コロナで揺れた大学編入試験 直前で科目”変更”

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 新型コロナウイルスの影響は、大学編入学試験にも及んでいる。公立の高崎経済大学は7月21日、ホームページ上で地域政策学部の編入学試験を従来の小論文から、論文提出にすることを発表した。

■小論文の試験は中止、面接はオンラインで

高崎経済大学のキャンパス(同学HPから)

 大学入試は一般の入学試験だけではなく、社会人入試もあればAO、推薦入学もある。最近増えているのが編入学試験。従来からの短大を卒業しての編入に加え、専門学校の卒業(見込み)資格で2年次、3年次に編入するパターンが増えている。

 これは1999年度の学校教育法の改正によって始まったシステムで、文部科学省のデータでは毎年、2000人程度が大学進学をしているとされる。専門学校にすれば明確な目標を持った学生が増えることが期待され、大学にしても学生の多様性という意味から歓迎であろう。非常にいシステムであると思う。

 僕も勤務先でそうした大学編入学を目指す学生の手伝いをしているが、7月21日(火)の高崎経済大学の発表を見て驚かされた。これまで、同大地域政策学部では小論文と面接で選考を行っていたが、それを今年は事前に論文提出、さらにオンラインでの面接に切り替えるというのである。面接には論文に関する口頭試問を含む。

 論文のテーマや使用するソフトウェアは7月中に発表するとしているが、試験日は9月12日(土)。既に発表されているスケジュールでは8月21日(金)が出願締切日であり、出願書類と同じ期限であれば論文提出まで1か月を切っている。しかも、テーマはまだ発表されておらず、連休明けに発表になったとしても制作期間は実質3週間あるかどうか。受験生には大変な負担である。

■一発勝負が有利な生徒もいる

 僕の場合、受験生に小論文を教えているのだが、こういう変更はどうなのか。大学からすれば条件は皆、同じなので有利不利はないというのが建前であろうが、教えている現場では実際、文章を書くセンスが抜群にいい生徒もおり、そのような生徒は時間制限の一発勝負の方が他の受験生が書けない分、戦いやすかったと思う。「ここまで時間をかけて生徒の小論文の能力を磨き上げてきたのに…」という思いをしている人は少なくないのではないか。

 泣き言を言っても仕方がない。どのような論文を提出させるのか分からないが、一発勝負の小論文よりも学校や塾での指導もかなり影響してくるように思うから、生徒を全力で応援するだけである。

 こうした状況になってみると、生徒に申し訳ないが、受験もダービーと一緒で「運のいい者が勝つ」という側面があるのかもしれないと思わされる。

■ハイシーズンは10月と11月 様相異なる編入学試験戦線

 編入試験は10月1日出願という大学が多く、ハイシーズンは10月~11月。高崎経済大学のように受験内容を変更する大学は必ず出てくると思う。特に地方の大学では東京から受験生が来るのは勘弁してほしいというのが本音であろう。

 今年の編入学試験戦線は昨年までと様相を一変させる可能性がある。教える現場の対応力が試されると感じている。

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