福原愛さんを苦しめる”マザコン”夫

The following two tabs change content below.
葛西 健二🇯🇵 @台北 Taipei🇹🇼

葛西 健二🇯🇵 @台北 Taipei🇹🇼

京都産業大学外国語学部中国語学科、淡江大学(中華民国=台湾)日本語文学学科大学院修士課程卒業。1998年11月に台湾に渡り、様々な角度から台湾をウオッチしている。

 卓球女子で五輪2大会でメダリストとなった福原愛さんの不倫疑惑は、台湾でも大きく伝えられました。幸せそうな福原愛さんですが、結婚生活に疲れているのかもしれません。そこには台湾人の男性と結婚した日本人女性ほぼ全員と言っていい人々が直面する問題があるように感じられます。

■不倫疑惑報道にも「愛醬加油」の声はあるが…

テレビ番組でおしどり夫婦ぶりを見せる江宏傑・福原愛夫妻(TVBS News 2021年3月3日)

 福原愛さんは2016年に中華民国(台湾)の卓球選手である江宏傑さんと入籍、台湾南部の高雄市を生活拠点にしており、2児の母でもあります。アスリート夫婦としてテレビ番組に出演したり、大手家電メーカーのCMに登場したり、そのおしどり夫婦姿には多くの人が好印象を抱きました。

 メディアでは江さんの母親と福原さんの仲良しぶりを心暖まるエピソード(福原さんの長女出産に際して姑も励ましに駆けつけた、福原さんの誕生日には自慢の料理のレシピを伝授した等)として伝えており、良好な嫁姑関係を感じさせていました。福原さんは自分の母親も台湾へ呼び一つ屋根の下で暮らしており、多くの人が「理想の家族」として評価をしていました。

 円満そうに見えた福原さんですが、最近、自分の母親を含む家族を台湾へ残し単身日本へ出向き、年下の男性と時間を過ごしたことが日本の週刊誌で報じられました。同誌の取材に、男性と横浜や自宅で夜を過ごすに至った理由などを説明、一方で同じ部屋では過ごしていないと男女の関係を否定しています。このニュースは台湾で大きく報道されました。台湾のネット上では以下のような声が出ています。

愛醬加油 (愛ちゃん頑張れ)

新時代女性吧、就是要自由 (新時代の女性だよ、自由を求めているんだ)

 このように、応援や肯定的な声もありますが、母親と子供を台湾へ残し夫の知らない男性と会っていたことが騒動となっていることに、

以前真的很會演 (これまで本当にうまく演じていたな)

先出軌就輸了,這社會就是這樣 (先にしでかしたら負け、これが社会の常識)

演到哪了 這齣可以拖多久? (どこまで演じるの? いつまで言い繕う?)

 と、今まで抱いていたイメージとの落差や行為に厳しい辛言葉を投げかける人も複数いました。しかし、大半は以下のような声でした。

老媽小孩怎麼辦 (お母さんと子供はどうするの?)

不只小孩,連老媽都放生了… (子供だけではなくお母さんまで置いていくなんて…)

 見ての通り、残された子供と(実の)お母さんを案ずるコメントです。

 今回の騒動に関して台湾のユーザーは「福原さんが母親、子供、夫(と親族)を捨てて日本へ逃げた」というイメージを抱いており、「『おしどり夫婦・幸せな家族』は嘘だったのか」と戸惑いと怒りを抱いているように感じられます。

※コメントは「PTT 批踢踢實業坊」以下スレッドから。日媒爆福原愛『再也不回台灣』江宏傑傳求」 福原愛明明就偷吃出軌怎麼還有臉裝受害者」 福原愛是不是一手好牌玩到爛

■台湾人夫の対応に在台日本人は「やっぱり」

 台湾メディアは今回の騒動に関連して福原さんが江宏傑さんや江さんの母親や姉からモラハラを受けていたとも報じています(聯合新聞網 2021年3月4日)。例えば江さんの姉から「把家裡氣氛變糟  (<あなたのせいで>家の雰囲気が悪くなる)」と怒鳴られたり、江さんの母親から「妳是金雞母 (あなたは金を生む鶏)」と言われたそうです。メディアで伝えられてきた「良好な嫁姑・嫁小姑の関係」ですが、実際はあまり良好ではなかったのかもしれません。

 福原さんは上述の件で夫に幾度となく相談をしたそうです。しかし江さんは母の発言について「マイナスのイメージにとるな」と諭したり、冷たい対応をとったり、とかく母親や姉の味方をして、夫として妻を庇おうとしなかったといいます(鏡週刊2021年3月7日)。このようなことが今回の件の遠因になっているのではないでしょうか。

 先日、在台日本人の友人達と会食の機会があり、その席で「やっぱりな」と意見が一致したことがありました。それは「姑に対する台湾人の夫の対応」です。日本人女性が台湾人男性との国際結婚で苦労・後悔する理由の一つに、「親の意見に従順な子(特に息子)」であることが「孝順  (親孝行)」とする台湾の価値観と慣習があります。

■母親が息子夫婦の家庭に干渉しがちな台湾社会

 台湾では、母親が息子(娘)夫婦の家庭や子供達(孫)の教育に対してとかく干渉しがち(世話好き)です。しかも口を挟む母親に対して物を申す夫はほぼいないといっていいでしょう。

 母親の意見は絶対であり、息子(娘)はそれを素直に聞く「良い子」であることが美徳なのです。実際私も、台湾人男性に嫁いだ日本人女性が、姑の言うことを素直に何でも聞いて自分達の家庭を守ってくれない夫に愛想を尽かし、我慢できずに離婚→日本に帰国というケースを多々見聞きしています。

 また台湾(特に都市部以外)では息子が成人後も両親・祖父母と同居をするケースが多く、このような大家族ではそのような傾向がより顕著に表れるのではないでしょうか。「台湾人男性=親離れしない『媽寶』(マザコン)」、これは台湾に暮らす独立心旺盛な外国人(少なくとも私と友人達)のほぼ一致した見解です。「親離れしない子」の「従順こそが親孝行」と「子離れしない親」、これが台湾特有の親子家族関係です。

 福原さんも姑小姑に対する夫江宏傑さんのこうした態度に痺れを切らしたのかもしれません。

■スター夫婦の未来は予測不能も強烈スマッシュの可能性も

 ゴシップ好きの台湾メディアやネットで声高に人を叩いたり、悪し様に言ったりするネットユーザー「酸民」が今回の騒動に過剰に反応しているようですが、移り気な彼らのことですから、しばらくすれば話題に上がらなくなると思います。

 スター夫婦の未来は予想不能ですが、嫁姑問題に疲れた福原さんが「愛は去ります」と、強烈なスマッシュを打ち込む日が来るかもしれません。

"福原愛さんを苦しめる”マザコン”夫"に2件のコメントがあります

  1. MR.CB より:

    》》葛西様

    台湾情勢の分かりやすいレポートを、いつも楽しみに読ませていただいております。
    小生は台湾の人たちには、とても親近感を持って好印象を抱いています。東日本大震災の時、真っ先に多額の寄付を届けて頂きました。もちろん中国や韓国の方々にも、個々では親日の人たちもいらっしゃるでしょう。ですが、国家のイメージでは台湾が一番親しみを感じます。
    なので今回の愛ちゃんのスキャンダルが台湾でどの様に報じられているのか。台湾の人たちはどう思っているのか気になっていました。
    近くても遠い国というか、国民性がやっぱり国によっては大きく異なるのですね。むしろ同じ島国でも、特に日本人のDNAの方が世界的には独特(特異)なのかも知れません。
    先般の松田さんの米国の銃社会についての記事でも、同様に感じました。

  2. 葛西健二 より:

    》》MR.CB様

    鋭いご指摘ありがとうございます。
    親離れできない息子 と 子離れしない親 のべったりな関係が
    台湾の典型的な家庭構造です。
    「親を敬い従う」儒教精神が日本よりも色濃く残っていることも
    関係しているかもしれません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です