炎上した太田光氏vs二階俊博氏の全やりとり

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 お笑い芸人の太田光氏が自民党の二階俊博前幹事長に「人相が悪い」と罵倒した際のやりとりを紹介する。10月31日の「選挙の日2021 太田光と問う!私たちのミライ」(TBS系)出演時のもの。

■出てきた擁護記事と「照れ隠し笑い」

照れ隠し笑い?の太田氏(TBS画面から)

 太田氏の失礼な言動はネットでも話題になっているが、一部には太田氏を擁護する論調も出てきた。Asa-Jo(アサジョ)というサイトで、4日、木村慎吾氏がネットで太田氏に肯定的なコメントを集め、「二階氏をマジギレさせた太田のぶっ込み質問の映像はSNSでも大きなバズりを見せており、しばらくはネット民をザワつかせることになりそうだ。」(太田光、選挙特番での“失礼質問”が再評価「あのMCにはできない」)と評価している。

 5日には日刊SPA!で、椎名基樹氏が「二階俊博とのやりとりなどは、非常に面白かった。」(太田光の選挙特番は、二階さんとのやりとりが一番面白かった)とする記事を公開。何が面白いのか理解できないが、椎名氏にはそう感じたようである。ちなみに記事のプロフィールによると同氏は構成作家とのこと。

 実は当該記事には面白い部分もある。それは「番組中、太田光は意味不明な空笑いを何度かあげていた。自分が置かれている立場に対する違和感をごまかすために、照れ隠しで笑っているように見えた。」という部分。確かに甘利氏とのやりとり(参照・太田光氏vs甘利明氏 やりとり再現)の中でも何がおかしいのか分からないが太田氏が大笑いする場面がある。二階氏に対しても同様。

 バラエティー番組であれば、面白いことを言った時に周囲が笑ってくれるため、自らは余裕の表情をしていればいい。ところが、政治家とのやりとりの中で、いつもなら周囲が笑ってくれるシーンなのに静まりかえっているため、(ここが笑いどころですよ)と伝えるとともに、笑いの誘導とするために派手に笑っていたというのが真相ではないか。

 その高笑いが逆に視聴者の反感を買い、収まることのない炎上に繋がっているように思える。

■「怒ってますか? 怒ってる?」

モニターに映った二階氏と太田氏(TBS画面から)

 「忖度なし! 太田光×注目政治家”10番勝負”」の2番手に登場した二階氏とのやり取りをテキスト化したので、お届けする。

 二階氏が登場前から、太田氏は「妖怪が出てきますか」と本人不在の場で失礼な物言いをする。背後のモニターに二階氏の姿が映し出されると、太田氏は正面のカメラを向きながら「おお、怖い」と大袈裟に驚いて見せた。これは、これから始まるやりとりのフリの1つなのであろう。

太田:二階さんどうも。初めまして、太田です。

二階:どうもありがとうございます。

太田:怒ってますか? 怒ってる?

二階:はあ?

太田:あの

二階:何?

太田:人相が悪いんですけど、怒ってますか?

二階:君よりはちっとマシだよ。

 バラエティーなら掴みはOKとなるのかもしれないが、ここは見事にスベっている。冒頭で噛み合わなくなった話は最後まで修正されることがなかった。

太田:ハハハ(笑) そうですか。二階さ~ん、いわゆる自民党の象徴みたいな存在だと思うんですけど、いい意味でも、悪い意味でもね。

二階:はい。

太田:自由民主党の象徴が今、二階さんだと思うんですけど、その前に…

二階:いい意味だよ。

太田:いい意味でも、悪い意味でも二階さんが、あの、古い体質も含めて…

二階:悪い意味がどこにあるんだよ。

太田:だから、古臭い変われない自民党という意味を含めて。

■空虚な話が往復しただけ

写真はイメージ

 スタート時は「どうもありがとうございます」と丁寧にインタビューを申し込んでくれたことへのお礼らしき物を述べた二階氏であるが、さすがに機嫌を損ねてしまったように見える。

 この後は比較的真面目に政治の話を持ってきたが、自民党の古い体質を一新してほしいという漠然としたものでしかなかったために、空虚な、抽象的な話が何度か往復した程度の印象しか残せない。

太田:それで、この前、福田さんとも二階さんの前に話したんですよ。福田達夫(総務会長)さんね。で、福田さんは党風一新の会って、自民党を変えたいと言ってる。言ってるんですよ、自民党の古い体質を変えたいって言ってるんです。二階さんはそれに対してどういう受け止め方してるんですか。

二階:政治はね、段々、段々、新しく脱皮していく、変わっていくということが大事なんですよ。ただ、意味もないのに、「変えたい」「変えたい」なんてね、口先で言ってるだけではダメなんだよ。政治は実行力だ。それをしっかりね。それから立派な政策を打ち出して、この政策でどうですかっていうことを、問わなきゃだめだ。ただ、政治を変えるとかね、政治を変えたいと言って、それはまあ、絵でも描くヤツだったら絵の具を換えるってあるでしょうけども…

太田:政治を変えたいってよりも、自民党の党風を変えたいって言ってると思うんですね。で、僕は、自民党の今までやってきたこと、戦後のやってきたことっていうのは、ある程度、国防のことでも、第一に平和。特に二階さんはそうですよね。平和主義っていうのを貫いてきたことは僕はすごく共感するんです。それは例えば日米安保条約でも、解釈をうま~くこう、何て言うのかな、変更しながら、何とかごまかしてやってきた。それは政治の手腕だったと思うんだけど、例えば安倍さんみたいにはっきり憲法を変えようっていうことに関して、二階さんどういう気持ちでいるんですか?

二階:まあ、憲法は国民の皆さま方がね、どうしてもここを変えようということになってきた場合に、その時にしっかり対応するんであって、我々の側からは憲法変えよう、憲法変えようってばっかり騒ぐ必要はない。もっとやらなきゃいけないことはたくさんある。こう思ってますね。

太田:じゃあ、安倍さんのことは気に入らないってことですか?

二階:いやいや安倍さんは立派な総理としてね、今日まで随分、活躍されました。気に入ってますよ。

太田:気に入ってますかぁ?

二階:失礼ながら気に入ってます。

太田:でも、戦後のレジュームを脱却しようって言って、言ってみれば、戦後レジュームを脱却するって言ってね、いわゆる今まで自民党があやふやにしてきた部分をはっきりさせようっていうのは、俺は、俺はもちろんそのはっきりさせようってことには賛成なんだけど、それには自民党の今までの良さが、いわゆる、こう、ちょっと玉虫色的なことでやってきた良さが安倍さんによって、こう、変えられちゃうってかね、白黒はっきりさせちゃうってのは、ちょっと危険な部分も含んでるじゃないですか。そのへんは二階さんどう思います?

二階:そんな、そんなことありません。自民党というのはね、色んな組織がしっかりしとって…

太田:自民党の良さは分かりますよ。

二階:みんなで協議をし、ね、みんなで協議をして、やるわけですよ。一部の者の方向づけで走っていくようなことではありません。ですから、円満な形でこれからも自民党の政治を進めていきたいと思っています。

■30秒残してしまったことが失敗の原因

 二階氏の発言の後、「あと30秒です」の声がかかった。30秒を残して話としては完結してしまったために、太田氏としてはテレビ慣れしていない政治家を相手にどうやって30秒を埋めるか、頭を痛めたのかもしれない。出てきた言葉は引退勧告であった。

太田:二階さんはところでいつまで政治家続けるつもりですか。

二階:それは選挙民の皆さんが決めることであって、君が決めることではない。

太田:いやいや俺は決めようとはしていないんで、二階さん自身が…あ、じゃあ死ぬまでやる、と。

二階:大体ねぇ、今日は当選したばっかりでね、いつまで政治やるんですかって、お前、失礼だよ。

太田:失礼じゃないよ。それはだって当然国民の権利じゃん、そんなの聞くのは。

二階:(太田の言葉に被せるように)言葉を選びなさい。それは権利であるけど…

 ここで強制的に打ち切られ、二階氏のその後の言葉は放送されなかった。二階氏が画面から消えると、井上貴博アナが「もう2人して画面にどんどん近づいていくから、もうどうなるのかと思って、ポーンと(画面から)出てくるんじゃないかと」と笑いながら話し、太田氏も大笑いしながら「ダメだな、俺、向いてないな。…全部途中で終わっちゃうんだな」と話した。

 「向いていない」というのは正しい感想と思われる。しかし、二階氏とのやりとりに限れば、30秒残してしまったことが最大の失敗の原因と思われる。最初から歯車が噛み合わず、残った時間を使おうと、おそらく苦し紛れに出た言葉で相手を怒らせてしまった。結果、相手の話の途中で打ち切ることになり視聴者がフラストレーションを感じ、スタジオも(終わってしまった)という感じになった。そうなると、自分が大笑いして、(ここは笑いどころ)とするしか方法がなかったのであろう。

■TBSと太田光氏に「ご愁傷さま」

 政治的には聞くべきところはなく、お笑い芸人が3時間出演して、笑う場面が一度もなし。平均視聴率は6.2%と、速報値で最低を記録した(日刊スポーツ電子版・選挙特番視聴率 NHKトップ17・7% “池上無双”のテレ東は7・6%)。

 低視聴率の番組がネットで炎上と、放送としては完全な失敗と言っていい。TBSと太田光氏が「ご愁傷さま」と言われる状況になっているのは皮肉としか言いようがない。

    "炎上した太田光氏vs二階俊博氏の全やりとり"に3件のコメントがあります

    1. Suaviter machina より:

      演出等で無礼な態度をとっているのかと思ったら素で無礼だったという事実

    2. 名無しの子 より:

      「君よりはちっとマシだよ」「いい意味だよ」という二階さんの切り返しや、太田氏の裏口入学疑惑の話題にのった甘利さんの方が、余程お笑いのセンスがありますね。太田氏よりも。インタビューを受けた自民党の方々は大変な思いをされましたが、皮肉にも、有権者からの同情を買い、印象が前より良くなってしまいました。TBSの思惑とは逆に。
      まさに「策士策に溺れる」ですね。ご愁傷様と言いたいです。

    3. 野崎 より:

      こんばんは

      太田氏はある意味使用価値が上がったのでは?

      かつてビートたけしが集団を引き連れ出版社の乗り込み暴力事件を起こしましたがそれで干されることはありませんでしたね。
      その理由は様々解析できますが単に社会通念を逸脱したことがマイナス評価にはならない世界である事が見て取れます。

      いずれにせよ民放、NHKを含めTVなるものは何らかの形で崩壊して欲しいと願っています。
      ただより高いものは無い、はまったくそのとおりでNHKなどは逆に金をとられて洗脳工作を自由にさせている。

      政治家は立場上思うにまかせて切り返せませんね。
      故ハマコ~さんのキャラならと空想し架空の切り返しをコメントしましたが麻生さんならどんな対応だったのかな?と空想してしまいます。

      立憲共産党には久しぶりに笑わせてもらいました、そも強烈にポイントを突いていて結構な効果があったのでは、
      温暖化により北海道のコメがうまくなった!と言える方ですから。

      山本太郎氏も切り返しは上手いでしょうね、彼はサイコパス的資質(口達者で表面的な魅力がある)でありトリックスターですから、

      ご返信は不要です。

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