検察庁法改正案に賛成 枝野氏は廃案にしない
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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検察庁法改正法案が話題になっているが、僕は改正に賛成する。理由は適材適所の人事をするために、定年制について柔軟に適用すべきと考えるからである。そして立憲民主党は仮に政権を取ったとしても、検察庁法改正案の廃止にしないと考える。
■生まれた月で検事総長を決定する非合理性
僕が改正法案に賛成するのは、検察トップの人事を効率良く、合理的にするためである。改正法は検察官の定年を65歳に引き上げ、役職定年も内閣の判断で延長できるようにするもの。
現在の検事総長が2020年7月で退任するとしよう。次の検事総長の候補はAさんとBさんがいる。全国の検察官のトップの地位の重責を担える人間はそうそういるものではない。任命権者である内閣はAさんこそが検事総長にふさわしく、Bさんは別の役職に適性があると考えている。
ところがAさんは2020年2月で役職定年になってしまい、検事総長にはできない。そこで同年9月に誕生日を迎えるBさんを検事総長にすることにした。これが従来の方法である。Aさんの方が検事総長に向いているのに、誕生日がBさんより半年ほど早かったために検察官の最高位になれなかったのである。
これはAさんにとって悲劇であるだけではなく、検察行政全体のマイナスであり、そのしわ寄せは確実に国民にもやってくる。国民が不利益を受けた理由が「Aさんが半年早く生まれたため」で納得できる人がいるとは思えない。このような合理性のカケラもない人事は社会全体を停滞させる。そうならないように(適材適所の人事が可能なようにしましょう)というのが改正法案の趣旨である。
■野党の目的は倒閣のみ マイナス面しか指摘しない
もちろん、野党が反対するように政権に恣意的に運営されるという不安はある。NHKのWEB特集「揺らぐ“検察への信頼”~検事長定年延長が問うもの~」で、元東京地検特捜部検事、青山学院大学大学院法務研究科で教鞭を執っていた高井康行氏はこう話している。
「…政権は人事を通じて検察にアメもムチも与えることができず『定年制』こそが政権からの介入を防ぐ『防波堤』の1つになっていた。今回のいちばん大きな問題は政治がこの『防波堤』を勝手に動かしてしまったことだ。」
高井氏の言う部分は確かにその通りであると思う。政権が人事面で介入してくることで、検察トップの心情に多少なりとも影響を及ぼすことはあるかもしれない。それは機能的な人事を行うためには仕方のないことであり、その比較衡量でどちらを選ぶかという選択肢が投げかけられているのである。高井氏はその比較衡量の一方の部分を摘示したに過ぎない。
野党側はマイナス面ばかり強調して反対しているが、それでは検察トップの人事が年齢だけを理由に適材適所ではなくなってしまうことの弊害をどう考えるのか。最初から政権を取れるとは思っていないからただ反対しているだけではないのか。
■揺るがない検察の正義感
立憲民主党の枝野幸男代表も2月26日の衆議院予算委員会で言っていたように、検察官の志望理由は「社会正義の実現」が最も多いのは確かであろう。その検察官が「この総理が自分を検事総長にしてくれたから犯罪を見逃そう」と考えることなど、決してないと言ってもいい。
1954年(昭和29)の造船疑獄の時に東京地検が自由党幹事長の佐藤栄作(後の首相)を収賄容疑で逮捕しようとした時、犬養健法務大臣が検察庁法14条の指揮権を発動して逮捕を無期限延期させたのはよく知られている。
つまり、内閣はその気になれば、検事総長であろうが指揮権を発動して捜査に決定的な影響力を及ぼせるのである。もちろん、今の時代、そんなことをすれば次の選挙で内閣は与党もろとも吹き飛ぶであろうが、都合の悪い検事総長がいても法務大臣を通じて内閣は指揮監督ができるのである。そのシステムがある上で、なお、定年延長、役職定年の延長を目指すのは、まさに適材適所の人事をすることが目的であることは容易に推認できるであろう。
■枝野氏は政権取っても改正検察庁法を廃案にしない
立憲民主党は、ツイッターで枝野幸男代表が2月26日の衆議院予算委員会での検察庁の人事に関して質問した動画をトップに固定している。ここで枝野氏は東京高検の黒川弘務検事長を検事総長に充てようとしている人事について「総理みずから、桜を見る会に対する、政治資金規正法に対する捜査を防ごうとするものだと疑われています。疑われています。このことを言われるだけでも、検察の中立性に対する信頼を失わせる意味で、この人事は不当であります。」と述べている。
枝野氏は、この人事を強行することで、検察の中立性に対する信頼を失わせる可能性があると言っているに過ぎない。仮に立憲民主党が政権を取ったとしても、改正検察庁法を廃案にすることはまずないであろう。なぜなら適材適所の人事が検察庁にも必要であることは枝野氏も政治家なら十分に理解できているであろうし、自分たちも適材適所で検事総長の人事をしたいと考えるからである。
少なくとも枝野氏は2月26日の時点では「安倍内閣がやろうとしている検事総長の人事に反対」としか言っていない。自分たちが政権を取った時に都合のいい改正検察庁法を廃案にするはずがないし、そうしても「安倍内閣だから反対した。政権と癒着が考えられない我々が運用する際には反対する理由はない」と言い訳ができる。要は手続き反対、実体賛成。反対ばかり主張し、倒閣へつなげようという思惑であろう。
メディアはぜひ、枝野氏に問うてほしい。「政権を取ったら、改正検察庁法は廃案にしますか」と。絶対に「廃案にします」とは明言しないであろう。検察庁法改正案に反対する人はそうした事情をよく考えてから、賛否を明らかにしてほしい。
この問題は難しいですね。黒川氏を閣議決定で定年を延長した、理由として日産のゴーン容疑者の継続だと思います。これが三権分立を脅かすとの理由で野党が反対した。と私は思っています。今回の法案改正は定年延長です。何も問題は無いと思います。野党、マスコミは反対と言っています。そうで無くとも、コロナ問題でマスク、PCR検査、自粛保障等全てが遅いという不満が国民に漂っています。そして、芸能人からも今の政権に不満が噴出している様に見えます。政府及び与党は良くやっていると思います。目に見えないウィルスとの闘いです。誰も経験した事が無い未曾有の国難です。芸能人が#検察庁法改正に反対しょう。と深く思慮せず騒いでいる様に思えます。
>>山口 秀明様
コメントをありがとうございます。
芸能人も仕事が激減して、何か文句を言いたくなったり、あるいはトレンドに乗っかって注目を集めたいと考えるのかもしれませんね。
政府はよくやっていると思います。マスクの配布もボロクソに言われていますが、批判する人たちはフランスが10日遅れでマスク配布を実施したのに文句を言わない二重基準。小島慶子氏、加藤登紀子氏あたりには本当に虫唾が走ります。