三浦春馬さん急逝に台湾式さようなら

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葛西 健二🇯🇵 @台北 Taipei🇹🇼

葛西 健二🇯🇵 @台北 Taipei🇹🇼

京都産業大学外国語学部中国語学科、淡江大学(中華民国=台湾)日本語文学学科大学院修士課程卒業。1998年11月に台湾に渡り、様々な角度から台湾をウオッチしている。

 俳優の三浦春馬氏が7月18日、他界されました。30歳でした。突然の訃報は台湾でも大きく報道されています。同時に日台の死生観の違い、送り出す言葉の違いも明らかになりました。

台湾で発言「子供が2人ほしい」「より良い生き方を」

2015年の訪台時の三浦春馬氏(自由時報 2020年7月18日から)

  私が三浦氏の逝去を知ったのは、台湾の友人からのメッセージでした。急ぎネットニュースを確認し訃報を目にしたとき真っ先に頭に浮かんだのは「なぜ」という思いです。その後、三浦氏が自ら命を絶ったことを知り大きなショックを受けると共に、若くしてこの世と決別した氏の胸中を思うと、胸が締め付けられる思いです。

 三浦氏は撮影などの仕事だけでなく、プライベートでも幾度か台湾を訪れています。そのため、台湾での知名度はとても高く、2019年8月には海外初のファンミーティングが台湾で行われ、700人のファンが集まりました。台湾のメディアも今回の訃報を大きく報じています。各社、関連ニュースを連日のように報道し、その足跡を振り返り、功績を称える特集を掲載しています。

 また複数のメディアが台湾での活動を紹介。上述のファンミーティングで将来の夢として「子供を2人授かりたい」と述べたことや、台湾メディアのインタビューで「より良い生き方をしたい」と答えたことを挙げ 、「令人無法想像他今天選擇走上絕路 (彼が行き詰まりの道を選ぶとは誰もが想像し得なかった)」(聯合報 2020年7月18日)、「惋惜他還這麼年輕(その若さでの別離に哀惜する)」(中國時報 2020年7月19日)と報じました。

ネットの悲しみの声と死生観の違い 

2019年の台湾ファンミーティング 多くのファンと交流 (当日司会を務めた「活力DJ 阿娟」さんのFBページから転載)

 台湾最大の掲示板「批踢踢實業坊」では三浦氏逝去の速報スレッドに驚き、悲しみ、哀悼等、7月22日現在までに相当な量のコメントが投稿されています(以下【新聞】三浦春馬年僅30歲家中身亡 多部新作公開在即から抜粋)。いくつか紹介しましょう。

怎麼會 (どうして)

拜託是假的 (嘘だと言って)

我說不出話來了 (言葉が出ない)

太震驚了 前幾天才看到他的新日劇消息 (とてもショックだ 何日か前に彼の新しいドラマの情報を見たばかりだから)

真的無法置信 不能接受 (信じられない 受け入れられない)

很難過、很傷心的 (とても悲しい  心が痛い)

希望他在另一個世界不再痛苦 (あちらでは苦しまないでください)

希望現在和未來的他能感到快樂幸福 (今と未来 幸せでいますように)

 このあたりは日台でもそれほど変わりはない部分でしょう。もっとも、同掲示板に立てられたスレッドでのコメントに、以下のようなものがありました。日本人が見るとドキッとするかもしれません。

記住他最好的一面,尊重他的選擇!他永遠活在我們心裡

(彼の素晴らしい一面を忘れないで、彼の選択を尊重しよう! 彼は永遠に我々の心の中に在るのだから)

雖然真的很難接受 但這是他的決定就祝福他吧

(本当に辛いけれど でもそれが彼の決めたことなのだから【苦しみから逃れたことに】 祝福をしよう)

 日本では死の報道に際し、死を選んだことを尊重する類の言葉が出れば、高い確率で炎上するのではないかと思いますし、「祝福」という単語に至っては絶対に出てきません。しかし、台湾では出てくるのです。これが日台の死生観の決定的な違いと言っていいでしょう。

■日本は「しめやかに」台湾は「盛大に」

 台湾の葬式は、日本のようにしめやかに送り出すのとはかなり異なります。バンドがパレードをするなど華やか、賑やかで、悲しみ一色というわけではありません。これは死んで別の世界に行ったのだから、盛大に送り出してあげようという思いによるものです。

 もちろん、自死の場合、世俗では「早まったことをするな」と止めるのは当然で、記事の最後に悩みを抱える人たちに向けて相談窓口の電話番号が掲載されるほど。しかし、それでも死を選んでしまった場合には、自分で別の世界に行くことを選んだのだから、その思いを尊重し、新しい世界で幸せになってもらおうという思いで死者を送り出します。そのため「祝福」という言葉が出てくるのです。

 三浦春馬氏の死を嘲っているのではなく、(どうか天国で楽しんでください)、(自ら選んだ場所に行けたのだから、良かったと考えようじゃないか)という思いの発露と言っていいでしょう。ですから、台湾の掲示板で三浦氏に関して「祝福」という言葉を見つけたからといって、台湾人にネガティブな感情を持たないでいただきたいと思います。彼らなりの優しさなのです。

日本のイメージを高めた三浦春馬氏

 三浦春馬氏の突然の訃報には台湾にも大きな衝撃を与えました。仕事でも幾度となく台湾を訪れていた三浦氏は「專業(プロフェッショナル)」「誠實 (誠実)」そして「溫柔 (優しい)」な人物と評されていました。

 多くの人から尊敬、愛されていたことを、現地にいる私は強く感じたものです。彼が台湾での日本のイメージを高めてくれたことは間違いありません。

 三浦春馬氏の功績を偲び、謹んで哀悼の意を表します。

合掌

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