あえてトランプ大統領再選と予想する

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 米大統領選挙(11月3日投票)が大詰めを迎えている。報道では民主党のジョー・バイデン氏が優勢と伝えるところが多いが、4年前も同党のヒラリー・クリントン候補が優勢と伝えられていたが結果はドナルド・トランプ候補が勝利を収めた。今回も報道が敗者にならない保証などない。

■ヒラリー・クリントン勝利予想を報じ続けた毎日新聞

毎日新聞電子版2016年10月21日付けから

 まずは4年前の2016年にどのように報じられてきたかを見てみよう。毎日新聞の関連記事で目につくのは①「クリントン氏、準備着々 共和地盤切り崩し 最終盤、支持拡大図る」(2016年10月21日電子版から)というもの。「(ヒラリー・クリントン候補が)優位を確実にして最終盤に突入するが、トランプ氏が選挙後に『不正』を主張できないよう、「圧勝」へのシナリオも描き始めている。」と伝えている。ご丁寧に支持率の推移を示す折れ線グラフが付されており、10月19日時点の支持率はクリントン氏が48.6%で、トランプ氏が42.1%である。

 毎日新聞は終始クリントン氏優勢を伝えており、②「クリントン氏優勢鮮明 TV討論、米メディア『全勝』」(10月21日付け電子版)、③「女性蔑視発言、トランプ氏窮地に クリントン氏優位」(10月12日付け電子版)、④「クリントン氏、リード拡大 米紙世論調査」、⑤「クリントン氏優勢、トランプ氏窮地」(ともに10月11日付け電子版)という記事が次々と公開されていた。

 記事内容も「クリントン氏の優勢が鮮明になる一方、共和党のドナルド・トランプ候補(70)は挽回できず、11月8日の投票結果を受け入れるかも明言しなかった。」(②)、「党重鎮のライアン下院議長が10日、今後は応援しないと表明するなど、党内でトランプ氏を見限る動きに歯止めはかかっていない。」(⑤)、といった具合だっただけに、毎日新聞の読者はトランプ勝利の報に耳を疑ったのではないか。

■4年前に懲りた? 毎日新聞の控えめな報道

トランプ大統領HPから

 前回の「大ハズし」に懲りたのか、今回の選挙で毎日新聞は予想めいた記事はあまり出していない。「集会視聴者数はバイデン氏優位」(2020年10月18日電子版)が目立つ程度である。

 代わってFNNプライムオンラインがワシントン支局の瀬島隆太郎氏の記事として「劣勢変わらず“トランプ離れ”が加速 重鎮も敗北宣言で逆転劇困難か」(2020年10月20日)という記事を出している。「共和党内で敗北を見据えた動きが顕著に現れている」「共倒れを回避するため、距離を置く”トランプ離れ”が加速化」と派手にバイデン氏有利を報じた。

 こうした「トランプ下げ」の報道の根拠となっているのが、米リアルクリアポリティックスの世論調査の結果である。最新の2020年10月22日の結果はバイデン氏50.7%、トランプ氏42.8%と圧倒的な差となっている。投票12日前でこの状況はとても逆転は不可能に思える。

 では2016年はどうだったか。投票12日前は2016年10月27日になるが、クリントン氏47.8%、トランプ氏42.2%であった。

 実はこの数字は全く根拠がないわけではない。良く知られているが、前回の大統領選の一般投票の得票率はトランプ氏が45.93%、クリントン氏が48.02%で、総得票率ではクリントン氏が2ポイント以上、票数にして280万票以上多かった。しかし、米大統領選は州ごとの選挙人獲得数で当落が決まるため、選挙人獲得率は304対227と、トランプ氏の意外な大差での勝利となったのである。これもよく知られているが、トランプ氏が「ラストベルト(Rust Belt)」と呼ばれる五大湖周辺を中心とした州を押さえたことが結果として勝利につながったのである。

■ラストベルト4州の選挙人64人がカギ

 ラストベルトのミシガン(選挙人16)、オハイオ(同18)、ペンシルベニア(同20)、ウィスコンシン(同10)の4州で合計64人の選挙人がおり、2012年の選挙ではいずれも民主党が制したが、2016年には逆に共和党が制した。この4州64人がトランプ氏逆転劇の原動力となったのである。

 それでは今回はどうか。NHKの公式サイトではリアルクリアポリティックス出典で作成された各州の情勢を伝えている。

バイデン氏HPから

ミシガン(バイデンやや優勢)

オハイオ(接戦)

ペンシルベニア(接戦)

ウィスコンシン(接戦)

※2020年10月23日現在

 それを踏まえた選挙人の予測はバイデン232、トランプ125である。ラストベルトの4州の結果次第ではどちらに転んでも不思議はない。

 なお、NHK公式サイト(2016年)では投票直前の4州のリアルクリアポリティックス出典の予測は以下のようになっていた。

ミシガン(接戦)

オハイオ(接戦)

ペンシルベニア(接戦)

ウィスコンシン(クリントン氏優勢)

※投票直前

■トランプ氏逆転不可能と論じた根拠

 こうしてみると、トランプ氏が逆転不可能と断じる報道の根拠は薄弱なものと思えてならない。今回もトランプ勝利を主張する識者、ジャーナリストは少ないが、結果はトランプ勝利となった時、彼らの言い分を聞いてみたい。

 僕はこの問題について全くの素人であるので、以下は、それを前提に読んでいただきたい。

 現職の大統領が敗れたのは1980年、1992年などの例があるが、勝ったのはロナルド・レーガン氏、ビル・クリントン氏とそれなりに人気と実力を備えた候補だった。その2人と比べると、ジョー・バイデン氏は著しく魅力に乏しい。こうした状況に、上記で示した事前の調査結果を加えると、トランプ氏再選の可能性が高いように思う。

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