教育系YouTuber松原•モリテツ氏 生徒”見せもの”

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 教育系YouTuberとして知られる松原一樹氏、森田鉄也氏が、それぞれのチャンネルで特定の学生を指導する投稿を続けている。指導される学生は演出でなければ過去の言動から虚言癖があると見られ、学力もコミュニケーション能力も通常人より劣る印象。何らかの障害を有しているようにも見える中、入学できるはずがないレベルの大学を目指すとして、両者の指導を受けている。問題を抱えている学生を、ある種、見せもののようにして再生数を稼ぐ手法は教育に携わる者として倫理的な問題は残る。コメント欄には学生が障害を抱えているとする声も見受けられ、差別や偏見を助長しかねない内容に憤りを感じる者も少なくないようである。

◾️模試の結果は虚偽との指摘

左・森田氏、右が松原氏(森田氏YouTube番組画面から)

 松原・森田の両氏に指導を受けているX君は番組内では仮名で登場しているが、その仮名も視聴者に定着しており、学生の将来を考え伏せる。また、本来なら必要な動画へのリンクも控え、当該学生にとってデジタルタトゥーとならないようにする。

 X君が最初に登場したのは2021年12月の「受験生版令和の虎(Tiger Funding)」。その時の自己紹介では19歳、浪人中であったとされている。名古屋市大を受験し、英語の教師になりたいとして大学合格後に42万7000円の投資を希望。

 開始早々「自分は霊感がある」「入院した時に幽霊に手を叩かれた」といった発言をして出資予定者(虎)たちを驚かせた。森田氏も、松原氏もその中に含まれている。

 医師でもある細井龍氏は「霊感は僕らは信じていないんですけど、医学的には。そういうのを感じやすい人っているじゃないですか。言うとちょっと失礼になってしまうかもしれないけど、精神疾患と紙一重みたいなところがあって…」と発言。問われるまま、X君は幻聴が頻繁にあること、自分が他人から悪口を言われている感覚になることもよくあると答えている。

 一般の視聴者はそのやり取りを聞き、X君には何らかの精神的な疾患がある、そこに至らないまでも重度のストレスを負っていることを感じたと思われる。

 X君は睡眠時間を2時間にして勉強を続けたこと、5月の時点の模試では偏差値が英語+リスニングが29.4、数学1Aが33.1、国語が34.0であったが、2か月後の7月にはそれぞれ70.0、77.3、69.3にアップした結果を示した。わずか2か月でこれだけのアップは信じ難いとして、森田氏によるリスニングの簡単なテストをやってみたところ、極めて基本的な質問に対して答えが言えないどころか、内容すら把握できなかった。ちなみに7月での英語のリスニングの偏差値は76.7である。

 これらの事情から細井氏は「マーク模試(の結果)は…虚偽だと思います。間違い。何かしらの手違いか、ご本人が答えを知って受けたんじゃないかと」と指摘した。X君は否定したが、実際に極めて初歩的なリスニングの意味すら理解できない人間が偏差値76.7を出せるはずがなく、細井氏の指摘はごく真っ当なものと言えよう。

 そもそもこの時の動画のタイトルには「虚言癖」という単語が含まれており、同チャンネルにおいても、その疑いを有しているものと思われる。

◾️X君の学力を疑うモリテツ

 このような状況であるため”モリテツ”の愛称で知られる森田氏は出資はしなかったが、松原氏らが出資を決定し、X君は合格の条件つきながら資金獲得に成功した。別動画ではこの回を受けて”虎”たちの座談会が行われている。森田氏は「模試の記述の部分ですね。自由英作(文)とか自由度が出てくる問題は全て0点です。一切(得点が)取れてないですし、”boat”のスペルも書けないです。”boat”も間違っていました。ただ、マークだけ、記号を書く客観問題は点数が取れてます。これは本当の学力だとは全く思えないです。虚偽をして事後受験をして持ってくるって子はいっぱいいます。」と証言し、横に座る松原氏も何度か頷いている。

 X君はその後も「受験生版令和の虎(Tiger Funding)」に呼ばれ、最終的に関西にある外国語の短大に進学したことが報告された。同時に森田氏は自身が運営するチャンネル(Morite2 English Channel)にX君を呼んで近況を報告させるなど関係を深めた。

 X君は入学した短大を留年したことで新たに受験することとし、今度は国立大学医学部を目指す、そのステップとして早稲田大学を目指すなど目標を変更。昨夏からは松原氏も積極的に関与するようになり、松原氏のチャンネル(YouTube予備校 松原一樹-偏差値29から早稲田に受かった元祖「逆転合格」-)にもX君が登場し、現在に至っている。

 森田氏の番組ではX君が出た回は総じて再生数は多く、X君が他人のTOEICのスコアを盗用する事件を起こした際に、それを認めて謝罪する回では80万を超える再生数を集めている。森田氏の番組ではX君は数字を取れる優良コンテンツという位置付けであるのは客観的事実である。

◾️社会通念から外れた行為

 松原氏は昨年末にX君に対して「僕はこれでも4000人くらい生徒さんを見てきてるので、個別に。この方は頑張ればいける、いけないっていうのは見えてくる。見えてこない時は…『うちの予備校では君を受からせることはできないから、ごめんなさい』って言います。…Xちゃんが一生懸命勉強しても医学部に行ける余地がないと感じたら僕はそれを言います。…」と番組内で伝えた。

 それから5か月近くが経過しようとしているが、そうした最終通告をした形跡はない。そもそも中学英語の文法を理解せず、”boat”の綴りも知らず、短大で留年したX君が国立大学医学部に合格できないことなど容易に想像がつく。最初から到達できないことが分かりきっているゴールを目指し、できない人間のできないところや、不正行為を用いて上辺だけ取り繕う姿を見せることは、その人間に一生拭い去ることができないデジタルタトゥーを刻み込むに等しい。

 X君がYouTubeに初登場してから2年半近くになるが、ここまで彼の言動を見る限り、番組内で演出がなされていないとすると、素人目ではあるが何らかの障害、もしくは疾病を負っているのではないかと想像できる。実際、冒頭にも書いたように虚言癖というキーワードが最初の番組のタイトルに含まれている。前出のTOEICスコアの盗用だけでなく、マーク式の模擬試験を受け、自己採点をしている時に正解を見ながら、問題用紙に正解を書き込もうとするなど不正の瞬間も森田氏の番組ではそのまま放送された。こうした行為を多くの人が目にするであろうYouTubeのカメラの前で実行できること自体、社会通念から大きく外れている。

 通常のやり取りでも他者の言い分をなかなか理解できない、円滑なコミュニケーションが成立しない、言葉がスムーズに出てこないなど、基本的な理解力、表現力が不十分と感じさせる部分が少なくない。

 YouTubeのコメント欄でもX君を揶揄するものに加え、真剣に心配する声、動画を拡散している森田氏・松原氏への批判などが出ている。

「答え見た後に印付けようとしてる。虚偽精神も何年経っても変わらない。」

「ホンモノってまじで顔に出るよな 見た目でわかるのってなんか残酷やな」

「大変失礼ですが、模試より精神科でウェクスラー式知能検査=WAIS(ウェイス)を受けたほうが良いと思います。臨床心理士や精神科医に相談されることをお勧めします。模試問題の内容の意図が読めていない、モリテツさんと話がかみ合ってないなど「物事」と「相手」という対象に関する理解があまりになさすぎです。モリテツさんから何か言われてもボーっとしていて響いていないし、終始他人事のように集中していない印象を受けます。」

「ガチで見せ物にするべきじゃないと思う。受験やめて働こう」

「…見せものにして再生数稼ぎしようとしてる意図しか感じない。」

「なんかもうみてらんない…」

(以上、森田・松原両氏の番組についたコメントから抜粋)

◾️両氏に9つの質問投げかけも…

右・X君(松原氏YouTube番組画面から)

 このように障害もしくは疾病が疑われる、それでなくても常人と比べて理解や反応が遅く、虚言を弄することを厭わない性格をYouTubeで広く拡散することは、X君の今後の人生に決定的な不利益(デジタルタトゥーなど)を及ぼし、さらに障害・疾病を持つ人、それと疑われるような状態にある人への差別と偏見を助長しかねない。

 上記のコメントにもあるように、過去には見せもの小屋で障害を持つ人々を好奇の目に晒してお金を取るという信じ難いビジネスが行われていた。21世紀の今、形を変え、オンライン上で同じような構図のショーが繰り広げられているのかと思うと憤りを覚える。しかも、”見せものショー”を主催しているのが教育業に従事する人間である。

 当サイトでは、森田氏と松原氏にコンタクトを取り、9つの質問に回答するように求めた。代表的なものを示す。

(2)X氏の出演に関し、キャラクター作りのような演出を行っていますでしょうか

(4)YouTubeのコメント欄にX氏に障害の疑いがあるといった書き込みが見られますが、その点についてどのように考えていらっしゃいますでしょうか

(8)これまでの経緯、現在の番組制作の状況からして「X氏の普通の人と異なる様子を見せ物にして視聴数を稼いでいる」という批判に対して、どのようにお考えでしょうか

(9)教育に携わる人間として、現在のような形でX氏に関する動画を投稿し続けることは適切な行為とお考えでしょうか

※送付した質問では、Xの部分はYouTubeで用いられている仮名を使用している。

 森田氏は指定した回答期限までに何の応答もなかった。松原氏とは電話で話し、メッセージ機能を用いて回答するとの返答を得たが、期限までに回答はなかった。松原氏は電話で(X氏が望んでやっていることなので問題ない)という趣旨を口にしている。その内容については、次回、お伝えする。

 知らぬ存ぜぬの森田氏、何が悪いと言わんばかりの松原氏。こうした人物が教育業界で一定の評価を受け、受験生を指導しているのかと思うと暗澹たる気持ちにさせられる。

生徒”見せもの”批判に松原氏「本人が公開希望」 つづく)

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