西村幸祐氏に聞く「金正恩どうなってます?」
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が4月11日を最後に公の場に姿を見せていない。米CNNは「手術を受けて重体との情報がある」と伝え、後にトランプ米大統領が「不正確だ」と批判するなど真相は分からない。そこで批評家・作家の西村幸祐氏と電話で話した際に聞いてみた。「金正恩はどうなってます?」
■CNNは「重篤な状態」情報ありと報道
金正恩委員長の身に何が起きているのか、僕ごときが知る由もない。報道を通じて情報を得るのみで、それが正しいかどうかを判断する材料もない。その前提で、ここまでの動きについてまとめてみよう。
金正恩委員長は4月11日に平壌で開催された党政治局委員会議を最後に、その動向が伝えられていない。米CNNは21日に「手術を受けて重篤な状態にあるという情報があり、米政府が状況を注視している。この情報を直接的に知る立場の米当局者が明らかにした。」と報じた(CNN日本語版)。
これに対して米トランプ大統領は23日に米CNNの報道を「不正確」「CNNによる虚偽報道だと思う」と新型コロナウイルスに関する定例の記者会見で語った。ところが、27日には金正恩委員長の状態について「おおむね承知しているが、今は話せない」「元気であることを願っている」「遠くない将来に君たちも知ることになるだろう」と語った(産経新聞4月29日付け)。
■4月15日・祖父の誕生日に宮殿参拝しなかった理由は?
まず、トランプ米大統領のコメントが変化していることに注目したい。23日にはCNN報道を不正確と言っていたが、その4日後は「不正確」という前言を否定せずに新たな情報を付け加えている。
「今は話せない」が「遠くない将来知る」とは近日中に何らかの動きがあることを意味する。もちろん、その中には元気な姿が現地媒体から伝えられる可能性も、文言上は含まれる。
その一方で「元気であることを願う」ということは、元気でない可能性をも含んでいるのは明らか。それを含めて「遠くない将来知る」ということは、米政府としてはかなり正確にその状態を把握し、近日中にそれが公になることを示している。米政府としても、細かい情報を出すと自らの情報収集能力や情報源を北朝鮮側に知られる可能性があるから、分かっていても言えない・言わない部分はあるはず。
金正恩委員長は4月12日の最高人民会議を欠席しただけでなく、15日の祖父である金日成の誕生日に錦繍山太陽宮殿を参拝しなかったというのであるから、何らかの異変があったのは間違いないと考えるのが通常の思考法であろう。
■朝日新聞系に西村幸祐氏が執筆の奇跡
4月28日に以前からお世話になっている批評家・作家の西村幸祐氏と電話で話をした。西村氏には日刊スポーツ在籍時からお世話になっており、2006年サッカーW杯ドイツ大会、2007年アジア杯、2008年北京五輪と3つの大会で、ニッカンスポーツコムでコラムを執筆していただいた。
「朝日新聞系の日刊スポーツに、なぜ西村幸祐が!」といった感じで、2ちゃんねるなどでその意外性が話題になったが、それは僕が「是非とも書いてください」と頼み込んで実現したもの。「大声で唄え君が代・・・スポーツの価値のために」(W杯透視図)、「国歌を唄えて国旗を掲げる権利と、喜び」「劉翔の棄権で見えた日本と中国の文化の差異」(北京五輪の透視図)など、とても今の日刊スポーツでは見ることができないクオリティーの高い記事が掲載されていたのは、今、見返しても痛快である。
最後の仕事から12年、ツイッターでたまたま僕の存在に気付いていただき、昨日、電話で話をさせていただくことになった。一通り挨拶が終わった後にこう聞いてみた。
「ところで西村先生、金正恩委員長はどうなっているのでしょう?」
すると以下のような答えが返ってきた。
「かなり難しい状況ではないでしょうか。もしかしたら、もう存命していないかもしれません。トランプ大統領もそれを分かっている感じの話し方でした。その後は金与正が政権を握るのでしょうか。あの怖い女性です。あの国は今、中国に付くか、アメリカに付くか、大きな分岐点にあります。もし、アメリカに付くようなことがあれば、朝鮮半島の南北の構図が逆転します。朝鮮半島はリバーシブルと言っていいと思います」。
■小泉純一郎首相訪朝前の衝撃
2002年の小泉純一郎首相の訪朝直前、僕は朝鮮総連の関係者と新宿の居酒屋で一杯飲み、その時に拉致問題について「我々朝鮮人は、困難を排して来てくれる勇気ある人を手ぶらで帰らせるようなことはしません。」という話を聞かされた(参考:朝鮮総連関係者との飲み会マル秘話、小泉訪朝前の衝撃)。
今はそのルートとも全く接触がないので分からないが、様々な情報ルートを持つ西村幸祐氏の話には説得力があるように感じられる。新型コロナウイルスの陰に隠れているが、朝鮮半島の情勢には注目すべきであろう。