スポーツ新聞部数減止まらず コロナ禍前から半減

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 2025年のスポーツ新聞の発行部数が、コロナ禍前と比べてほぼ半減していることがわかった。23日、日本新聞協会が2025年の新聞の発行部数などを発表、スポーツ新聞は全体で150万部を割り込み、前年から10.9%減であった。コロナ禍直前の2019年と比べると50.9%の水準で、6年でおよそ半分になっており、その退潮に歯止めがかからない現状が浮き彫りになっている。

◾️スポーツ紙全体で150万部割る

スポーツ新聞の凋落が止まらない…

 スポーツ新聞全体の発行部数は149万4416部で2024年の167万7822部から10.9%の減少となった(日本新聞協会・新聞の発行部数と世帯数の推移)。前年比で見ると、コロナ禍が始まった2020年にマイナス10.1%を記録。2022年のマイナス9.2%を除き、6年間で5回、2ケタの減少率を記録している。

 ここ6年、毎年1割ずつ市場がシュリンクしている現実は、とても「売上の不振」などという言葉では片付けられるものではない。市場そのものの消滅に向け一歩一歩、着実に進んでいる過程にあると言うべきであろう。

 部数ベースでは2000年を100とすると2025年は23.7と、実に4分の1に縮小している。減少した部数は、前年2024年から18万3406部、2000年からは481万2746部という凄まじい数字になっている。

 2025年1月末に東京中日スポーツが紙面の発行をやめたこともあり、スポーツ新聞全体の発行部数の減少が予想されており、今回の発表はそれを証明するものとなった。

 もっとも、東京中日スポーツの分が0部となっただけに前年の12.4%減を上回る大きな落ち込みになるのではないかという観測もあったように思うが(参照・YouTube令和電子瓦版:どこまで落ちる…スポーツ新聞 最盛期の1/4で消滅に現実味)、「よく10.9%に踏みとどまった」という見方もできるかもしれない。

 この点は、2020年から本格的に始まった消滅への道が、毎年ほぼ10%の減少でライトな読者がほぼ離れ、何があってもスポーツ新聞はやめないという、核となる読者が残っていると見ることもできる。ただし、そうした読者の多くは団塊の世代(1947年~1949年生まれ)と考えれば、簡単に減少率が改善するとも言えない。大きな流れとして消滅へ向けて動いていることは間違いないと思われる(参照・スポーツ紙過去最大の12.4%減 廃刊ラッシュ間近)。

◾️デイリースポーツで見るスポーツ新聞の現況

 関東エリアの朝刊スポーツ新聞で、唯一ブロック紙(神戸新聞)が母体のデイリースポーツを見ると現在のスポーツ新聞の現状が浮かび上がる。

 1面に3段広告があるのはいいが、”稼ぎ所”である2、3面は広告がない。裏1面はモノクロの5段広告があって何とか面目を保っているが、比較的、単価の高い広告が入りやすい芸能面にはアダルト映像関連の5段広告が入っている。

 2、3面や芸能面は書籍関連が入ることが多いが、出版社も苦境が続く紙媒体として広告を多く出せる状況ではない。まして、デイリースポーツに出したところでどの程度の広告効果があるか不明とあれば、簡単には広告を出してくれない。同面や対向面にアダルト映像の広告があれば、その面に書籍関連広告が入ることは広告業界の常識からして不可能。そうした点を考えると、もはやデイリースポーツの芸能面にはその程度の広告しか入らない状況になっている可能性がある。

 これ以外には通販の全面広告が1枚、また、地方競馬の出走表が入ったページはいわゆる記事広告で、主催者から広告料が払い込まれている。このあたりが最も収益が期待されるページである。

 実際に紙面をめくってみると、多く見積もっても、この日の広告費は100万円に届かないとみられる。これが通常の状況であれば、デイリースポーツ関東版の年間の広告収入は3億円いくかいかないか程度であろう。そして1部160円で仮に5万部売れたとしても800万円。年間の販売収入は30億円程度と推計される。

 デイリースポーツの親会社である神戸新聞社の2024年の連結決算を見ると、売上高は363億円とされているため(神戸新聞社有価証券報告書-第116期)、デイリースポーツ関東版はその10分の1以下というのは概ね妥当なところであろう。

 神戸新聞の2024年の純利益は約16億9000万円にすぎず、デイリースポーツ関東版は黒字であったとしても1億円に届けば十分と思われる。輸送費用、紙代などの上昇が続けば1億円程度の利益など、すぐに吹き飛んでしまう。仮に赤字であれば、純利益が17億円程度の神戸新聞社が支えるにも自ずと限界はある。

 神戸新聞社の最新半期決算(2024/12/1~2025/5/31)では純利益が約8億円で、前期比 -23.14%と業績は芳しくない(神戸新聞社有価証券報告書-第117期)。純利益が出ているうちはいいものの、この先、どこまでデイリースポーツを支えていられるか、決して楽観できる状況ではない。

◾️東京中日スポーツに続く撤退も

続く2ケタの減少率

 スポーツ新聞のメインの購読層である団塊の世代は2026年には全員76歳以上となる。頑固にスポーツ新聞を買い続けた人たちも、徐々に数が減っていくのが自然の摂理である。

 コロナ禍から始まった本格的なスポーツ新聞の退潮は今年も止まらなかった。

 東京中日スポーツに続く、紙媒体からの撤退を表明する会社が出てきても不思議はない。

(SNS関連投稿⇨ YouTube・スポーツ新聞 コロナ禍前から半減の衝撃。2025年の発行部数発表が示す絶望的未来

    "スポーツ新聞部数減止まらず コロナ禍前から半減"に1件のコメントがあります

    1. いつも見てます より:

      通販の広告は売り上げに応じてもらえる仕組みらしいよと知人から聞いて驚いた記憶があります。でも盆栽の剪定(通信)教室とか、1万円しないポータブルDVDプレーヤーの通信販売が100万円出して広告を出すとも考えられず、なるほどと思いました

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