バカ売れ台湾ICカード 発送は…再来年かい!
葛西 健二🇯🇵 @台北 Taipei🇹🇼
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ICカードの「悠遊カード」が6月3日、プレステ4のコントローラーの形のカードの先行予約販売を開始、5分で売り切れました。最終的に3日間で48万枚(個)が売れる大ヒットです。遊び心満載の台湾ICカード事情をお届けします。
■波多野結衣さん限定カードは一瞬で完売
「悠遊カード」は台湾で使える交通系ICカードです(日本のPASMOやSuicaに相当)。台湾主要都市の公共交通機関だけでなく、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、公共料金の支払いなどにも利用できます。さらに台北地下鉄(MRT)の運賃が2割引になるという特典もついています。
特に便利なところは、交通機関での使用の際にマイナス残高機能があることです。例えば地下鉄で残高不足の場合、不足分はマイナス残高として記録され、次回チャージする時に精算されます。実質、無担保で借り入れができてしまうのは如何なものかと思いますが、利用者にとっては大変、便利です。
日本の皆さんは、駅の改札で前を歩く人のSuicaが残高不足のため「ピンポーン」と音がして扉が閉まったという経験をお持ちでしょうか。そんな時、しばらく通れなくなる自動改札を前に(チェッ)と内心、舌打ちをするのでは? 台湾は原則、そういう小さなストレスとは無縁というわけです。
その便利さは秀逸ですが、それにも増して素晴らしいのは発行する悠遊卡公司が半官半民とは思えない、実に柔軟性のある会社ということです。これまで様々なイラストのカードを発行しており、お堅い会社のイメージはありません。2015年には台湾で知名度の高い、衣装を着ないで仕事をする”そっち系”の女優である波多野結衣さんの限定カードを販売し一瞬で完売、話題となりました(参照:「宅男哭哭」…新型コロナウイルスで台湾に”そっち系”の女優が来ない )。
最近では中央感染症指揮センターの「鉄人部長」陳時中氏のイラスト入りのカードを登場させるなど、時の話題に敏感です。またコラボレーションも積極的に行っており、アニメやディズニー、サンリオキャラやLINEのキャラクターデザインも扱っています。
海外からの観光客にもお土産として人気があるそうで、台北101や九份などの観光スポットが描かれたカードも販売されています。昨年、名古屋から遊びに来た私の友人は、台湾島をかたどったキーホルダー型の悠遊カードをお土産として購入していました。
■プレステのコントローラー型のカード3分で売り切れ
悠遊卡公司がすごいのはデザインだけではありません。前述のキーホルダー型や立体型など多種多様なカードを販売していることです。日本でもキーホルダー型のカードは販売されていますが、2018年7月に瓶ビール型の立体型カード「台湾ビール悠遊カード」が発売され話題となりました。2019年7月には同じく立体型の「ポケットモンスター」の「モンスターボール悠遊カード」を限定販売。これは販売開始後3分で売り切れとなり、現在はオークションで高値取引されるレアアイテムです。
そして今年6月3日に先行予約販売されたのは家庭用ゲーム機「プレイステーション4」の専用ワイヤレスコントローラー「DUALSHOCK4」をかたどったものでした。ここまでくると「カード」と呼んでいいのか、迷うところではあります。
ソニー・インタラクティブエンタテインメントの台湾法人から許諾を受け当初2万8000個限定で予約受付を開始。1個390元(約1450円)と価格もやや高いにも関わらず、先行予約販売は開始5分で完売、その後、急遽6月8日から3日間追加予約販売が行われました。結果、3日間で「48万個」の予約が入りました。
実は私もその48万分の1です。6月9日午前11時からの追加予約開始に合わせ11時ちょうどにネットから予約を入れたのですが、アクセスが殺到して購入のページに進めません。5分ほどして何とかアクセスできて無事に注文を完了しましたが、午前11時の回は開始10分で完売となったということです。
しかし、予約購入できた満足感に浸りつつ発送日時を確認すると「2022年1月6日発送」との表示が。思わず「再来年かい!」と内心でツッコミを入れつつ(これは表示ミス、遅くとも今年の10月頃には届くだろう)と高を括っていたのですが…。
その後、悠遊卡公司が「1年以内、遅くとも2021年7月までの発送完了を目指す」と発表しました。多少、早くなったのはいいですが、それでも入手は当分先になりそうです。あれこれ文句を言っても仕方がありません。(これを含めて悠遊卡公司の意外性なのだ)と思い、自分を納得させることにしました。
■台湾の新名物・渡航の際には1枚いかが?
悠遊カードはチャレンジ精神、遊び心を感じとることができる台湾の新名物と言っていいでしょう。ホットなネタということで、東京の新名所・ヒルズの多目的トイレの限定カードを売り出す…わけないですね。「誰が買うんだ」という話ですから。ともかく、それぐらいやりかねないほどの大胆さが人気の秘密でしょう。
次はどのような意表を突く悠遊カードが販売されるのか、とても楽しみです。日本の皆さんも渡航制限が解除され台湾を訪れる機会があれば、1枚、記念に如何でしょうか。