熊澤英昭容疑者「怒りの矛先が子供に向いてはいけない」

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 自宅で長男の熊澤英一郎さんを包丁で刺したとして殺人未遂容疑で逮捕された元農水省事務次官の熊澤英昭容疑者について、事件の背景が伝わってきた。朝日新聞の報道では、隣接する区立小学校で運動会が開かれており、「運動会の音がうるさい」と英一郎さんが不機嫌になるのを見て「怒りの矛先が子供に向いてはいけない」と思い、その数時間後に殺害したという。

聞くだけで辛いニュースもある

 読売新聞によると、日常的に家庭内暴力を繰り返す英一郎さんに対して「殺すしかない」と記した書き置きが発見されたとのこと。「周囲に迷惑をかけてはいけないと思い、長男を刺した」と供述しているとも伝えられている。

 伝えられた内容を見ると、区立小学校の生徒や周囲の人への危難を避けるための緊急避難(刑法37条1項)の成立の可能性がありそうだし、自身と妻への急迫不正の侵害に対する正当防衛(刑法36条1項)が成立する可能性もないわけではない。

 たとえば、英一郎さんが「今から子供たちを殺してくる」と言って包丁を持って家を出ようとしたのでやむなく刺したとか、あるいはそれを止めようとしたらもみ合いになって刺したとか、そのような状況であれば違法性阻却事由が成立する可能性はある。

 詳細な状況が分からないから何とも言えないが、熊澤英昭容疑者の行為について、違法性阻却事由があるのかという点が裁判での焦点になるのは間違いない。

 いずれにせよ子供を殺すしかないと考え、刺殺することがどれだけ辛いことか。想像するだけで胸が痛む。

"熊澤英昭容疑者「怒りの矛先が子供に向いてはいけない」"に2件のコメントがあります

  1. 匿名 より:

    この他にもたくさんの親御さまが同じ問題で苦しんでおられると思います。御家族だけでは解決出来ませんので(国家や機関の助けが必要なので積極的な対応糸口になって下されば幸いです)暴れる度に警察様をお呼びすること繰り返しで「何で呼んだ」帰られた途端親に暴れるお子様をどうやって静止できるのか?!!どんだけ普段はなるべく怒らせないよう腫れ物に触るよう接しても、何かと因縁をつけて周期的に爆発される怖さは経験された人で無かったら理解することは出来ません。かと言って薬付けにするも可哀想、思う心の仇となり。子育てが悪いのでもなければ躾が甘かった訳でも御座いません。情状酌量に一票お願い申し上げます。

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 matsuda より:

      >>匿名様
       コメントをありがとうございます。当事者でなければ分からない問題がたくさんあるのでしょうね。いただいたコメントを読んで胸が痛くなる思いです。
       家族だから解決が難しくなる問題、熊澤被告のような悲劇的な結末となってしまったのでしょう。報道を見る限り、正当防衛は難しくても、過剰防衛は成立するのではないかという気はしますが、どうなのでしょう。本人は刑事責任を全うしたいと語ったようですが、矯正施設で矯正すべき部分があるのかなという思いがします。

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