大谷vs神鱒の「神劇本」侍ジャパンに台湾熱狂
葛西 健二🇯🇵 @台北 Taipei🇹🇼
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侍ジャパンの優勝で幕を閉じたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)は台湾国内でも大きな注目を集めました。特に準決勝、決勝の戦いぶり、試合後の会見も感動を呼び起こしました。
■日本の野球はアジアの誇り
今大会は台湾での1次ラウンド開催、そして自国代表の参加ということで、台湾も大いに盛り上がりました。残念ながら台湾は1次ラウンドで敗退となってしまいましたが、その後の準々決勝ラウンド、決勝ラウンドも大きな注目を集めました。
米経済誌フォーブスによると、台湾での今大会の視聴者数は2017年大会と比して151%増となったということです( Forbes・From Record-Breaking Television, Attendance And Merchandise Sales, 2023 World Baseball Classic Was A Home Run)。
中でも準決勝、決勝へと駒を進める日本代表の活躍には関心が寄せられ、準決勝メキシコ戦、6対5で日本がサヨナラ勝ちをしたことを、台湾メディアは「神奇逆轉 (奇跡の逆転)」と報じました(参照 公視ニュース・經典賽/日本再見安逆轉墨西哥 明與美國爭冠)。
ドラマチックな展開に台湾のネットユーザーからはこんな声が寄せられました。
日本隊永不放棄的精神太令人尊敬 (最後まで諦めない日本代表の精神は尊敬に値する)
日本棒球真的太厲害了。 亞洲的驕傲。 (日本の野球は本当に素晴らしい。アジアの誇りだ。)
などと日本を称賛する声が上がり、さらに
這麼扣人心弦 你怎麼能不愛上棒球 (こんなにも心を掴まれるとは だから野球が好きなんだ)
と、感動の声が挙がっていました。また「台湾代表なら、メキシコに3点を奪われた2回の時点であきらめていた」、といった自虐的なコメントもありました。さらに試合会場での両国ファンによる交流についても、これを「運動精神和風度 (スポーツの精神とふるまいの表れ)」と評価する声が複数挙げられていました。
■史上最精彩的決賽に熱狂
そして21日の決勝戦 日本対アメリカ、日本が3対2で勝ち3大会ぶり3回目の優勝を果たしました。台湾ではこれを「史上最精彩的決賽 (史上最も見応えのある決勝)」(中國時報新聞網・經典賽》史上最精彩決賽戲碼 「神鱒vs大谷」夢幻對決成真)等と大きく報じました。
特に日本が世界一奪還を決めた最後の場面、大谷翔平対マイク・トラウトの対決にスポットを当てた報道が多く、この対決をメディアは以下のように伝えました。
「夢幻對決 (夢の対決)」(聯合報・經典賽/與楚奧特上演夢幻對決還三振他 大谷:不可思議)
「神劇本 (神のシナリオ)」(自由時報・經典賽冠軍戰Live》真的有棒球之神!大谷再見三振楚奧特 日本擊敗美國奪冠)
「在漫畫當中才可能會可出現的夢幻的場景 (漫画の中でしか登場しえない夢の光景)」(ELTA TV Youtube channel・MVP大谷翔平 Sho-Time熱血回顧/愛爾達電視20230324) と形容し、トラウトから三振を奪って、試合を「完美終結 (完璧な決着)」(遠見・大谷翔平完美終結、日本贏得世界棒球經典賽冠軍!為什麼日本的棒球這麼強?)で締めくくった大谷翔平を「棒球之神 (野球の神)」(自由時報・經典賽冠軍戰Live》真的有棒球之神!大谷再見三振楚奧特 日本擊敗美國奪冠)等と称賛する記事が目につきました。
台湾の人々も決勝を「太精彩 (素晴らしすぎる)」と絶賛、大谷とトラウトの対決には
這劇本真的寫的太棒了 真的是可以拍成電影了 (このシナリオは本当に見事だ 映画にできるよ)
這面就是WBC的意義所在,這就是競技運動的本質。 (この瞬間がまさにWBC開催の意義を表している、これこそがスポーツの本質だ。)
と感動と称賛の声が。そして日本の優勝について
日本比美國強上好幾個等級 日本棒球才是世界第一 (日本はアメリカの何倍も強い 日本の野球は世界一だ)
恭喜日本 實至名歸 好感動!! (おめでとう日本 名実伴う勝利、とても感動した!)
這一屆日本真的很讓人熱血沸騰 (今大会の日本は人々を興奮熱狂させた)
と、祝福のコメントが多く寄せられていました。その他日本代表の強さを分析する内容の記事も複数あり、「歴史の長さ」「チームワークの精神の高さ」「育成環境の充実と高校野球の存在」などが強さの要因として挙げられていました(参照 遠見・大谷翔平完美終結、日本贏得世界棒球經典賽冠軍!為什麼日本的棒球這麼強?)
■台湾を感動させた大谷選手のインタビュー
台湾メディアは、MVPに輝いた大谷翔平選手が場内インタビューで韓国、台湾、中国を挙げ、「もっともっと野球を大好きになってもらえるように」と、東アジア全体での野球の発展を願った発言をしたことも報じました(参照 ETToday Youtube・WBC經典賽 / 大谷翔平賽後受訪提台灣 直言2026還想打經典賽!)。
これを受け台湾ネットユーザーからは、大谷の謙虚なインタビュー態度と真剣な眼差し、そしてアジアの興隆を望むコメントに好印象のコメントとともに、
希望台灣也越來越多人能夠喜歡棒球,我相信台灣的棒球也能更進一步! (台湾もより多くの人が野球を好きになりますように 台湾野球は前に進めると信じている!)
との前向きな意見がありました。さらに、
希望能再出現王建民這樣的巨頭 (王建民のようなスターが再び表れますように)
と、第二の王建民(MLBでアジア人初の最多勝利数を獲得した台湾の英雄) の出現を望む声も複数ありました(コメントは、Yahoo!台湾、YouTube、Facebookほかから)。
■「神劇本」の続きは台湾優勝
今回のWBCでは林立(楽天モンキーズ)、呉哲源(中信ブラザーズ)など台湾プロ野球リーグから選出された選手が活躍しました。台湾代表の健闘、そして日本、アメリカなど強国のレベルの高い試合を見て、野球というスポーツさらには台湾国内のプロ野球に興味を持った人々も多いと思います。
日本のファンに伝えたいのは、侍ジャパンに熱狂したのは日本だけではないということです。大谷選手の活躍を見た台湾の少年の多くが「自分も大谷選手のようになりたい」と思ったことでしょう。
10年後、20年後、台湾がWBCで優勝した時に、その中心選手が「子供の頃に大谷選手を見て、自分も野球で世界一になろうと思った」と語ったら、日本人としてこれ以上の喜びはありません。在台湾邦人は侍ジャパンの優勝に誇らしさを感じつつ、「神劇本」の続きを考えたのではないでしょうか。
4月1日に2023年度シーズンが開幕した台湾プロ野球、代表戦で活躍した選手達そして献身的な応援をした魅力的なチアリーダー達、より多くの人が球場に足を運び、台湾プロ野球が更に盛り上がることを期待しています。