キエフ滞在”蛮勇”慶大生 朝日がヨイショ
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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戦闘が続くキエフに残り、避難した地下駐車場で”枯れた涙”を流した20歳の慶大生の記事を朝日新聞電子版が2月25日、公開した。ツイッターで記事を紹介した同紙の編集局長補佐は「どうしてこんな目に遭わなくてはいけないのでしょう」と悲惨な現実を嘆くが、実はこの慶大生、侵攻前日に外務省の勧告を無視してキエフ入り。その事実は一切伝えないまま、有料記事として販売する朝日新聞の手法は欺瞞に満ちたものと言えるのではないか。
■悲劇のヒーロー慶大生20歳
記事は慶大2年のM・T氏(記事では実名)が地下駐車場に避難しつつ「もしものために文章を残します」と現地から発信を続けていることを紹介し、その後、別の場所に移動できたとSNSに投稿したことを伝えている(朝日新聞電子版2月26日付け・キエフ滞在の慶応大生、地下駐車場に避難して涙「一睡もしてません」)。
その上で前述の「…辛いです。こんなに枯れた涙が流れたことはありません」という投稿内容などを紹介している。その後は有料記事のために有料会員以外には公開されていない。
有料部分を見ると末尾に「斉藤佑介」の署名があり、この記者が執筆したものと思われる。その記事を編集局長補佐という肩書きの野沢哲也氏がツイッターで以下の文章とともに引用RTしている。
ロシア軍の侵攻で身の危険が迫るなか、キエフで助けを求めている日本人大学生が取材に応じてくださいました。国際交流を兼ねた勉学の機会なのに、どうしてこんな目に遭わなくてはいけないのでしょう。大使館を含め、一刻も早く救出の手が届くことを願います(2022年2月25日午後8時38分投稿)
有料部分が読めない多くの人は、ここまでの情報を総合すると、20歳の大学生が異国の地で戦火に巻き込まれ、爆撃の音が遠く響く中、地下駐車場で涙を流している悲惨な現実を想像するであろう。そして、侵攻したロシアに対する怒りはもちろん、成人したばかりの大学生がこのような状況に置かれていることに、外務省や現地大使館員の無為無策に怒りが込み上げてくるのではないか。
■曖昧にされたキエフ入りの経緯
有料部分にはM・T氏がキエフにいる理由について、わずかながら説明がある。非公開部分なので引用は避けるが、今年1月末から留学し、キエフで学び始めた矢先に戦火に巻き込まれたという趣旨の説明がなされている。普通に読む限りでは
①1月末にキエフで学び始めた矢先に戦争が始まった
と解釈するであろう。もっとも、注意深く読むと、
②1月末から第三国に留学し、その後、開戦直前にキエフで勉強を始めた
との解釈が可能。新聞記事では通常、事件が起きるまでの経緯ははっきりとわかるように示すものであるが、実に曖昧にしか書かれていない。この①と②の解釈についてはよく覚えておいていただきたい。
では、実際はどうだったのか。M・T氏は当初、ポーランドを拠点に欧州を回っていたようである。そして、2月24日の侵攻前日に、以下のツイートをしている。
Goodbye~Poznanポーランド🇵🇱拠点でヨーロッパ中飛び回り出逢った起業家や教授、友達や彼女と国籍を越えて時間を過ごせたのは幸運でした。今日から荷物を全て移し、これから再び異国の地キエフ🇺🇦で死なない程度に挑戦を続けます。(2月23日19時27分投稿、既に削除)
この日付と時間が日本時間なのかポーランド時間なのかは判然としないが、今日からウクライナに移ると言っていることから日本時間と思われ、現地ポーランド時間の23日11時27分に投稿したと想像される。
■退避勧告を無視してキエフ入り
M・T氏のウクライナ入りが2月23日とすると、ロシアがウクライナ国境近くに大軍を展開しており、2月18日にバイデン米大統領が「ロシアが数日から1週間の間にウクライナを攻撃する可能性がある」と声明を発表してから5日後にウクライナ入りしたことになる。つまり、入国した経緯は②である。
しかも、日本の外務省は2月11日にウクライナ全土の危険情報をレベル4に引き上げている。その上で、以下のように退避勧告をしている。
1 …隣国ベラルーシでは、ロシアとの軍事演習が開始され、また、最近ロシア軍の船舶が新たに黒海に入るなど、更に緊張が高まっています。関係国による外交努力の動きがある一方で、事態が急速に悪化する可能性が高まっています。
2 …現在ウクライナに滞在されている方は、民間商用機を含む、最も安全な手段で、直ちに退避して下さい。ウクライナへの渡航は、どのような目的であれ、止めてください。
(以上、外務省報道発表・ウクライナについての渡航情報(危険情報の引き上げ))
生命の危険があるから、直ちに退避せよという勧告が出された12日後に現地に入るなど、正気の沙汰ではない。軍事介入のおそれがあるから命を守るための行動を勧める外務省の勧告に対し、「死なない程度に挑戦を続けます」とはどういうことか。キエフで死なないでいられるとする根拠はどこにあるのか、挑戦とは、何の挑戦なのか。
外務省の勧告を無視し、自らおそらく現在、地球上で最も危険な場所に飛び込んでおきながら、ツイッターに「…辛いです。こんなに枯れた涙が流れたことはありません」と投稿する人間に、多くの人は「自業自得」という感想を持つのではないか。なお、記事の有料部分には、M・T氏がキエフからの脱出の支援を願うと訴えていることも記されている。また、これからキエフに向かうという趣旨のM・T氏のツイートは後日、削除されており、現在は見ることができない。
■慶大生は謝罪のツイート
このような裏事情がありながら、朝日新聞は全く触れていない。おそらく、②の事情であることは知っていたが、それを書くと「自業自得だ」「外務省や現地大使館員の手を煩わせるな」という批判が出ることを想像して、入国の経緯を明示せず、あたかも①であるかのような表現にしたのであろう。
記事だけを見て、内実を知らない編集局長補佐はツイッターで「どうしてこんな目に遭わなくてはいけないのでしょう」と記事の引用RTをしたのであろう(2022年2月25日午後8時38分投稿)。事情を知る者からすれば、(退避勧告が出されている危険地域に開戦直前に入る無謀な行為をするから、そのような目に遭うのだ)と簡単に答えは分かる。
このようにSNSで一般人が情報発信をしている時代のため、20歳の慶大生の入国に至る経緯は分かるが、SNSがなければ「かわいそうな学生さん」「外務省や大使館員は何をやってたの?」という批判が沸き起こっていたと思われる。
そのため、件の編集局長補佐という肩書きの野沢哲也氏のツイートには「ちゃんと取材をして書いているのか」というコメントが殺到することになった。既にキエフを離れたという慶大生は、今回の件を全面的に謝罪するツイートを投稿している。
…今回、多くの方々からの批判や暴言も多数いただき、私の軽率な行動によりご迷惑をおかけした大学関係者、外務省、大使館の皆様、並びに不快な思いをされた方々には心から謝罪いたします。大変申し訳ありませんでした。今後このようなことがないよう深く反省し、然るべき対応をいたします。(2022年2月26日午前0時45分投稿など)
■ウクライナの少女の涙
慶大生には外務省の勧告を無視して軽率な行動をとったことは大いに反省していただくとして、問題は朝日新聞である。この記事はずっとデータベース上に残るため、10年先、20年先、この記事を検索した者は「外務省は何をやっていたんだ」「20歳の大学生がお粗末な政治の犠牲になった」という感想を持つであろう。
書いてあることに虚偽はないが、真実を全て書かなかったことで、虚偽の事実を流布することに等しい結果を招くことになる。慰安婦の問題もそうだが、こうした報道姿勢が歴史を真実と異なる方向に導くことを朝日新聞の記者は少しは考えた方がいい。もっと言えば、だから朝日新聞は信用されないのだということを意識すべきである。
ウクライナ東部のマリウポリという町で、ロシア軍の攻撃から逃れるために地下の防空壕に逃げ込んだ4~5歳の少女の話がフジテレビで放送されたのをご覧になった方もいると思う。その少女は「私、死にたくない」「ドーンという音で目が覚めた。戦争はいやだ」と言って涙を流している(FNNプライムオンライン・ロシア軍が首都キエフ侵攻 陥落間近か 逃げ惑う市民どうなる)。
「死なない程度に挑戦を続けます」と言ってキエフ入りした大学生、おそらくその事実を知りながら悲劇の主人公に仕立て上げた朝日新聞の記者と編集局長補佐が、この少女の涙を見て自らの行為の愚かしさを感じていただくことを願うのみである。
蛮勇君、謝罪文に暴言という言葉を用いていることから、仕方なく謝っているような印象を受けます。暴言はあったでしょうが、お叱りとした方がスマートでしたね。
余計なお世話ですが、この子、安田純平さんのような生き方を選択しそうで心配になります。
それにしても、朝日新聞記者の劣化には驚きます。ここまで酷いとは…(x_x)
このような記事でも、善良な市民は信じてしまうでしょう。読者を騙していると言ってもいいかもしれません。
私は、口コミやネット情報を鵜呑みにしないようにしていますが、溢れんばかりの情報の中では、その渦に流されそうになります。
何が正しく何が間違っているのかを、正確に取捨選択出来る感性を磨かなければいけません。その感性を磨く場所の一つが、令和電子瓦版です。松田さんの文章を多く読んでいるせいか、他の所では(文章力が低く)満たされなくなって来ました。
ジャーナリストには、政治、経済、等々の専門分野がおありのようですが、松田さんは何かに特化されてはいらっしゃいませんよね?
なんでも専門、オールマイティー、歩く辞典、これは凄いことです。
今頃気づいたのか?って感じですが、本当に凄いお方だと思っております。
>>月の桂様
コメントありがとうございます。
>>なんでも専門、オールマイティー、歩く辞典、これは凄いことです。
これは、特に専門がないということでもあります。最も詳しいのは何かと言われれば、海外競馬と刑法・刑事訴訟法あたりかと。それも専門家に比べれば全然ですから、お恥ずかしい限りです。個人的には海外競馬を書きたいのですが、毎回、あまりにPVが少ないので腰が引けています。MR.CB様に「早く書け」と怒られそうですが(苦笑)。
それはともかく、僕に関してはどこにでも首を突っ込む、うるさ型オヤジというのが正当な評価かと思います。過大な評価はどうぞ、ご容赦を。
オヤジといえば、最近、野崎様がご登場しないのは寂しい限りです。「ファシスト共め」を待っているのですが(笑)。団塊の世代に正面から鉄槌を下す貴重な存在だけに、またのご来場をお待ちしています。
とにかく、これからもよろしくお願いいたします。
松田 様
お返事を有り難うございます。松田さんの記事の特徴は、法的根拠を示して書かれるところです。これはとても勉強になります。刑法・刑事訴訟法は、一般人には馴染みが薄いですし、記事で知識を得られることに感謝しています。
国内競馬ですら未知の世界の私には、海外競馬となれば、更にハードルが高くなります。それでも、記事内の資料にある馬の血統や海外戦の動画は興味深く、フランス語による中継は、なんだかお洒落に感じました。走る馬は美しいですね。MR.CB様も記事をお待ちだと思います。
野崎様のご登場もそろそろではないでしょうか。(⌒‐⌒)
うるさ型オヤジは、社会秩序を保つ為には必要な存在です。社会のニーズに応えていらっしゃるのですから、松田さんはやっぱり凄いです!!(⌒‐⌒)
もう2月も終わりになりますね。3月はどんな菓子銘でコメントしようかな~。コメント者にも、楽しみは必要ですからね(笑)
伊藤事件、石田事件、意見表明としてのコメントには月の桂で書きますが、それ以外はいろんなお菓子になって登場します。アドレスは同一ですから、松田さんには私だとわかります。コメントを読まれる皆さんも、当てっこしてみて下さいませ(笑)
ところで、
こういう人物の元祖?と言える、『イラクで多国籍軍に対する“人間の盾”をやって大失敗、日本政府の助けでほうほうの体で日本に逃げ帰って空港で“ぬるぽ”をもらったIさん(一応仮名)』は、今も「「若者が希望を持てる社会を!」とか言って当時と変わらない様なご活動をされている様ですが、Iさんはこのウクライナの戦争に関して何も発言して無いのかな?w
》》月の桂様
おっしゃるとおりです。朝日のルーティン的な愚行は今更ながら、将来ある若者の短絡的で浅はかな行動には悲しいと言うか、情け無いと言うか。やるせない気持ちしかありません。
MR.CB 様
コメントを有り難うございます。
思うに、この学生は、自分の未来が長く続くことを信じて疑うことはないのでしょう。だから、「死なない程度に挑戦を続けます」なんてことが言えるのだと思います。
「余命10年」という映画が公開されました。小坂流加さん著の同名小説(2017年5月発行)を映画化したものです。小坂さんは刊行を見ることなく、持病(症状から肺高血圧症と推測)の悪化により同年2月に逝かれました。「余命10年」は、ご自身をモデルに書かれた作品だと思います。
私は、この作品が出版されて間もない頃に読みましたが、映画化されると知って、絶対に公開初日に行こう!!と決めていました。やはり、期待通りの心を打つ作品でした。
蛮勇君が鑑賞したら、きっと人生観が変わると思います。
私がこちらにお邪魔しているのは、学び目的でして、記事は関心のあるもの、コメントはご贔屓投稿者に限定して読んでいます。MR.CB様の文学的な世界観や常に自らを戒めた文章に毎回啓発されます。
どうぞ今後も無理の無い範囲で、お出まし頂ければ…。
わたくし、MR.CB様の「出待ち」として、目をキョロキョロさせております(笑)
映画、見に行ってみます。
月の桂さんの期待通りだったのなら、いい映画なんでしょう。
匿名 様
コメントを有り難うございます。
映画の感想は、単なる「I(私)メッセージ」にすぎませんが、匿名様の心に残る作品であったらいいなと思います。
>今回、多くの方々からの批判や暴言も多数いただき、
「暴言」?これ全く反省してないよね?
取り敢えず真相がバレて炎上したから仕方なく謝罪ツイートをアップしただけ。
>「暴言」?これ全く反省してないよね?
自分が言えば“意見”、他人に言われれば“暴言”、吹かざるを得ないw
謝罪のくせに自分で「暴言」っていうのか。
今のKOってのはこの程度なんか。
》》匿名様
独立自尊の意味について、この学生にはもう一度考えた方が良いですね。
地頭は良いはずですから、早く学生の本分を全うして、偉大なる慶應義塾大学の名前に恥じない社会人になって欲しいです。