同性婚判決を誤読するメディアの無知
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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札幌地裁が同性婚に関する訴訟で3月17日、違憲の判断を示したが、判決の趣旨を理解できていないメディアが少なくない。同地裁は「同性婚を認めないことが違憲」などとは一言も言っていない。毎日新聞などメディアの理解力に疑問が残る結果となった。
■札幌地裁判決に対する信じられない報道
札幌地裁の判決について、以下の新聞の社説・記事の見出しを見ていただきたい。
①「同性婚否定は『違憲』 人権尊重した画期的判断」(毎日新聞3月18日付け社説)
②「同性婚を認めないのは『差別にあたり違憲』…」(読売新聞3月18日付け)
③「同性婚否定『違憲』…」(産経新聞3月18日付け社説)
どれも同性婚を認めないのは憲法に反するという趣旨の見出しとなっている。内容を見ると、ほぼその通りである。
①同性同士の結婚を認めない現在の制度は、憲法に違反するとの初めての判断を札幌地裁が示した。法の下の平等を定めた14条に違反していると認定した。
②武部知子裁判長は「同性婚を認めない民法と戸籍法の規定は差別にあたり、憲法14条に違反する」と違憲判断を示した。
③…同性婚を認めないのは法の下の平等を定めた憲法14条に反すると「違憲」判断を示した。耳を疑う。
3つの社説と記事は、どれも札幌地裁の判断は「同性婚を認めないことが、憲法14条に反する」としたように読める。そうであれば、それは画期的であろうが判決文を読むとそのようなことは書かれていない。上の3つの新聞社の社説執筆者・記者はあまりに不勉強と言うしかない。
■「同性婚を認めないことが違憲」などとは言ってない
今回の札幌地裁の判決は「同性婚を認めないことが違憲」などとは言っていない。判決骨子から抜き出すと「本件規定が,同性愛者に対しては,婚姻によって生じる法的効果の一部ですらもこれを享受する法的手段を提供しないとしていることは,立法府の裁量権の範囲を超えたものであって,その限度で憲法14条1項に違反する。」と言っているに過ぎない。
「本件規定」とは「同性間の婚姻を認める規定を設けていない民法及び戸籍法の婚姻に関する諸規定」(判決文から)のことを指す。
婚姻によって様々な法的効果が生ずる。代表的なものが相続である。相続が生じた場合、配偶者には最低でも2分の1の法定相続分がある。ところが婚姻は男性と女性でしかすることができない。憲法24条1項の「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し…」という規定については、「同条は異性婚について定めたものであり…」(判決文から)としており、同地裁も憲法は同性婚について規定していないことは認めているのである。
同性同士では婚姻ができず、その結果、婚姻によって生じる法的効果を得ることはできない。憲法で婚姻は異性同士と定めていると解釈しているのであるから、同性婚を認めないことが違憲になるはずがない。札幌地裁が言ったのは、同性同士は婚姻ができないのは仕方ないが、婚姻によって生じる法的効果を全く与えなかったことは平等原則に反するということである。
つまり、同性同士で結婚できないのは仕方がないが、たとえば、同性同士でも配偶者と同じような相続の権利を得られるようにしなかったことが問題(立法府の裁量権の範囲を超えている)であり、同性愛者に対する不当な差別であるということ。この判決に従えば、憲法はもちろん、民法や戸籍法の婚姻の規定をいじらずに、同性同士のパートナーに関しての規定や制度を加え、たとえば相続について同性パートナーも配偶者と同様のものとする制度を構築すれば違憲状態は解消される可能性がある。
■朝日新聞はまだまともだった
ここでもう一度、毎日新聞の社説を見てほしい。「同性同士の結婚を認めない現在の制度は、憲法に違反するとの初めての判断」と書いてあるのは、とんでもない間違いであることに気づく。この毎日新聞の社説は、憲法24条が憲法14条1項に反すると言っているに等しい。書いていておかしいと感じないのか、不思議である。
しかも、3社とも「憲法14条に違反」としているが、実際は「憲法14条1項に違反」で、判決文にもそう書かれている。憲法14条2項は華族制度の禁止、同3項は栄典の授与の規定である。平等原則違反ということであれば14条1項にのみ反する。同性婚と華族制度、栄典の授与は全く関係がない。2項・3項を含めたことになる「14条に反する」という表現は正しくないことぐらい分かりそうなもので、お粗末としか言いようがない。
産経新聞は判決を聞いて「耳を疑う」と書いているが、疑ったはいいが疑っただけで、誤って理解したまま社説を書いてしまったようである。
この点、まだまともだったのは朝日新聞。札幌地裁の判決の内容について「同性間の結婚を認めず、国が法的保護を一切与えないのは不合理な差別で、法の下の平等を定めた憲法に違反するーー。」(3月18日付け社説)と、比較的、正確に記述している。朝日新聞は一応、判決文を読んで社説を書いたようである。
■国民をミスリードした責任はとるべき
毎日新聞、読売新聞、産経新聞は少しは法律を勉強してから社説や記事を書いた方がいい。これらの記事を読んだ国民は「札幌地裁が同性婚ができないのは、違憲と判断した」と誤解するであろう。
とんでもないミスリードをしてしまったことの責任は、しっかりと取るべきであろう。
女性裁判官とのこと、そして判決の際涙したとか、
同性愛、同性愛者への思い入れがあることは容易に理解できます。
法律にうとく詳細は知りませんが、
内縁の妻に対して、その状態条件により相続上の権利、その他も多少認められるとか、
女性裁判官も朝日新聞もそれへと敷衍させる意図があると考えます。
>朝日新聞。
札幌地裁の判決の内容について同性間の結婚を認めず、
●国が法的保護を一切与えないのは不合理な差別で、法の下の平等を定めた憲法に違反する。
同性愛者も事実上の夫婦として生活している者達もあるのだ、異性愛者の内縁の妻(内縁の妻夫と併記しないと差別だ~!といわれてしまう)男女の事実婚と同じだ、事実婚と同じく何らかの権利を同性愛者にも認めるのが平等ではないか、同性というだけでそれを容認しないのは法の下の平等に反すると。
基本、論理の体を成していないがその目的は対社会へのイメージ操作でしょう。
マスコミもしかり、それを意図した報道だ、産経は???
マスコミ報道により、私も含め法律に疎い者は、
同性婚を認めぬことはさておき、同性愛のっカップルに何らかの権利を認めないのはやはり不平等ではないか、認めてもよいのではないか、という漠たるイメージを持ち、それは、社会にある空気、エートスが形成される。
空気、エートス(集団や社会層に共有されて無自覚的レベルで人々の ひととなり を規制しているしきたり)同調圧力
ルール オブ ザ ニューマ 空気の支配 という表現を思い出しました。 故小室直樹氏がよく使用していた。
この形成が目的です。
判決の非論理性
>同性同士は婚姻ができない、しかし婚姻によって生じる法的効果を全く与えなかったことは平等原則に反する。
異性婚、男女に置き換えた場合、原則として。
●婚姻していない男女に対し、婚姻によって生じる法的効果を全く与えないのは平等原則に反する?
結婚していないのだから法的効果は発生しない。
前提として同性婚は認められておらず、よって婚姻により発生する効果は発生しない。
上記の論理にもかかわらず、同性愛問題を男女の事実婚の権利に敷衍させる対社会的イメージ戦略である。
欧米のジョークに、
大富豪の葬式で、泣いている男がいた。
家族でもないのに何故ないているのかと問うと、
家族ではないから泣いているのだと、(相続権が無い)
幼馴染、長年の友人、その友情を鑑みても相続権はない。
異性愛者の友情に相続権は認めない。なぜ同性愛者の性愛に認めよとするのか。
友情と性愛の相違は何か。
敵の多面波状攻撃があるとコメントしました。
札幌地裁の判決はこれ又同じく攻撃である。
一点突破の全面展開は70年代左翼の常套句なり、今も同じく。
蟻の一穴から亀裂を生じさせしめんとする。
同性婚、夫婦別姓 LGBTあらゆる差別をなくす 移民の容認 どれか一点を突破し他へも展開し規制秩序を破壊せんとする戦略である。
実戦においては互いに呼応しあいこれらを同時多面的に展開している。
女性裁判官は敵である、無論マスコミも。 産経は?
敵の構成は前に説明したが再度。女性裁判官は下記のどれに当たるかは不明である。
中核を成すファシスト、そのプロ組織、プロ市民、シンパサイダー達、同じ資質を有する者達。
洗脳された者達(敵だ!しかしながら洗脳を解く対応は必要である)
追記
ファシスト呼ばわりされたと、名誉棄損で提訴される可能性ありやなしや、、
同性婚の判決には注目しており、松田さんの記事のアップをお待ちしておりました。
絶対に記事にすると思っていましたから。
詳細なご説明を有り難うございました。
〉これらの記事を読んだ国民は「札幌地裁が同性婚ができないのは、違憲と判断した」と誤解するであろう。
*****
国民の多くは、誤解したと思います。
私は、「松田記事は、事実を詳細にわかりやすく説明するはずだ」と信じていましたから、他の情報は入れませんでした。
この選択肢は、正しかったようです。
今、外にいてコメントを書いていますが、スポーツ新聞を読まれているオジサマを発見!私の席から、いい具合に紙面が見えます。
言い難いのですが、実は私、スポーツ新聞を一度も見たことがありません。
カラフルなんですね。紙面の構成も独特な感じ。なんだか、新鮮な感じがしました。
>>月の桂様
コメントをありがとうございます。
同性婚を認めないことは違憲、という見出しを見て(憲法24条があるのに、裁判所がそんなことを言うかな?)と不思議に思って判決に当たったら、案の定、メディアの誤読だったという信じられないオチでした。
多分、最初の共同通信の記事に引っ張られたのだと思います。国民をミスリードするもので、各社訂正が必要だと思うのですが、その気配はありません。まずはソースにあたるという基本に忠実であってほしいですし、メディアを疑ってかかれというのは非常に重要なことだなとあらためて感じた次第です。
憲法24条1項との整合性を全く無視しているから、
高裁でひっくり返す可能性大ですが、メディアスルーです。
>>トトロ様
コメントをありがとうございます。
24条1項の解釈については、札幌地裁判決は「両性」を男女と解釈しているので、その点はいいのではないかと個人的には思います。
別件ですが、毎日新聞関連のコメントをいただきましたが、「風説の流布」に当たる危険性があると感じ、公開を見合わせていただいています。ご了承ください。