ガーシー容疑者の北朝鮮・レバノン行き警戒

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
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 ガーシー(東谷義和)容疑者は16日、SNSのライブ配信で一生、帰国しない覚悟であることを明らかにした。費用がかかる海外での逃避行をこの先、何十年も続けることなど不可能と思われるが、北朝鮮に入った場合は逃げ切れる可能性がある。常識では考えられないことを続けていた人物だけに、注意が必要である。

■引越し先は誰にも言わない

ガーシー容疑者(同人のインスタグラムから)

 ガーシー容疑者は3月15日に参議院を除名され、翌16日に警視庁は暴力行為処罰法違反(常習的脅迫)、名誉毀損などの疑いで逮捕状を請求し発付された。警視庁では外務省に旅券返納命令を求め、国際刑事警察機構を通じて国際手配する方針と報じられている(東京新聞TOKYO Web・ガーシー前参院議員に逮捕状 除名翌日、警視庁 「恐怖で精神的に参っている」と被害者は語る、2023年3月18日閲覧)。

 ガーシー容疑者はさらに16日のツイキャスでのライブ放送で「これで一生帰国しないことを覚悟できました。」と話した(ANNnewsCH・ガーシー氏に警視庁が“逮捕状” SNSで「一生帰国しない覚悟」 “国際手配”の方針、2023年3月18日閲覧)。

 議員としての歳費と、暴露話を動画配信することで得られる収入で生活していたであろう人物が議員の身分を剥奪され、暴露話もネタが尽きたら、あとは蓄えた財産を費消するのみ。いずれ、海外で生活ができなくなるのは火を見るよりも明らか。金もない、国際手配されている人物を国内に置いておこうという国もほとんどないと思われる。

 それなのに本人は前述のライブ配信で”引越し”することを口にし、行き先は誰にも言わないとする。パスポートが無効とされれば、UAEドバイから国外退去を命じられるのは確実。その場合、出国後に日本の捜査員に逮捕される可能性があるため、パスポートが有効なうちに第三国に出国するのは間違いない。

■レバノン行きは1つの選択肢

 問題はどの国に出国するか、である。16日のツイキャスでのライブ配信も音声だけということは、既にUAEドバイを出国している可能性はある。

 日本が犯罪人引渡条約を結んでいるのは米国と韓国のみである。ただし、狛江市の強盗殺人事件で「ルフィ」を名乗っていたとされる男がフィリピンから日本に送還されたように、日本と条約が結ばれていないから安全というわけではない(参照・「死刑怖い」今村磨人容疑者にかける言葉)。

 可能性の1つとしてレバノンがある。カルロス・ゴーン被告が逃亡先に選んだことで知られるが、ゴーン被告が同国の国籍を有しているとはいえ、実際に日本に引き渡されていない事実は軽くない。また、1972年のテルアビブ空港乱射事件の実行犯の岡本公三が、レバノンに政治亡命をして現在も同国にとどまっている事実もある。そうなるとガーシー容疑者の”引越し先”としてレバノンは1つの候補にはなると思われる。

 岡本公三はイスラエルの空港で銃を乱射し、多くの利用客を殺害したが、そのことでイスラエルと対立するパレスチナの人々からは英雄視されているという。その岡本でさえ、レバノン政府から政治活動を制限され、支援者が生活を支えているとされているように、政府の厚い庇護下にあるとは言えない。ガーシー容疑者のような、政治犯ではない、ほとんど利用価値のない容疑者をレバノン政府が庇護するか疑わしい。

■ガーシー容疑者を利用できる国

 もし、ガーシー容疑者を政治利用できる国があるとすれば、北朝鮮であろう。ガーシー容疑者の経歴は、日本で選挙の結果、国会議員になったものの議員の身分を剥奪され、帰国すれば逮捕されるという状況と言うこともできる。そこで北朝鮮に庇護を求めれば、北朝鮮としては「日本の元国会議員が、政治的な圧力を受けて国際手配され、我が国に亡命を申し出た」と大々的に宣伝できる。人権問題で国際社会から強い非難を浴びている国だけに、利用価値は小さくない。さらに手元におけば、この後、日本と何らかの交渉を行う際に「ガーシー容疑者を引き渡す」というカードを手にしたも同然である。

北朝鮮に行かせるのだけは阻止を(写真はイメージ)

 粗暴犯と言っていい人間を庇護するか、という反対の声もあるかもしれないが、北朝鮮は実際によど号事件の犯人グループを受け入れ、今も4人が現在も平壌近郊で暮らしている。犯人グループが欧州での日本人拉致に深く関与したことはよく知られている(警察庁・「よど号」グループの動向、2023年3月18日閲覧)。もし、ガーシー容疑者が望めば北朝鮮は受け入れる可能性はあると考えた方がいい。

 ガーシー容疑者も北朝鮮が自由のない国で、一度入国すれば、ほぼ出国できないことぐらい認識はしていると思われる。もっとも、これまでの行動を見ると、たとえば帰国して議場で陳謝していれば、国会議員の不逮捕特権でしばらくは逮捕を免れたこと、仮に逮捕、起訴、実刑判決となっても、議員辞職しなければ年間2000万円を超える歳費が入るため、刑期を終えた後も当面の生活には困らなかったはず。

 それが、目先の逮捕から逃れるために議場での陳謝を拒否し、結果的に海外逃亡の道を選んだ。このことから、おそらく目の前の危難から逃れることしか考えないタイプの人間なのであろう。そのタイプであれば「北朝鮮に行けば、逮捕されることはない上に、食いっぱぐれる心配はない」と考えて平壌行きを決断する可能性も否定できない。

 もし、北朝鮮に逃げられたら、捜査の手は及ばない。よど号グループも53年間、逮捕出来ずにいる。まさかとは思うが、捜査陣には、容疑者の北朝鮮行きだけは阻止するように努めていただきたいと個人的には考えている。

"ガーシー容疑者の北朝鮮・レバノン行き警戒"に1件のコメントがあります。

  1. 元社員です2 より:

    いくつかエントリ読ませていただいてます

    巨人坂本の件も何度も頷きながら読ませていただきました

    ガーシーのも同じですよね
    中田敦彦さんのYouTubeでも言ってますが
    ガーシーが除名になっただの逮捕状出ただのは喜んで報じるけど
    綾野剛とか真剣佑とかが大暴露された内容とかは絶対報じないわけです
    ジャニーズについてなんかとんでもない
    BBCが報じても日刊が報じる日は未来永劫ないですね

    政界についても頷きました
    高市さんの件は延々と大きくやってましたが小西洋之があからさまにメディアに圧力かけるのは報じてませんね
    まさに共産党とか「本当に面倒くさい相手には盾つかない」て感じで私が会社に幻滅したのもこれでした

    やっぱこんな新聞社なくなってもしょうがないかもしれないですね

    松田さんは小西に訴えられたと聞きましたが陰ながら応援してます
    あんなのに負けないでくださいね

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