元総理が凶弾に斃れてから9か月、再び総理を狙うテロが発生したと言っていい。民主国家で絶対に許してはならないテロが短期間で2度発生した背景には、テロリストを讃えるかのような人々の存在があるのではないか。

■テロを讃美する人々が招いた事件か

身柄を確保された木村隆二容疑者(ANN NEWS画面から)

 事件は午前11時30分頃、雑賀崎漁港で岸田総理が応援演説を始めようとした時に起きた。地元でとれた魚を試食した岸田総理の背後に、物が投げ込まれる。聴衆の中にいた木村容疑者が地元の漁師らに取り押さえられ、総理は避難。投げ込まれてからおよそ50秒後、総理がいた場所の付近で爆発音がした。

 雑賀崎漁港での演説は中止とされたが、その後、和歌山市と千葉県浦安、市川両市での演説は予定通り実施された(NHK・【詳しい一部始終】岸田首相の到着から容疑者取り押さえまで、時事通信ニュース・首相演説会場で爆発物=岸田氏は避難し無事―投げ込んだ24歳男逮捕、威力業務妨害容疑・和歌山)。

 伝えられる状況からして、総理を狙ったテロと見て間違いない。安倍元総理が凶弾に斃れて9か月、再び卑劣なテロが行われたことは許し難い。民主国家において、自らの気に入らない相手を暴力でなきものにしようとするテロが正当化されることはない。テロは絶対に許されず、また、許してはいけない。それが9か月の間に2度も発生したことは憂慮すべきことである。

 なぜ、テロが頻発するのか。そこには安倍元総理に対するテロを讃美するかのような人々の存在があったように思う。実際、犯人の山上徹也被告に対して減軽の嘆願が1万筆以上集まり、殺害行為を肯定、讃美するかのようなコメントをする識者も存在する。そのような無責任な発言が、今回の事件を招いた一因になっているのではないか。

■聞くだけで不快? 石坂啓氏らの発言

 具体的にテロを肯定的に扱ったと思われる発言を見てみよう。

石坂啓氏(漫画家):事件を最初にテレビで見た時に、ウチでは「でかした」と言ったんですね。私と夫は「山上様」って呼んでます。(映画REVOLUTION+1上映後のトークイベント

宮台真司氏(社会学者):国家権力がまともに働かない時は自力救済しかないってことなんですね。…今、いろんな形でね、オリンピック疑獄、あるいは統一教会ズブズブっていう形で、表に出たってのはいいことでね、何で表に出たんですか、これは? 安倍晋三氏っていうビンの蓋が取れたからでしょ。なので、これは山上容疑者が何をどこまで想像していたのかっていうことは横に置くとして、機運としてはね、いいですか、機運としてはですね、世直しとして機能していますよね。(同)

前川喜平氏(元文部科学省事務次官):安倍さんが亡くなったことについては気の毒とは思ったけども、悲しいとは思わなかったです。(武蔵野政治塾・第2回セッション

 テロは許されない、決して正当化されないという子供でも分かる理屈を、入学するのが極めて難しい大学を出た人々、多くの人に影響を与える人気漫画家が理解できないのが不思議でならない。

 多くの人がこのような発言を苦々しく感じたと思われるが、日本国憲法は表現の自由を保障しているため、これらの意見が世に出るのを止めることはできない。いずれもYouTubeで今でも視聴が可能である。

 このように社会的に影響力の強い人々がテロを肯定的に扱う、さらに讃美した時に、1人の若者が違法な行為を正当化する根拠をそこに見出して凶行に至ることは想像に難くない。木村容疑者の思想的な背景などは明らかになっていないが、石坂氏らの言動が犯行に影響を与えた可能性は少なからずあるかもしれない。

■権利には責任が伴う大原則

 表現の自由は極めて重要な権利であり、民主主義を正常に機能させるためには欠くことのできないものである。もっとも、憲法12条では以下のように規定している。

日本国憲法第12条【自由・権利の保持の責任とその濫用の禁止】

この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

 石坂氏らにはこの条文を何度も読み返してほしい。権利は濫用してはいけない、公共の福祉のために利用する責任を負うということを意識して、発言をしているのか問いたい。殺人犯に対して「でかした」「山上様」と言っているが、もし、小学生に「人を殺して、何で褒めるんですか」「人を殺すことが正しいことなのですか」と聞かれた時に何と答えるのか。意見を表明する立場の人間としての責任はどこに行ったのか。

 今回の事件で木村容疑者が筒状の物を投げた後に、横にいた漁師さんとされる男性がすぐに止めに入り、2つ目の筒は投げられずに済んだ。もし、隣にいたのが石坂氏、宮台氏、前川氏だったら、2つ目の筒は投げられ、多くの犠牲者が出ていたかもしれない。

 宮台氏ら名の知れたオピニオンリーダーよりも、反射的に犯人を押さえ込んだ漁師さんを僕は尊敬する。彼らのような名も無き人々が日本社会を支えているのである。

■江川紹子氏のツイッター炎上

安倍氏国葬当日(撮影・松田隆)

 ジャーナリストの江川紹子氏のツイッターが炎上している。江川氏は4月6日、山上被告が弁護士と接見した際に旧統一教会被害者の救済を願っていると話しているとする記事を引用した腕、以下のようなツイートをした。

きっかけは事件でしたが、多くの人に問題が伝わり、法規制が実現したのは、「2世」などの勇気ある証言が相次いだこと。メディアの報道はそこをちゃんと押さえてほしい(2023年4月6日午後11時10分投稿

 法規制が実現したきっかけは殺人事件であり、テロには意味があったと肯定的に受け取れるとして、多くの人が批判のリプライを寄せた。さらに岸田総理へのテロが発生した後、江川氏は上記のツイートを引用して、以下のようにツイートした。

通常の日本語読解力のある方はとっくにお分かりのように、私のツイートは、事件をきっかけに統一教会問題が注目され法律が制定されたとの新聞記事について、問題を周知し法制化を実現したのは2世の勇気ある証言の力だと指摘し、事件の影響の過大視に繋がらぬようメディアに注意を促したものです。為念(2023年4月15日午後4時投稿

 安倍元総理の殺害事件がきっかけで、多くの人に旧統一教会の問題伝わった。そして2世の勇気ある証言が相次ぎ、法規制が実現したという流れ。法規制が実現した端緒は安倍元総理の事件であって、そこに一定の肯定的評価をしていることを読み取るのが、通常の日本語読解力を持つ者の理解であると思う。

■江川氏らに真摯な反省を求める

 江川氏が何を考えてツイートしたのか分からないが、一連のツイートを読む限り、少なくとも安倍元総理に対するテロ行為は絶対に許されないという意識は希薄という印象を持つ。

 江川氏がジャーナリストとして社会に大きな影響を与える存在であることは疑いなく、それゆえ、普遍的な価値観を否定するかのような発言は厳に慎むべきである。それは表現者、オピニオンリーダーとしての責務と言っていい。

 9か月の間に2件の総理・元総理を狙ったテロが行われたことを、江川氏、石坂氏、宮台氏、前川氏は真剣に考えてほしい。自らの無責任な言論がテロを招く一因になった可能性を思い、真摯な反省がなされることを切に望む。

    "岸田総理に爆発物 テロを肯定した人々の責任"に6件のコメントがあります

    1. 野崎 より:

      >テロリストを讃えるかのような人々の存在があるのではないか。

      無論ある、その証左は以下である。

      昭和いい話、の記事があるが団塊の世代としてはあの大学紛争が思い浮かぶ。
      最初は小さな火、出来事がほぼ全国の大学に拡大した。
      拡大した要因は種々あれど、

      マスコミが讃えたのだ、讃えに讃えたのだ。新聞のみならず若者向けの雑誌から当時流行のラジオ深夜放送まで、音楽の世界もしかり、

      ベトナム反戦運動とあいまって社会に左翼のルールーオブニューマは形成された、などと横文字言葉を使わずとも単純に流行、流行したのだ。
      毎週末、新宿西口広場を埋め尽くす大群衆、自衛隊に入り死んじまえ! と大合唱する。

      その中で狂気、異常性を持つ者がより過激な行動に走った、テロ、爆弾闘争だ。
      木村隆二容疑者が故安倍氏へのテロを知らぬ訳はない。

      ファシスト、セミファシスト(ファシストの資質を有するもの)は暴力性を有する。

      桜井、ブタ、死ね!(香山リカ)日本死ね!アベシネ!! いや疑惑を晴らしてから死ね!(落合恵子)でかした!(石坂啓) 
      市街戦を命を賭けて戦った!(上野千鶴子)

      そしてこれらの発言は差別ではない、ヘイトではないと、そう殺意だ。そして仲間は賞賛する、よくいったと(香山リカ発言に肯定するソース多くあり)

      こ奴等ファシストが形成するニューマはある状況、条件で社会にテロという形をとらずとも噴出する、違法性を伴い社会規範を無視する形で、朝日の川柳などはその現れの一つであり、決して軽々に見るものではない、広義にそういう力を産むのだ、狭義にはテロとなる。

      そのテロは殺人を伴わずとも故安倍氏への演説妨害、杉田水脈氏への演説妨害、川崎市に見られた正当なるデモへの妨害等々
      そして奴バラは目的の為ならば違法行為、社会規範の虫、虚偽、罠をもいとわない。

      江川紹子はLBGT法案に、差別は許されない、との文言を入れぬ事への危惧が理解できないと、
      理解できていることは統一教会に対する法制化が如何なる効力を発揮するかを理解していることで理解できている。
      よって江川紹子はファシストである。

      江川紹子は故坂本弁護士の御母堂と険悪な関係、疎遠になったと(今ソースは示せない)
      御母堂は利用されいる事がわかった、わかっていたのであろう。
      疎遠になる、なった根拠はそう推測される。

      ご返信は不要です。

    2. オーバーカッセル より:

      一見すると凶悪な犯罪を犯す様にはとても見えない若者による犯行が続いているのは極めて危険な世の中になりつつあると感じます。

      言論の自由と行動の自由の境界線を判断出来ない世代が出現しているのでしょうか。良い大人が「言論の自由」を振りかざして常識では考えられない発言が当たり前に許される社会、それを素直に受け入れ反応して善悪の区別が分からず混乱している若者が出始めている様に思えてなりません。

      昨今は〇〇ハラスメントと言うような細かいところまで規制するのに言葉の暴力は許されるという矛盾に満ちた異常な世の中になっています。今こそ見直しを行わないとこれから更にとんでもないことが続出してしまうでしょう。

      言論統制とか権利の侵害ではなく、日本人としての基本的な倫理観とモラルの見直しです。

    3. 野崎 より:

      追記
      >マスコミが讃えたのだ、讃えに讃えたのだ。新聞のみならず若者向けの雑誌から当時流行のラジオ深夜放送まで、音楽の世界もしかり、

      上記の具体例として

      闘争継続宣言の代読。
      昭和40年代当時、若者向けラジオ深夜放送の全盛時代だった。
      落合恵子はレモンちゃんの名称で呼ばれるパーソナリティであった。
      若者はハガキを投稿し、パーソナリティはそれを読み上げ放送は一体化する。
      (落合恵子の現在はこの時代に影響されたのか、、、)

      69年、東大安田講堂攻防戦があり安田講堂は機動隊により解放された。
      TBS、深夜放送、パックインミュージックはハガキを読み上げ代弁した。

      ●安田の城は落ちるとも、我らはこれより社会に進出し闘いを継続すると。
      パックインミュージックは書籍をも刊行し、その帯にはこの戦闘継続宣言が飾られた。

      我らとは誰か、当時の一応の思想の仮面を被ったファシスト達である。
      その実態は思想など何も無い。(その証左は後述)

      奴バラは確かに確かに闘いを継続した、その意味では見事である。
      その一人として日本女子大の女戦士、今やフェミニスト界の重鎮である女性の事を何度かコメントした。彼女も闘いを継続したのだ、そして徐々に、だが確実に駒を進めている。

      石井氏の故坂本龍一の記事に、ジャパニーズガラパゴスリベラルとの記載があるがガラパゴスではない。

      そして本年初頭
      NHKは東大闘争の特集を放送した、安田講堂陥落にいたるまでを。
      何故か? 
      その内容は意味不明で何らの批判もない、ただ学生たちの非論理、論理の体を成していない言動を、そして現在老人となった彼らの現時点での意味不名な主張を放送した。

      違法行為、不法占拠、器物損壊、暴力行為、凶器準備集合罪、殺人未遂等々は何ら指摘されない、
      実態は学生達を闘いに敗れはしたが賞賛した番組だ。

      まさに社会の中枢に入り込んだ奴バラが、その洗脳工作が功を奏したが故の番組だ。
      奴バラに何らの思想、思想性もない、なかったことは(今現在も)このNHKの番組が証明している。

      音楽の世界では、その後、苺白書をもう一度、が奴バラを元気づけた。

      ウィキより
      >過ぎ去った学生時代を思い出すという内容の曲で、タイトルにある『いちご白書』は、1970年に公開されたアメリカ映画で、1968年にコロンビア大学で実際に起こった学園紛争の手記をもとに制作されたものである。

      荒井由美(松任谷由実)に、
      >その題材を提供したのが早大紛争を経験した音楽プロデューサーの前田仁であった。

      団塊の世代の奴バラは消え去る、、洗脳された若きファシスト、セミファストたちは元気まんまんである。
      吉野屋常務の首を取った若き女戦士は見事であった。

      ご返信は不要です。

    4. BADチューニング より:

      詳細は不明なれど、

      •どう見ても“爆発物”(導火線に火が付いて煙まで出てる)

      が、目の前に転がっても、逃げるどころか『逆に集まって“動画撮影”を開始』する群衆、
      というか、
      アレが手榴弾などの『“ホンモノ”の爆裂物』であれば、「脚元に転がった」時点で、岸田文雄首相はもちろん周辺の数十名は死傷していた。

      ※つまり、警備はまたもや“失敗”している状態。

    5. T・K生 より:

      宮台氏を襲った容疑者も自己救済したんじゃないですかねw

    6. 匿名 より:

      漫画家の妻の方はともかく(まぁ過去にテロは許さない!みたいな主張していたようなのでともかくと置いておくべきではないですが)、夫は小学館の取締役で編集者なんですよね?
      それがテロリストを「でかした!」「〇〇様!」と妻と共に賛美してるとか最悪なんですけど…。

      仮に小学館に対して爆発物を仕掛けてそれで死傷者が出たとして、犯人が「小学館はテロリストを擁護し賛美するなど異常な主張を繰り返して社会に害を与える漫画家や取締役を擁護する勢力。だから爆発物を仕掛けた」と主張し、それに賛同した連中が「でかした!」「〇〇様!」とか言ってたら烈火の如く怒りまくるんだろうな。

      もし上記の仮説の様なテロが起きたら怒り、糾弾するのは当然だと思う。
      だが一方では暗殺事件を起こしたテロリストを称賛する。
      それを異常だと思わないんだろうか?

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