日テレもフェイク写真 合成の証拠部分隠し放送

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 日本テレビ系のnews every.が2日、当サイトが合成であると証明した写真を放映した。札幌市の元教師が免職処分取消しを求めて提起した訴訟で、当サイトが札幌地裁に提出した調査報告書でフェイクと断じた写真を紹介。もっとも、フェイクの証拠となる2つの太陽光源を示していることが分かるアングルを避け、合成加工の跡を示している部分は2~3秒ほど流しただけで、あとは字幕で隠すなど不自然な紹介の仕方をしており、逆にフェイクであることを間接的に示す結果となっている。

◾️オコタンペ湖写真再び

上が日本テレビが放送した写真、前方に伸びる柵の影は見せていない

 news every.は2日、日本版DBS(Disclosure and Barring  Service)の国会審議が始まる前に、石田郁子氏(46)がこども家庭庁に要望書を提出したことを取り上げた(日テレニュース・日本版DBS法案審議へ 女性が証言…中学時代の教師から性被害「被害なくなるよう」訴え)。

 同氏は当サイトがここまで何度も扱った、2021年に札幌市の中学教師・鈴木浩氏(仮名)が28年前にしたとされるわいせつな行為の被害者と自称する人物である(参照・札幌・元教師の戦い 免職処分取消訴訟免職教師の叫び連載全39回)。

 石田氏は同局の取材に応じ、番組内でオコタンペ湖で撮影したとする鈴木氏とのツーショット写真が放送された。この写真こそが同氏が2016年10月までに札幌市教委に提出した(2人が交際していたことを証明する)ものであり、2020年9月に「イット」(フジテレビ系)で放送されたものである。

 当サイトは当該写真が、オコタンペ湖展望台の写真と札幌大通り公園で撮影されたという鈴木氏と石田氏のツーショットを組み合わせたもの、合成されたものであることを検証し、調査報告書にまとめて4月18日付けで札幌地裁に提出した(札幌教師免職取消し訴訟 当サイトが報告書提出)。その内容は既に4月18日から同27日にかけて当サイトが4本の記事で詳細に伝えた(参照・”幽霊写真”で教師をクビ 札幌市教委の無謀 ほか)。

 今回、日本テレビはオコタンペ湖での写真を8分28秒の特集で3回(12秒、7秒、11秒)、合計30秒という短い時間でしか紹介せず、その紹介の仕方は不自然なものであった。

◾️なぜ柵の影の部分をカット

 冒頭に掲げた写真をご覧になっていただきたい。今回、日本テレビが放送した写真で最も範囲が広く写されているのが3葉の中の上部の写真である。左下のフジテレビが紹介した写真では、後方にある柵の影が2人の前に伸びているのに、2人には向かって左から太陽光が当たって本来、石田氏の右半身に投影される柵の影が写っていない。そのことで太陽光源が2つある写真で、合成された証拠の1つとした。右下の石田氏が市教委に提出した写真も同様である。

 ところが、今回の日本テレビが明らかにした写真はアップにしたショットが多く、2人の前方に伸びる影が写っている部分はカット(トリミング?)されている。上のショットが最も広く写っているものであり、石田氏の右半身、鈴木氏の背中に太陽光が照射されているのがはっきりと分かる。つまりこの部分だけを取れば太陽は向かって左にある1つだけ。

 フジテレビはうっかりしていたのか、太陽が後方(写真奥)にあって、柵の影が手前に伸びている部分も写してしまったため、本来あるべき石田氏の右半身に投影された影がないのはおかしい、太陽光源が2つあると当サイトから指摘される結果となった(免職教師の叫び(19)影なき闇の不在証明)。その部分はあらためて先月27日の記事で明らかにし(”幽霊写真”で教師をクビ 札幌市教委の無謀)、札幌地裁に調査報告書として提出したことを明らかにしている。

 こうした事実を踏まえれば、日本テレビがオコタンペ湖の写真を柵の影が映らないように紹介した背景には、当サイトが提出した調査報告書の内容が意識された可能性はある。フジテレビと同じように柵の写真が写っていると、視聴者から「太陽光源が2つある」「石田氏の右半身にあるはずのビーム(柵の横棒)の影がない」などの指摘がなされるおそれがある。それでこのように柵の影がない部分だけを放送したのではないか。もちろん、石田氏が当サイトの指摘を受け、元の写真をトリミングして日本テレビに提供した可能性もある。

◾️隠された「黒い領域」

 日本テレビの写し方が不自然なのは上記の点だけではない。鈴木浩氏の足の部分を中心に発生した「黒い領域」の部分は、わずかな時間映された後、字幕で隠されている。

 「黒い領域」とは、画像を切り抜く時にボヤけている部分に起きがちな現象で、調査報告書作成時の検証に協力してくれたA氏は「動きのあるところは残像が写るため、背景と半透明で重なります。または、人物と背景の境界線がはっきりしない場合、(写真加工ソフトの)フォトショップ(photoshop)はこの部分を半透明として扱います。半透明の部分と背景の色が重なることで濃い色、つまり黒っぽくなることがあります。丁寧に処理する場合は、photoshopではマスクを作成し背景と違和感のないように合成します。」と説明する(偽造の痕跡くっきり フジ放送フェイク写真)。この黒い領域がフジテレビ放送の写真では鈴木氏の腕から足にかけてはっきりと現れている。

 日本テレビの写真で黒い領域の部分についてはっきり見えるのは2~3秒で、すぐに字幕が上から被せられて見にくくなっている。このように上記の部分を含めて石田氏の全身と鈴木氏の下半身が見られる画像は8分28秒の動画のうち2分49秒から同56秒までの7秒間しかない。

 また、フジテレビの時ははっきりと見えていた黒い領域が日本テレビの写真では黒が薄くなり、半透明になっているようにも見える。これは当サイトの指摘を受けた後に再加工された可能性を疑わせる。

鈴木氏の手足の周囲に存在するはずのない「黒い領域」が見える

 見た目だけでは直ちに判断はできないが、冒頭の写真で鈴木氏の右足のふくらはぎの周囲の領域をフジテレビと日本テレビのもので見比べていただければ、その違いを感じられるかもしれない。

◾️日本テレビしか報じないという事実

 このように日本テレビの放送は、被害者としての石田氏の正当性を強調するあまりか、逆に当サイトの指摘が急所を突いていることを間接的に示すものとなっているように思える。

 日本テレビはそこまでして報じなければならない理由があったのかは不明であるが、実は今回の報道で最も注目すべき点は、この件を日本テレビしか報じていないという事実である。各メディアは(この事件は触るとアブない)と感じ始めているのではないかと思わされる。そのあたりは次回に。

自称”性被害者”にメディアが距離 提訴の影響か につづく)

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