本当は怖い朝鮮戦争−「前回」から危険を探る

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石井 孝明🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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経済・環境ジャーナリスト。慶應義塾大学経済学部卒、時事通信社記者、経済誌フィナンシャルジャパン副編集長、アゴラ研究所の運営するエネルギー問題のサイトGEPRの編集担当を経て、ジャーナリストとエネルギー・経済問題を中心に執筆活動を行う。著書に「京都議定書は実現できるのかーC O2規制社会のゆくえ」(平凡社)、「気分のエコでは救えない」(日刊工業新聞社)など。
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 北朝鮮の動きが不気味だ。最高指導者の金正恩氏の健康状態は不明で、米国と韓国への対決姿勢を強めている。南の文在寅政権による北朝鮮への融和策は効果なく、北朝鮮の核ミサイル戦力の増強は進んでいるもようだ。

米国政府の各サイトに掲載された、朝鮮戦争70周年記念写真

 朝鮮の紛争に日本は嫌でも巻き込まれてしまう。「困った隣人たち」だが、日本人は引っ越すことはできず、万が一の事態に備え事前に準備をしなければならない。どのようなことが起きる可能性があり、どのように対応すればいいのか。

 未来を予想し、指針となるのが「歴史」だ。各国の軍では「戦史」を将校・兵士教育の中心に置く。いや、普通の学校教育でも軍事を含めた近現代史を重視する。各国の位置や地形などの条件、民族の特徴的発想、人口に左右される国力の相対的差は、時間が経過しても大きく変わらない。そのために、戦争や紛争では過去とよく似た状況が繰り返される。愛国心を鼓舞する出来事は戦時中に起こりやすく、それが公教育の場では取り上げられやすい。過去の対応例は、成功も失敗も参考にされる。戦史は面白いだけではなく、私たちを導く意味を持つものなのだ。

 ところが、第二次世界大戦後の「平和ボケ」によって、日本は危機感がなくなり、戦史を含めた軍事を語らなくなった。朝鮮問題では直近の朝鮮戦争に、今に類推できる問題がたくさんある。今年の6月25日勃発70年を迎えたこの戦争で、日本の治安面に起こった事件を、簡単に振り返ってみたい。

北朝鮮による日本国内の騒乱

 日本では、連合国占領期(1945年9月~52年4月)と、朝鮮戦争(50年6月~53年7月)を挟んで、朝鮮人の関係する密入国や政治主張を伴う騒乱が多発した。戦時に労働者として日本に来ていた朝鮮人が帰国せずに残り、一部は犯罪に手を染めた。そして約100万人が、朝鮮戦争勃発時に日本にいて帰れなくなった。ちなみに、徴用労務者(国の命令により日本に連れてこられた労働者、いわゆる一部の人の言う「強制連行」された人)は、外務省の調査によれば275人にすぎない。

 警察は、朝鮮戦争の勃発後の2年で、長崎県・壱岐や対馬、北九州地域、山口県、日本海側の各県で密入国を試みた約9000人を逮捕した。彼らは外務省が長崎県大村市に設置した施設に集められ、強制送還された。だが逮捕を逃れた者も多かった。当時の警察資料では、54年時点で密入国者数は3万から5万人。そのうち80%が朝鮮人と推定されている。

 密入国目的は当初、経済的理由が多かったとみられるが朝鮮戦争の勃発は状況を変えた。難民や、戦乱回避、徴兵拒否などに加え、北朝鮮から思想的・軍事的任務を帯びて密入国するケースもあったようだ。

 日本共産党は当時1951年10月に「51年綱領」を採択。そこでは軍事革命路線を党の政策として採用した。

 警察署や行政の庁舎を、朝鮮人と共産党がデモで占拠する過激な暴力事件が朝鮮戦争前後に多発した。1950年代に在日朝鮮人の一部勢力が、北朝鮮本国の指示を受けて行動した可能性がある。それに共産党も協力した。

 中でも規模が大きかったのは阪神教育事件だ。48年4月に発生し、朝鮮学校の閉鎖命令から大阪府と兵庫県で約1万人の朝鮮人と共産党の暴徒が行政の庁舎を占拠し、兵庫では知事が一時監禁された。旧警察法(54年改正)下で唯一の非常事態宣言が発令され、米軍が出動した。

スパイ、亡命政権避難の打診…日本は巻き込まれる

 スパイ活動も行われた。朝鮮戦争では日本で共産党や在日中国人・朝鮮人を使った諜報網が、中国共産党人民解放軍により組織された。当時の解放軍総参謀部の情報部は、国共内戦を勝利に導き、情報収集と分析で大変有能な集団だったとされる。日本の港湾・鉄道などの輸送網の動きを知らせる情報から、中共軍は米軍の反攻や行動の規模や時期を的確に予想し北朝鮮に伝えたが、活用されなかった。開戦後、中共軍が義勇軍の形で北朝鮮側に立って参戦したが、そこでは日本からの情報が活用され米軍を苦しめたという。

 この話は、米国のジャーナリスト、デビッド・ハルバースタムが書いた『ザ・コールデスト・ウィンター 朝鮮戦争』(文藝春秋刊)にわずかに言及されている。筆者は警察関係や軍事の文献を調べたが、日本語でこの情報は出てこなかった。70年経過しても、当事者が隠そうと思ったら、歴史的事実は消されてしまう。そして今も、その後継組織は日本で活動しているのかもしれない。

 さらに韓国は日本にさまざまな要求をした。当時の李承晩政権は、竹島を1952年に不法に占領するなど反日政策を採用したにもかかわらず、あまりにも身勝手だ。その一つとして、韓国政府は釜山に押し込められた1950年の夏に、米軍を通じて日本の山口県に5万人規模の韓国人が避難し、臨時政府を作る可能性を打診した。当時の田中龍夫山口県知事は、即座に拒否した。幸いに戦局は好転し、その計画は立ち消えになった。もし受諾したら、日本の国土に韓国軍が上陸し、さまざまな混乱が発生しただろう。今に生きる日本人として、田中知事の英断に感謝したい。

70年前と変わらぬ「平和ボケ」無策

 そして朝鮮戦争は今に影響を与えている。

 日本は当然、自衛策をした。吉田茂首相は1949年に、連合軍最高司令官のマッカーサー元帥に書簡を送り、「在日朝鮮人の強制送還を望む」と要請した。この政策は朝鮮戦争勃発で止まったままだ。

 占領期以降の騒乱が背景になって、破壊活動防止法が52年7月に施行され、運営する組織として公安調査庁が同時に発足した。今でも朝鮮総連や極左暴力集団、右翼団体、共産党などを監視している。

 日本政府は現時点でも「北朝鮮は、我が国においても、潜伏する工作員等を通じて活発に各種情報収集活動を行っているとみられる」との認識を示し、在日朝鮮人の団体である朝鮮総連についても「北朝鮮との密接な関係を維持しながら、組織の引締めを行うとともに、我が国における親朝世論を形成するための活動等を行うものとみられる」(警察白書・令和元年版)と、今でも警戒している。

 このように朝鮮総連、日本共産党の危険性は、当時から今に至るまで指摘されているのに、いずれも今も堂々と日本で活動している。日本の行政は手を出せない。この国の異様な面であろう。日本共産党や極左勢力と在日朝鮮人組織は、70年経過した今でも関係が深い。

 そして残念ながら、韓国・朝鮮人の日本での居留民団体から、1950年代の騒乱への反省は、聞いたことがない。そして北朝鮮と、一部の在日朝鮮人の関係は今でも不透明だ。70年前に日本で騒乱を起こした北朝鮮の関連勢力が今も残っている。

 また日本政府の対応策も不十分だ。現代の日本では、スパイ活動や、工作活動を厳しく取り締まる法律はない。騒乱を起こした外国人を国外退去させない。日本は他国に比べて、安全保障の諸制度が全く整っていない。1950年当時と国の仕組みのダメさが、安全保障の面では同じままなのだ。日本の平和ボケは、滑稽ささえ感じる。

 日本には現在も、在日韓国、朝鮮人が数多く住んでいる。その人権への配慮のためか、朝鮮戦争をめぐる混乱を、政府もメディアも、教育の現場でも、ほとんど強調しない。確かに、そうした人々の大半は善良な市民生活を送っているだろうし、その人権は最大限配慮されなければならない。しかし第二次朝鮮戦争が勃発した場合に、北朝鮮によって日本で騒乱や、スパイ行為が発生し、私たちの日常生活が壊される可能性がある。その事実を戦史から学んで、対応策を準備する行動を、誰も準備していない。これは異様なことだ。今の米国では、暴力的な暴動が続き、行政や警察を麻痺させている。同じようなことが、1950年前後の日本では起こった。これが現代の日本で起こるかもしれないのだ。

 東アジアは、過去が今を束縛し、今も20世紀のような冷戦が続いている。そしていつ戦争が始まってもおかしくない。第二次朝鮮戦争について、危険という事実を直視し、国を突き上げ、社会に危険を訴えていく必要がある。これは私たちと家族、親しい人たちの生活と安全を守るために当然のことだ。

One thought on “本当は怖い朝鮮戦争−「前回」から危険を探る

  1. アバター 野崎 より:

    はじめまして。

    >これが現代の日本で起こるかもしれないのだ。

    上記を希求する日本人勢力の存在があると認識しています。

    日本に内在する潜在的脅威に加担するのみならず、日本の規制秩序の解体を画策し活動している、それは近代国家の価値観、自由の否定に他なりません。

    アメリカにおけるANTIFAに脈絡があり、日本にもその動きを利用し流れをつくろうとする萌芽が見られます。

    BLMの実態、その背景を分析した情報がネットに見られます。
    表面、人種差別を否定するポリコネが予想外に拡大したという状況でしょうか、、

    日本において彼らの望む、エートス、空気、最近いうところの同調圧力を作らせてはなりません。

    松田氏、令和電子瓦版に大いに期待するものです。

    失礼しました。

    御返信不要です。

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