日本マクドナルド ”恫喝店員”問題で謝罪
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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日本マクドナルド株式会社(本社・東京都新宿区)が13日、千葉県柏市内の店舗においてスタッフが客に対して罵声を浴びせるなどした問題について当サイトの取材に文書で回答した。事案の詳細は個人情報やプライバシーにかかるため明らかにできないとしながらも、迷惑をかけた客にお詫びする内容。再発防止に努めるとするが、社会に衝撃を与えた件に対して十分な説明がなされているとは言い難く、その上、当サイトが聞いてもいないことにわざわざ言及するなど、企業の社会に対する責任の見地からは疑問が残る回答であった。
◾️投げかけた9つの質問
ゴールデンウイーク中にSNS上を賑わせたのが、マクドナルド柏店とされる店舗での出来事である。カウンター内にいる高齢の男性スタッフが、老齢の男性客に対して「帰れよ」「表へ出ろ、この野郎」などと喚きちらし、カウンターを出て客に向かっていこうとする。それを女性スタッフが体で止めるというもの。
一連の状況が動画サイトやX上にアップされ(20秒バージョン、64秒バージョン、83秒バージョン)、炎上する事態となった(参照・凶暴マック店員「表に出ろ この野郎」客に喧嘩挑む)。
「スマイル0円」に象徴されるホスピタリティで知られるマクドナルド内で、街のチンピラのような言動でスタッフが客に迫る異常事態。(これでは安心して入店できない)と、マクドナルドに行くのを控える客も出かねない。何よりスタッフの態度は不快この上ない。
この事態に関して当サイトでは日本マクドナルド株式会社に文書で取材を申し込み、13日午後に回答を得た。同社に対する質問事項は以下の9点。
(1)動画にある事案は、いつ頃の出来事なのでしょうか
(2)大声を出し、客に向かって行こうとする男性スタッフの行動を御社はどのように評価されていますでしょうか
(3)男性スタッフがこのような言動をとるに至った止むを得ない理由はありますでしょうか
(4)止めに入っている女性スタッフの「私と約束したよね、何かあったら代わるって」という発言から過去にも同様の事態があったように思われますが、その点の事実関係についてご教示ください
(5)グーグルにも1か月前に当該店舗のスタッフに関するよからぬ話が掲載されていることから過去にもトラブルが発生していたように思われますが、その点はいかがでしょうか
(6)この件で当該店舗のスタッフへ何らかの処分を科したのでしょうか
(7)上記(4)(5)の事情も含め、このような男性スタッフには早期に接客をやめさせるべきではなかったのかと考えますが、御社はその点はどのようにお考えでしょうか、また、顧客に迷惑がかかっている点について御社の責任をどのようにお考えでしょうか
(8)動画の公開された5月3日頃から現在に至るまで、公にこの件で説明や謝罪等がなされていないのはなぜでしょうか
(9)御社の再発防止のためのお考え、対処方法についてご教示ください
◾️聞いてもいないことになぜ答える?
当サイトの質問に対して13日午後になって回答があった。9つの質問に対して個別に答えるのではなく、一括してのものとなっている。
【日本マクドナルド株式会社からの回答】
本件、個人情報になりますので、チャレンジクルーか否か含め該当者の情報の開示は控えさえていただきます。また、お客様とのやり取りの詳細に関しましてもプライバシーに関わりますため、控えさせていただきたく存じます。
この度はお客様にご不快な思いとご迷惑・ご心配をおかけしましたことを心より深くお詫び申し上げます。今後このようなことがないよう再発防止に努めてまいります。
<回答以上>
よく分からないのは「チャレンジクルー」の部分。同社ホームページ上ではチャレンジクルーは「障がい者クルー」と説明されている(同社HP・チャレンジクルー (障がい者クルー))が、これは動画が次々とアップされていた時に、男性スタッフが異常な剣幕で怒鳴り散らし、アンガーマネジメントができていないことから何らかの障害を負っているのではないかという書き込みが多かったことを意識して回答に入れたものと思われる。
しかし、当サイトでは上記の質問で分かるように、当該スタッフが障害を有しているかどうかは聞いていない。その点は事案の背景を知る上では重要な要素ではあるのかもしれないが、障害を有しているかどうかは高度な個人情報にかかることであって聞いたところで答えられないであろうし、また、そのように聞くこと自体が障害を持つ人々への差別や偏見につながるおそれがあると考えて質問事項からは除外していた。
こちらがそうした考えからあえて質問に入れなかったにもかかわらず、(本人が障害を持っているかどうかを含め言えません)という趣旨の回答をしてきたのは理解に苦しむ。当サイトを差別的表現が多いサイトと判断し、警告の意味を含めて先回りして回答したのかもしれないが、そうであるとしたら随分と失礼な話ではある。
当サイトでは5月11日、12日と2日連続で障害を持っているように見える学生を教育系YouTuberの森田鉄也氏、松原一樹氏が見せもののようにしていることを批判する記事(教育系YouTuber松原•モリテツ氏 生徒”見せもの”、生徒”見せもの”批判に松原氏「本人が公開希望」)をアップしたばかり。こうした不当な差別、偏見は絶対に許されないという思いで臨んでいるが、日本マクドナルド株式会社にはそうした部分を感じ取っていただけなかったのであろう。
◾️どこを向いてビジネスをしているのか
回答の後半は謝罪の部分であるが、「この度はお客様にご不快な思いとご迷惑・ご心配をおかけしましたこと」とあり、名宛人がはっきりしない。恫喝された客に対して謝罪をしているように読めるが、動画を見て不快な思いをした潜在的な同社の客を含めた幅広い層への謝罪のようにも読める。おそらく後者であると思うが、それなら実際に恫喝された客と、周囲にいた客、動画を見た潜在的な客、それぞれ感じた不快感、心配は異なるのであるから、それに応じた謝罪があって然るべきと思われ、その点も釈然としない部分である。
最後の再発防止に関しても具体的な内容がなく、一般の客が抱いたマクドナルド店舗への不安を払拭できるかと言えば難しい。特に動画では店舗が特定されており、問題のスタッフがまだ在職しているかもしれない現状では(怖いから行くのを控えよう)と考える客は存在するはず。
個人情報・プライバシー保護は全てに優先し、たとえば「当該スタッフには店を去っていただいたので、安心してご来店いただきたい」とも言えないとしたら本末転倒、(日本マクドナルドは一体どこを向いてビジネスをしているのか)という声が出ても不思議はない。
それに関連し、当サイトが投げかけた質問(7)の「…このような男性スタッフには早期に接客をやめさせるべきではなかったのかと考えますが、御社はその点はどのようにお考えでしょうか、また、顧客に迷惑がかかっている点について御社の責任をどのようにお考えでしょうか」という部分に直接的な回答がないのも非常に不満が残る。
これも個人情報、プライバシーにかかるということなのであろうが、過去にも同店のスタッフの言動に問題があるという書き込みが多数あり、実際に女性スタッフが問題のスタッフに「私と約束したよね、何かあったら代わるって」と叫んでいることからも、今回が初めてのトラブルとは思えない。
そうした経緯があっても問題のスタッフの雇用を続けていたとしたら、これは同店舗だけの問題にとどまらず、日本マクドナルド株式会社の経営方法に問題があると言わざるを得ない。客を不安にさせる対応をするスタッフをどうして教育できなかったのか、場合によっては排除できなかったのか、その点で企業としての責任をどう感じているのかは是非とも説明をしてほしい部分ではあった。
◾️崇高な理念の追求も…
マクドナルドではさまざまな人々をスタッフとして迎え入れている。前述の障害を持つ人々もそうであるし、高齢者の受け入れにも積極的である(同社HP・プレミアムエイジ(シニア)クルー)。
多様性の時代を現場で実現という考えなのであろうが、それはそれで少子高齢化が進む現状等に鑑みれば公共の利益に資する雇用システム、経営方針と評価できる。
しかし、そうした崇高な理念を追求するあまり、同社の接客の基本である「スマイル0円」という意識が末端レベルで疎かになっていなかったかは真剣に考えるべきことであろう。
日本マクドナルドは一体どこを向いてビジネスをしているのかという前述の言葉をどう感じるか、あらためて同社に問いたくなる事案であった。