英チャンピオンズデー波乱 混沌の欧年度代表馬
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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2020年の欧州年度代表馬(カルティエ賞)争いが混沌としてきた。10月17日、アスコット競馬場で開催された英チャンピオンズデーは人気馬が次々と敗れる波乱の結果。欧州チャンピオンはどの馬になるか分からない状況となっている。
■マジカルまさかの3着、パレスピアも敗れる
英チャンピオンズデーは1日でG1を4鞍行う、英国競馬の総決算の日と言っていい。これが波乱の結果となった。メーンのG1英チャンピオンS(芝9ハロン212ヤード)は単勝10倍の伏兵アデイブが2番手から抜け出して優勝。単勝1番人気のマジカルは3着に敗れ、今年の英ダービー馬サーペンタインは4着、仏ダービー馬ミシュリフは8着に終わった。
マジカルが勝てば今年G1を4勝目となって欧州年度代表馬となる可能性が高かったが、完敗の3着では苦しくなった。英仏のダービー馬もタイトルが1つだけでは難しい。勝ったアデイブは今年3つ目のG1タイトルとなったが、残る2つは”格落ち”の豪G1を2鞍ではさすがに厳しいだろう。
先立って行われたG1クイーンエリザベスⅡ世S(芝8ハロン)は単勝1番人気のパレスピアがまさかの3着。デビューから5連勝、今年マイルG1を2連勝しており、ここを勝てばというところであったが、これでその目は消えたと言っていい。勝ったのは昨年の2着馬のザレヴェナントで、これがG1初勝利。こちらも年度代表馬の対象とはなり得ない。
■チャンピオンが決まらなかったチャンピオンズデー
こうしてチャンピオンズデーではチャンピオンが決まらないという皮肉な結果となった。そうなると別路線組になるが、G1凱旋門賞(芝2400m)を制したソットサスはG1ガネー賞(芝2100m)も制しているが、ガネー賞自体の格に疑問が残り「5頭立てで2着ウェイトゥパリスの競馬では…」という思いが大方の評価ではないだろうか。
引退を表明したエネイブルは今年獲得したビッグタイトルはG1キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS(芝11ハロン211ヤード)1鞍では圏外。
こうなると11月6、7日に行われるブリーダーズCの結果も影響してきそうである。今年はキーンランド競馬場での開催となり、ガイヤースがBCターフ(芝12ハロン)に参戦予定。今季G1を3勝、それもコロネーションC、エクリプスS、英インターナショナルSと格の高いタイトルばかりで、しかもエクリプスSではエネイブルに完勝した。ワールドベストレースホースランキングでは、レーティング130でトップを守っている。BCターフを勝てば決まりだろう。
BCターフには凱旋門賞のブックメーカー の前売りオッズで1番人気だったラブが出走予定だったが、回避の方向。英愛オークス+ヨークシャーオークスを制し、年度代表馬の最短距離にいたが、凱旋門賞に続きBCターフ回避でシーズン終了となると印象は悪い。土付かずでG1を3勝とはいえ、いずれも牝馬限定戦での結果となる。しかもヨークシャーオークスは6頭中5頭が3歳馬だったから、実質、同世代の牝馬としか戦っていないという評価は避けられず、さすがに厳しいかもしれない。ガイヤースのBCの結果次第だろうが、BC回避で年度代表馬のタイトルは遠ざかった印象は否めない。
仮にマジカルがBCターフに出てきて勝つようなら、G1愛チャンピオンS(芝10ハロン)に続きガイヤースを負かしての優勝となるため決まりだろう。問題は中2週で大西洋を渡るかどうか。2年前の3歳時には中1週で遠征を敢行し、エネイブルの2着となっている。可能性としてはあるかもしれない。
■重賞ポイントではガイヤースが1位
こうして欧州年度代表馬の結果が、米国でのレース待ちというのは皮肉な結果である。もし、マジカルとガイヤースが米国のグラスホースに惨敗するようであれば、ポイントトップのガイヤースの目はあるが、ラブの可能性もないわけではない。現時点ではこの3頭が候補と言っていいだろう。
なお、カルティエ賞は欧州重賞レースの着順ポイント、競馬記者の投票、読者・視聴者の投票ポイントの合計で決定される。発表は11月で、10月7日に発表された重賞レースの着順ポイントでは1位ガイヤース118、2位マジカル112、3位ラブ96となっている。