日刊スポーツ東京は25万部? 気になる行く末

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
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 日刊スポーツ新聞社東京本社の発行部数は30万部を大きく切っていると思われる現状が明らかになった。全盛期の1990年代から2000年代初頭にかけての4分の1以下に減少している計算となり、その先行きが心配される。

■30万部割れは確実

写真はイメージ

 きっかけは2日に当サイトに届けられたコメントにある。以前、日刊スポーツのグループ会社に勤務していたという「シューツヴァイ 」氏は以下のようにコメントしてくれた。

 「…スポーツ新聞の部数減は深刻ですね。日刊スポーツは業界1位の部数と言われてはいますが、それでも現在は20~25万部ほどに減少しているものと思われます(あくまで推定です)。…」

 筆者は2014年10月末まで日刊スポーツに在籍しており、当時の発行部数は正確に把握している。退職時に日刊スポーツと秘密保持契約を結んでいるために、その数字は明らかにできないが、そうした表に出せないデータも考慮し、2022年1月の時点で33万部程度と推測していた(参照・スポーツ紙の発行部数激減 深刻な人材流出)。しかし、実際にはその60~75%ではないか、という数字が出てきたのである。

 そこで日刊スポーツの関係者X氏に電話をかけて聞くと、概ね、シューツヴァイ氏の予測は当たっているとのことで、「宅配(自宅に配られるもの)で20万部、即売(駅売り等)で5~7万部程度だと思う」という回答であった。

 2014年に出された資料では、東京本社の発行部数は80万1966部とされている(日刊スポーツ新聞社 媒体資料)。この数字は2013年当時のものを示していると思われるが、明らかに水増しされていることは、当時、在籍していた筆者には分かる。仮にこれが正しい数字だとすると、9年で7割近い減少ということになる。

 スポーツ新聞の発行部数は、2013年が387万3116部で、それが2022年には215万1716部と、55.5%に減少している(日本新聞協会・新聞の発行部数と世帯数の推移)。それを考えると日刊スポーツの2013年から2022年の7割近い減少は大きすぎるが、それは2013年の数値が水増しされているからで、2013年の正しい数値からすれば、概ねスポーツ紙の減少幅と歩みを合わせていると考えていいのかもしれない。

■ストロングポイントを捨てる判断

 日刊スポーツは2020年3月期の決算で15億3600万円の赤字となり、2021年3月期は1億4800万円の赤字となっている。2022年3月期は2億6900万円の黒字と、3年度ぶりに利益を出すことができた。

 このあたりは経営改善が進んでいるのかとも思われるが、X氏によると「徹底的な人件費削減の効果であろう」とのこと。

 まず、社員数が269人(バフェット・コード・日刊スポーツ新聞社)となっており、筆者が在籍していた最盛時の400人近い状況から100人以上減少している。この点、X氏は「ただ、人数が減っただけではない。今は正社員がかなり少ない。60歳を過ぎて再雇用された者や臨時雇用なども含めた数字のはず」と、筆者が在籍した当時からは激変している状況にあるという。

 かつて、日刊スポーツはレイアウトが非常に高く評価されていた。担当するのは「整理部」というセクションで、「ニッカンの整理部は天才的だよね」とライバル会社の記者から言われたことも一度や二度ではない。当然、整理部は野球部とともに社内ではエリート街道であり、整理部長を経験すれば、ほぼ間違いなく編集局長になっていた。

 その整理部が今は1人も日刊スポーツ新聞社にはいないそうである。関連会社の所属となり「彼らは名刺を2枚持っている。対外的には日刊スポーツ整理部で、実際は関連会社の社員」(X氏)というもの。その話を前提にすると、おそらく企業の存続のために一番のストロングポイントを弱体化させているわけで、将来を見据えた経営がなされているとは思えない。

 役員構成を見ると、6人の取締役がおり、その中にりそな銀行出身の池田都史彦氏の名前が見える。筆者が在籍した1985年から2014年の間に銀行出身の役員は記憶にない。1人か2人はいたかもしれないが、主流ではない。6人の取締役がいれば、そのうち1人か2人は朝日新聞出身で、残りはプロパーというのが通常の構成であった。

 池田氏は対外的には専務取締役となっており、おそらく代表取締役の高田誠氏に次ぐNo.2の位置付け(オーナーの川田員之代表取締役は別扱いとして)。高田氏は整理部出身のプロパーであるが、もはや銀行出身者に頼らなければならない現状なのかもしれない。高田氏が自らの出身母体を別会社に移すことを積極的に進められるかどうか疑問が残るが、逆に考えれば、そこまでしなければならないほど追い詰められた環境にあると言っていい。

■早期退職制度が果たした役割

4月3日付け日刊スポーツ1面

 筆者は実質的な早期退職者優遇制度(セカンドキャリア支援制度)を利用し、退職金を割増でもらって会社を去った。一時期、その流れはかなり急激で、筆者自身、後から(この人も、あの人も辞めたのか)と驚かされたものである。しかし、昨今はその流れもかなり緩和され、年に2、3人程度になっているという。(60歳まで頑張って、その後に再雇用されれば65歳までは人生設計できる、といった考えを持つ人が多くなったのではないか)という趣旨をX氏は口にした。

 そうなると、早期退職制度は筆者のような無能な人間が去ったことで人件費の削減には貢献したものの、外で稼げる自信のある者、あるいは可能性ある職場で第二の人生を頑張ろうと意欲に溢れた者が去っていく弊害の方が大きかったのではないかと思わざるを得ない。

 そうした状況下、4月3日付けの日刊スポーツをコンビニエンスストアで購入した。1面は坂本龍一氏の逝去で、これは特に新しい事実もなく、報道があって慌てて資料をかき集めたという感じの本文。坂本氏を取材したことがある記者の「悼む」には独自のネタはあるものの、話は1990年代初頭の「オネアミスの翼」のさわりの部分で終わっており、最近は取材する機会もなかったであろうことが想像される。ネットであれば、お金の取れる文章ではない。

 全体で22ページ、全面広告が1ページで実質21ページ。28ページ、32ページが当たり前だった時期を考えると、値段が上がっているのに記事の量は減っている、断末魔のうめき声が聞こえてきそうな作りになっている。

 人件費を削って組織をスリム化して利益を出しても、肝心の売り上げの減少が続けば、カンフル剤で命を存えるのも限界がある。

 恩ある会社の窮状には心が痛む。ネットへのシフトという切り札を切るべき時なのかもしれない。時代の先取りが日刊スポーツのよいところであったのは事実で、何とかこの先、その精神を発揮して生き延びてほしいと願っている。

"日刊スポーツ東京は25万部? 気になる行く末"に17件のコメントがあります

  1. 匿名 より:

    自分が在籍されていた会社の窮状を記事にするのは心が痛むと思います。
    ですが、私は日刊スポーツが小保方さんにした事は忘れません。
    あの写真はあんまりだと思っています。

    1. pomme より:

      小保方さんにしたことって何だろ?と思って調べてみました。
      これは酷い。一個人を晒し者にするこんな写真を掲載することに良心は痛まなかったのか。
      厳しい言い方ですが社風が伺えます。これでは読者どころか社員も離れていくでしょう。
      行く末は…自然淘汰かもしれません。

      1. 匿名 より:

        因果応報である。

  2. こたつ より:

    日刊スポーツから得たいと思う情報があまりない。昔は暇つぶしに駅の売店で買っていたりもしたけど、今はスマホで暇つぶしが可能なので、ますます買う機会が減った。
    自分、競馬もしないし…
    地方新聞の方が身近な情報が載っていて役に立つ。
    日刊スポーツの部数が減っていくのは自然現象で仕方がないかと思う。

  3. 私も元社員です より:

    松田様 こんにちは
    私自身数年前に退職した者です
    YouTubeなどで松田さんの名前を拝見することが最近あってこちらに辿り着きました

    知っていることと違う?と思ったことなど記させていただきます

    池田取締役は東日本大震災発生当時は確実に社にいらっしゃったので2011年以前には役員としてりそなから日刊に来ています
    専務になっていたのは知りませんでした
    次期社長さんてことですかね

    整理部はどんどん印刷社や編集センター出身の人を増やして新聞社の人間どんどん減らしてたのは覚えてます
    あからさまな人件費削減ですよね
    最近レイアウトが本当に知らない名前ばかりなので在籍者に聞いたら面担に新聞社出身の人間がゼロになってることも珍しくないそうで流石に驚きました
    あの高田誠社長がそんなことするんですね

    私が辞めるちょっと前ですが会社が「30万部死守」とか言ってたのはよく覚えてます
    確かに今ならとっくに割ってるでしょうね

    銀行も保険会社もどんどん淘汰されたのに新聞社は意外に減ってないよなあとか思ってますがこれからかもしれないですね

    入社した当時総務の人が「うちの会社は離職率低いんだよ」なんて自慢げにおっしゃってたんですが
    その人が数年後に辞めてしまってそのくらいから若手も一気に辞めるようになったの覚えてます
    早期退職制度とかまだはじまる前でした
    今若者ほとんどいなくて平均年齢も50とかかもなんて聞きます
    私自身希望して入社し社会人生活をはじめた会社なので現在そんな窮状は悲しいなとは思います

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

      「離職率が低い」と言った人が数年後に辞めている、それが日刊スポーツの現状なのでしょう。この状況で入ってくる新入社員がいること自体驚きですが、何も知らない若者を泥舟に引き込む行為のように思えてなりません。

      そちらがお辞めになる時は30万部死守ですか。僕の時はもう少し多かったです(笑)

      僕は在職時に(今のままではマズい)と言っていたのですが、一平社員の言葉が経営に届くはずがなく、上司も昔気質のスポーツ新聞の記者という感じで、これまで通りを維持すればいい、という考えにとどまっている感じで、何も変わりませんでした。

      5年後には今のような形で会社が存続しているかどうか、微妙と感じます。10年後には媒体そのものが存続しているかどうか疑問に思っています。OBとしてはいい形で会社が残ってくれればと願うのみです。

      池田取締役の件、失礼しました。僕が在籍した当時にはいらっしゃったんですね、人事には全く疎かったもので知りませんでした。疎いにもほどがありますが。

  4. シューツヴァイ より:

    ちなみに、発行部数が減少しているのは間違いないのですが、毎日コンビニで大量に売れ残っているのを見るに、実売部数はさらに少ないのでしょうね。
    もはや読者離れはかなり進んでいるものと思われます。

  5. 元販売店主 より:

    5年前まで別系統ですが販売店主をしていました。
    私の販売店のエリアはJRA、地方競馬、オートレース場もありました。
    すぐ分かりますね。(笑)

    同県内の他市から移って来たときは随分スポーツ紙の購読が多くて驚いたものです。
    エリア内は他系統含め一般紙、スポーツ紙のいわゆる併読者がかなりいました。
    ピークは90年代の後半だったと記憶しております。

    一般紙は取って取られての販売競争をしておりましたが、スポーツ紙はいわゆる拡材目当ての読者は少なく、系統ごとにファンが住み分けされており、販売店からすると経費の掛からない優良読者が多かったです。逆の言い方をすると、経費をかけてもスポーツは増紙になりませんでした。2004年まではオリンピック特需があったと思いますが、北京位から即売での特需はあっても宅配購読はほぼありませんでした。

    長期にわたる景気の低迷と読者の高齢化で毎月のように微減、微減でボディーブローを打たれてるような感じでした。止め理由はほぼ家計が苦しい、目が見えなくなった、入院、死亡でした。

    私が廃業した2018年時でピークから比べると半減していたと思います。それから5年が経ちましたが、コロナや不景気、インフレもあって更に部数は減っていると聞きます。

    寂しい気持ちもしますが、スポーツ新聞は娯楽紙としての役割を終えつつあるのだと思います。

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

      元販売店主さま、貴重なお話をありがとうございました。そして大変、遅いレスポンスですみません。

      同年12月28日の記事でこちらのコメントを引用させていただきました。新聞販売店の実情を書いていただいたことで、スポーツ新聞の行方もかなり分かるように感じます。

      今は新しい人生を歩んでいらっしゃるのでしょうが、次は販売店を経営されていた時以上の幸せをつかむことをお祈りいたします。

  6. スポーツ紙記者って、専門性が低い事に気づいてるのかな? より:

    『日本のマスコミは、批判と批評の区別が出来ない』
    10年以上前かな?『FOOT×BRAIN』 MC勝村政信氏の言葉を思い出すし、高橋洋一さんが何年も前から、新聞が無くなる日を予測してる。
    残念だが、日本の新聞は、専門性も取材力も質問力もないから読む価値がない…
    スポーツ紙は、長年、選手や監督を【持ち上げるor叩くか】【ガセネタ、釣りタイトル、キリトリ、歪曲、捏造】【海外スポーツ紙の批評コピペ】して誤魔化し誤魔化し商売して来たツケじゃないかな?
    例えば、海外スポーツサイトのサッカー担当記者は、スポーツマネジメント、戦術を学んだ人が記事を書いてるが、日本の記者は?って思う。
    元&現役スポーツ選手、本物のスポーツジャーナリストがSNSや YouTubeで発信してるんだから、伝言ゲーム&コタツ記事書いてるサラリーマン記者が太刀打ちできる訳がない。

    それと…坂本龍一氏の『オネアミスの翼』については、当事者だった岡田斗司夫がYouTubeで経緯を説明してる。
    関係悪化で決裂し、坂本龍一氏がアニメのタイトルすら口にしなくなった経緯についてです…日刊スポーツの記事はその話すら知らなかったのかな?

  7. RYU MAS より:

    スポーツ紙ですが、そもそも読んでいる人を見かけたことがほぼありません。
    平成中期ぐらいまでは、朝の電車内で時折見かけましたが、今では絶滅危惧種かと思うほどスポーツ紙を読む人は見当たりません。
    私も、もう数年は読んだ記憶がありません。

    速報性に欠ける、がもっとも厳しいところだと思います。
    またさらに言えば、今は違ってきているのかもしれませんが、事実ではなく書いた記者の主観というか感想、もっと言えば「こうなって欲しい」という願望が書き連なっている印象があります。
    (違っていたらすみません)
    記者の感想文に対し、お金を出して読む価値があるものとは、とても思えないのです。

    1. 匿名 より:

      日本のスポーツ紙は、専門性が乏しくゴシップ紙扱い。
      正直、◯◯ーカラーや芸能人が読む低俗な新聞だった。
      本当にスポーツが好きな人は、国内外のスポーツサイト、元選手や現役選手の見解をSNSやYouTubeを見る。
      自然淘汰されて当然…

  8. シューツヴァイ より:

    何年かぶりに日刊スポーツを購読しました。
    4月から160円に値上げしてたんですね。
    昔は32ページが当たり前でしたが、いまはわずか20ページ建てですか。
    160円でも高いと思わせる品質に愕然としてしまいました。

  9. 通りすがりの元ニッカン より:

    池田さんの前にも銀行出身の役員いましたよ
    必ず銀行1人、朝日1人が構成される
    銀行よりも朝日出身のほうがタチ悪いのが多い

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

      人事には疎かったため、至らない文章、失礼いたしました。

      朝日から来る役員はテレ朝に行けなかった人なので、都落ち感が強いのかもしれません。自宅で日刊スポーツを購読していないで、組合から攻撃された役員も朝日新聞出身だった記憶があります。しょうもない人が役員になるもんだと呆れました。

  10. シューツヴァイ より:

    日本新聞協会サイトで2023年の新聞発行部数が公表されましたね。
    スポーツ新聞は1,916,357部で前年から23万部の減少ですか。
    ここ数年は毎年20~30万部減少していますから、このままいくと10年後には間違いなく消滅している計算です。
    スポーツ新聞業界もそろそろ大規模な淘汰・再編がありそうですね。

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

      シューツヴァイ様、ご連絡ありがとうございます。2、3日に一度は見ていましたが、ようやく更新されました。お知らせいただき、感謝しています。

      前年比11%減、11年で部数半減ですか…。日経の番付ではありませんが、衰退産業の東の横綱と言っていい存在です。スポーツ新聞全体で300万部台を6年維持したあと、200万部台は4年しか維持できずに100万部台へ。実際に道新スポーツも事実上の廃刊ですから、おっしゃる通り10年後にはかなりの数のスポーツ新聞が消滅していると思われます。

      かつての僕の同僚たちはどんな思いで働いているのだろうと思うと胸が痛みます。

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