自称”性被害者”にメディアが距離 提訴の影響か

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
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 札幌市の元教師が免職処分取消しを求めている裁判で、被害者とされる写真家の石田郁子氏(46)に対するメディアの扱いに変化が見られる。5月2日に日本版DBS(Disclosure and Barring  Service)の国会審議が始まる前に石田氏らがこども家庭庁に要望書を提出したが、同氏の名前を出して報じたのは確認できるだけで日本テレビ系のみ。これまで実名顔出しの被害者としてメディアで取り扱われることが多かったことを思えば、大きな変化と言える。

◾️朝日、琉球新報、道新が…

石田郁子氏(日本テレビ画面から)

 2日のnews every.(日本テレビ系)は要望書を提出した石田氏に取材をして、オコタンペ湖展望台で撮影したとする写真を紹介するなど、大きな扱いをしたのは前日の当サイトの記事で紹介したとおり(日テレもフェイク写真放送 合成の証拠部分隠す)。日本版DBS導入に向けて国会審議が始まる前に、その法案を推進する立場の団体が要望書を提出することは、社会的に見て決して小さな出来事ではない。

 教育現場での児童の性被害防止に果たす日本版DBSの役割はほとんどの国民が理解しているはず。とはいえ制度導入により国民の職業選択の自由を侵害するおそれはあり慎重な扱いが求められ、児童の安全、人権との兼ね合いが議論されることになる。その点を考えた時に実際に教育現場で被害を受けた人の証言を報じる価値が高く、特に実名・顔出しで語ってくれれば証言の真実性を多くの読者・視聴者は感じられる。

 そのため、実名・顔出しで被害を語り、日本版DBSへも積極的にコミットしていた石田氏は一部メディアから重宝されていたのは事実。2024年3月に同制度の創設法案が閣議決定されたのに合わせて各メディアが特集を組んでいる。その中で、朝日新聞、琉球新報、北海道新聞などが石田氏を登場させた(朝日新聞DIGITAL・あのとき認識できなかった性被害、20年が過ぎ 日本版DBSに思う)(琉球新報電子版・防止策「広く網」「日本版DBS」運用が焦点)(北海道新聞デジタル・子の安全 働く権利どう守る 「日本版DBS」法案決定 運用ルール焦点に)。

 これに先立ち、2023年8月には関西テレビで同様の特集が組まれた(関西テレビNEWS・子どもを性犯罪から守る“日本版DBS” 導入したらどう変わる? 学校以外の塾やジムは? 教師からの”性暴力”被害者は「疑う発想なかった」 専門家「対象をどこまで広げられるかにかかっている」)。

 教育現場での児童の性被害は、まさに石田氏のフィールドであったことはこうした報道実績が如実に示している。

◾️日本テレビ系以外は沈黙

 これが今回の要望書提出においては石田氏の名前が日本テレビ系以外では全く出てこない。もともと、この要望書は合同で提出されている。性被害当事者が生きやすい社会の実現を目指すという一般社団法人Spring(共同代表・田所由羽、早乙女祥子)、石田氏が代表を務めるBe Brave Japan、大船榎本クリニック 精神保健福祉部長の斉藤章佳氏の三者である。

 日本テレビはこの中で実際に性被害者であると自称する石田氏に注目して大々的に扱い、オコタンペ湖の写真まで公開したのは、メディアとしてはごく普通の取り扱いではある。ところが、記者会見を行ったにもかかわらず他の媒体は石田氏の存在を無視した。

 朝日新聞DIGITALではこの要望書提出そのものを報じていない(検索してもヒットしない)。つい1か月半前に石田氏を使って特集を組み、その取材対象が実際に問題に対してアクションを取れば、以前の記事との関連性から必ずと言っていいほど扱う。報道の連続性というのは現場も社内も必ず意識する。

 北海道新聞はもともと札幌での事件として様々な局面で積極的に報じてきた実績があり、免職された鈴木浩氏(仮名)が提起した処分取消訴訟の第1回口頭弁論にも取材で訪れている(免職の元教師法廷へ「絶対に納得できない」(前)参照)。それらの点から朝日新聞以上に報じることの必要性があるはず。

 ところが道新は要望書の提出者をSpringのみとして石田氏の存在を無視。掲載写真の中央に石田氏がいるという何とも不思議な構成になっている(北海道新聞デジタル・日本版DBS見直し要望 性被害防止へ関係団体)。

◾️訴え提起と報道の関係

 筆者(松田隆)も新聞社出身でニュースバリューや報道の連続性などについてはそれなりに経験があり、それに照らすと今回の日本テレビを除く媒体が行使した”報じない自由”は極めて不自然に映る。

 道新や朝日のこうした姿勢は、鈴木浩氏が処分取消しの訴えを提起したことと無縁ではあり得ない。石田氏は学校で性的被害を受けたと主張するが、鈴木氏はそれを真っ向から否定している。2024年1月19日に札幌地裁に提出した原告準備書面(1)では以下のような強烈な文言が並ぶ。

「原告(筆者註・鈴木浩氏)は被害者と称する訴外石田の虚偽事実の申告により重篤で悲惨な社会的境遇に陥れられている。本件処分(筆者註・懲戒免職処分)は虚偽の非違行為なるデッチ上げを不当にも事実とする前提のもとで行われた違法かつ不当な処分であり速やかに取り消される必要がある。」

「…原告は本件非違行為を全く行っていないので訴外石田を『被害者』と呼称すべきではなく被告(筆者註・札幌市)が同人を『被害者』と表記することを原告は認めない。」(以上、現職教師からも応援の声 札幌免職取消し訴訟 参照)

 これらの事実はこの問題を唯一扱い続けている媒体である当サイトで明らかにしており、メディアではチェックしていると思われる。そのため、石田氏の言う性被害の有無は現在、係争中であり、一方の言い分だけを鵜呑みにして報じると様々なリスクが生じるおそれがあるという判断が働いたと考えるのが通常の思考であろう。

◾️各媒体の姿勢から見えた提訴の重み

 石田氏は2019年に鈴木氏と札幌市相手に損害賠償請求の訴えを提起し、同年9月に東京高裁に控訴した時から共産・社民系の左翼系団体の介入が目につくようになり、メディアへの露出が目に見えて増えた(免職教師の叫び(24)左翼勢力の暗躍 参照)。

朝日新聞東京本社(撮影・松田隆)

 鈴木氏が2021年1月に免職されてからは、特に石田氏の主張する「教育現場での性被害者」というポジションが重宝されるようになった。それが今回の日本テレビ系を除くメディアからの冷遇である。”冤罪”を訴え審査請求ー提訴と戦い続ける鈴木氏の姿は徐々にメディアにも届くようになり、提訴によってそれは無視できないレベルになったことが原因なのかもしれない。

 日本テレビ系が報じた理由は不明で、単なる情報不足の可能性はある。穿った見方をすれば、鈴木氏勝訴に備えて合成されたオコタンペ湖の写真を入手したかったという見解も可能であろう。それは鈴木氏サイドから名誉毀損で刑事・民事双方の責任を問われるリスクを伴うが。

 いずれにせよ、今回の各社の報道姿勢を通じて(この案件は一筋縄ではいかない)という認識が各媒体に広がっていると思われる。鈴木氏の提訴の重みはこのようなところにも出ていると言っていい。

(この項おわり)

日テレもフェイク写真放送 合成の証拠部分隠す に戻る)

    "自称”性被害者”にメディアが距離 提訴の影響か"に3件のコメントがあります

    1. BADチューニング より:

      件の日テレが、『“日本版DBS”審議入り』に託けて石田氏のニュースを本日付(5/9)でWebに上げています。
      石田氏のハナシを鵜呑みにした算定的な感想がほとんどで腰が抜けました。

      1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

        ご連絡をありがとうございます。

        取消訴訟が始まって、その事実関係が争われている中、日本テレビがこの記事を出す意図がよく分かりません。さすがに何も知らずに出すことはないと思うのですが…。この事件は本当に色々なことが起きるというのを実感しています。

    2. 通りすがり より:

      >一般社団法人Spring(共同代表・田所由羽、早乙女祥子)

      Springといえば草津町長への誹謗中傷で名を売ったこと女性被害界隈で有名になりましたね。
      東京で公金チューチュースキームを構築しようとしている連中との繋がりもあり、性被害者女性や社会的弱者の女性をダシに活動範囲と公金を原資とする「補助金」という名の利益を拡大しようと暗躍する似非フェミニスト集団ですね。
      石田氏の後ろにもSpringやそれに連なるフェミがいるというのは最早逆効果にすらなりかねないと思いますけどね。
      今やそういった活動家集団の実情みたいなものも詳らかにされつつありますし。

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