偽造の痕跡くっきり フジ放送フェイク写真

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 札幌地裁に提出された当サイト作成の調査報告書の内容を伝える第三弾をお届けする。中学3年時から性的被害を受けていたとする女性(写真家の石田郁子氏)が2020年までにフジテレビに提供した写真にも合成された痕跡が存在する。これまでに指摘した部分を含め、事実上、フェイク写真によって元教師の鈴木浩氏(仮名)が免職されたと言える状況が明らかになっている。

◾️謎の黒い領域

写真①と写真②

 石田氏が2016年までに札幌市教委に提出した写真①は、鈴木氏の太ももの部分に背景(柵=ビーム)が透けて写っており、写真加工の関して高い技術を有するA氏が「加工、合成しなければこのように見えることはありません」と断言していることは前回、伝えた(”被害女性”フェイク写真の証拠 透けて見えた背景)。

鈴木氏の手足の周囲に実際には存在するはずのない「黒い領域」が見える

 これにとどまらず、A氏はもう1点、重大な指摘を行なっている。その指摘は2020年9月29日放送の「イット」(フジテレビ系)で紹介された写真に関するものである。こちらは前回の記事で写真②として紹介したもので、石田氏が市教委に提出した写真①と同じものと思われる(ただし、透明度を変更して再加工した可能性は指摘済み)。

 A氏が問題としたのは、写真②の鈴木氏の足や腕の周辺に黒い縁がある点。A氏はその部分を拡大し、赤い線で囲って示す写真を当サイトに示した。ご覧のように特に太もも裏からふくらはぎにかけて黒い縁取りのようなラインが目立っている。言うまでもなく、写真を撮影した時に人物の周囲に黒い縁取りが写ることなどあり得ない。

 それを踏まえた上でA氏は「このような黒い領域は、画像を切り抜く時にぼやけている部分に起きがちです」と説明する。

 我々が写真を撮影する際、シャッターを押した時に被写体に動きがある場合、動きのある部分は半透明の画像となる。腕を振った写真を撮影した場合、動く腕が残像のようになり、腕が何本もあるように見える写真はよく目にする。これはほとんどの人が経験したことがあると思われる。

 さらに、A氏は被写体に動きがある場合に生じる”ぼやけ”が、写真を合成した時に黒い領域を生む原因となる理由を説明した。

 「動きのあるところは残像が写るため、背景と半透明で重なります。または、人物と背景の境界線がはっきりしない場合、(写真加工ソフトの)フォトショップ(photoshop)はこの部分を半透明として扱います。半透明の部分と背景の色が重なることで濃い色、つまり黒っぽくなることがあります。丁寧に処理する場合は、photoshopではマスクを作成し背景と違和感のないように合成します。」と説明する。マスクとは、画像の余分な箇所を覆い隠す機能である。

◾️動きのある被写体の撮影

 写真②を見ていただきたいが、鈴木氏は左足を上げて右足一本で立つ不自然なポーズをとっている。これは鈴木氏によると、札幌市の大通公園でセルフタイマー機能の写真で撮影した際にタイマーがうまく作動しなかったために動いているところであるという。

黒い領域が目立つ写真18(右)

 看板の前で座る石田氏が動きがないのに対して、片足を上げている鈴木氏が動いている最中であることは容易に想像がつく。そこで鈴木氏の足や腕の残像が写り、フォトショップはその部分を半透明として扱い、背景の色と重なって黒い領域が発生したと考えられる。

 あるいは、黒い領域の部分が「人物と背景の境界線がはっきりしない場合」(前述のA氏のコメント)であった可能性もある。いずれにせよ、現実の世界には存在しない黒い領域が、石田氏が提供した写真には写っているという事実は揺るがない。

 石田氏が札幌市教委に提出した写真①は細かい部分は不鮮明なために黒い領域があるかは判然としないが、肉眼で見る限りはそのようなものは存在していないように見える。上記の「丁寧に処理する場合」に該当するケースであったのかもしれない。

 このような黒い領域の発生を具体的に画像を処理する過程で再現をしてみた。前回の記事で筆者(松田隆)がモデルになってオコタンペ湖展望台(現駐車場)との写真と組み合わせたフェイク写真を題材にA氏に作成を依頼した。

 筆者は大通公園で立っている姿のため動きはないが、人物と背景の境界線がはっきりしない部分は存在する。調査報告書の番号のまま写真に番号を付しているが、写真17-2(太ももに背景のビームが透けている写真)では境界線がはっきりしない部分を丁寧にマスクで処理し、背景と違和感がないようにしている。

 その処理を行っていない元のショット(写真18)では幅の広い黒い領域が見て取れる。調査報告書には記載していないが、写真18には黒の領域の外側にさらに写真17-2にはない半透明の領域が確認でき、そうした部分でマスクの処理が行われていないことがうかがわれる。

◾️取材に応じないフジテレビ

 以上のように、フジテレビで放送された画像については現実には写るはずのない黒い領域が写っていることから、背景写真に人物を合成させたことは明らかである。

 実はフジテレビは現在でもこの写真の一部を自社サイトに掲載している(FNNプライムオンライン・性暴力を受けた少女は「交際」と信じた 教師のわいせつはなぜ裁かれなかったか)。当サイトでは2020年9月30日(筆者註・実際は29日)に放送された「イット」の画像も含めて「…ニュース写真ともに加工されたものではないとお考えでしょうか、根拠とともにお示しください」という問いかけをしたが、戻ってきた答えは「取材の詳細についてはお答えしておりません。」であった(免職教師の叫び(14)先生の影)。

2021年4月、ネットテレビ出演時の石田郁子氏(ABEMA画面から)

 フジテレビがこの写真を記事とともに掲載を続けているということは、今でもこのショットは石田氏の言うように、石田氏が高校3年時に鈴木氏とオコタンペ湖に出かけた時に撮影されたという主張を認めていることを意味する。

 当サイトが当該写真は合成されたものであるとしたのが2021年8月15日のこと(免職教師の叫び(19)影なき闇の不在証明)。あれから2年半以上の時が経過したが、それでも掲載をやめない事実はメディアとしての良識を疑わずにはいられない。フジテレビもまた、鈴木氏に対する加害行為を継続していると言って差し支えない。

 次回は、提出した調査報告書のメインテーマである影のつき方についての部分を紹介する。

”幽霊写真”で教師をクビ 札幌市教委の無謀 へつづく)

    "偽造の痕跡くっきり フジ放送フェイク写真"に1件のコメントがあります

    1. ごんコタツ より:

      メディアは、真実とビジネスを天秤かけて悩むくらいの人間性は見せて欲しい。
      都合とビジネスのみで物事を判断しているのに、正義面されても困る。

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