免職教師の叫び(20)沈黙する石田郁子氏
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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中学・高校時代に教師である鈴木浩氏(仮名)から性的暴力を受けたとする写真家の石田郁子氏に8月16日、質問書付きで取材を申し込んだ。同氏がフジテレビに提供したオコタンペ湖での写真はフェイク、合成されたものという結論を出した後だけに反論が期待されたが、戻ってきた答えは「多忙のため(取材は)遠慮する」というもの。そこで石田氏へ提出した質問書を公開し、なぜ、取材を遠慮するのかその背景を推理した。
■石田氏に示した21の質問
当サイトはここまで連載を19回重ねた。そのほとんどは石田氏の証言は虚偽の疑いが濃く、提出された証拠(オコタンペ湖の展望台で鈴木氏と写っている写真)は合成されたものであるとする、石田氏には厳しい内容である。
もちろん、当サイトは鈴木浩氏を擁護する意図などなく、真実追求を唯一の目的としている。そのため、ここまで石田氏に対して生じた疑問を、本人の口から説明していただきたいというのが今回の取材の意図である。事前の原稿チェックも、「コメントと関係する部分は事前開示可能。最終的な修正等の可否は執筆者が決定」とかなり石田氏に配慮する形で申し入れた。
16日に、石田氏が提起した鈴木氏への損害賠償請求訴訟の代理人弁護士の事務所に連絡を取り取材の趣旨を告げ、取材申込書と質問事項を送付。取材は電話かオンラインで行い、それができない場合は質問事項に文書で回答するようにお願いした。当サイトではこうした取材の場合、事前に質問事項を示している。相手に十分に考える時間を与え、円滑に取材を行えるようにするためである。
■「2点で石田さんは嘘を言っています」
石田氏に渡った質問事項は大きくわけて3つのパートに分かれている。問1~問7は、石田氏と鈴木氏の共通の友人である松永なおみ氏(仮名)の証言に関するものである。松永氏は鈴木氏の話は自分の記憶に反することはないが、一方で石田氏については「2点で石田さんは嘘を言っています」としている。
1つは石田氏が交際していたと感じたのは中学・高校から大学2年までで、1997年夏には別れたとしているのに対して、松永氏は1997年夏に交際していると鈴木氏から紹介され、少なくとも98年夏まで続いていたとするもの。
また、石田氏が中学3年の卒業式の前日に、鈴木氏のアパートに連れて行かれ、床に横にされてわいせつな行為をされたという点につき、当時の鈴木氏のアパートは足の踏み場もないほど散らかっており、女性を横にするスペースなどないとするものである(参照:連載(12)CAN YOU CELEBRATE?)。
以上の点について、以下のように質問した(実名で質問しているが、ここでは仮名で表記)。
問1:1997年夏、鈴木浩氏から、松永なおみ氏を紹介されましたでしょうか
問2:1997年夏から1998年夏にかけて、鈴木浩氏の自宅で5人もしくはそれ以上の人数で焼肉パーティーをしましたでしょうか、したとしたら何回しましたでしょうか
問3:1997年暮れから1998年初頭にかけて、入院中だった松永なおみ氏のお見舞いに行きましたでしょうか
問4:前問に関し、松永氏が「CAN YOU CELEBRATE?のような感じで(愛の告白を)言われたらいいよね。私はそうじゃなかったんだ」と言われたことを覚えていますでしょうか
問5:石田様は中学校の卒業式の前日である1993年3月14日、鈴木氏の自宅に自動車で連れて行かれ、キスされた上、(鈴木氏が)「横にして上半身を触る、キスするなどのわいせつ行為を行なった」(東京地裁への訴状から)としていますが、松永氏は「ものすごい散らかり方で、床に座ることなどできません。…部屋に上がる際に『土足でいいよ』と言われたぐらい、汚れていました。その床に横になるスペースはありませんし、土足でいいような床に女性を横にしようとするなど、考えられません」(令和電子瓦版:免職教師の叫び(12)CAN YOU CELEBRATE?から)と証言しています。松永氏は虚偽の事実を述べているのでしょうか、石田様のお考えをお聞かせください
問6:石田様が高校3年だった1995年、受験勉強が忙しいことを理由に、鈴木氏に対してしばらく会わないと言いましたでしょうか
問7:前問に関し、その事実を後日、通院先で医師に対して述べましたでしょうか
■オコタンペ湖の写真のネガを出してください
続いてオコタンペ湖の展望台の写真である。質問用紙(PDF)に写真①を貼り付けて、この件について聞いた。検証結果から、当サイトでは写真は合成されたものであると結論付けたが(参照:連載(19)影なき闇の不在証明)、それに対して9つの質問をした。
問8:写真①の撮影者は誰でしょうか(現場にいた見知らぬ人にシャッターを押すように頼んだ、あるいはセルフタイマーでの撮影の場合、カメラの所有者をお教えください)
問9:写真①の撮影日時はいつでしょうか
問10:写真①はネガフィルムでの撮影でしょうか、あるいはデジタルカメラでの撮影でしょうか
問11:写真①のネガフィルム、もしくはデジタルカメラの撮影であれば元データを開示していただくことは可能でしょうか
問12:写真①を鈴木氏に対する損害賠償請求訴訟の証拠として提出しなかったのはなぜでしょうか
問13:札幌市教委に対し鈴木氏の処分を求める中で、同委に対して写真①を提出しましたでしょうか
問14:写真①で石田様と鈴木氏の体に柵の横棒(ビーム)の影が映っていないのはなぜでしょうか
問15:写真①はオコタンペ湖の展望台の写真と、石田様と鈴木氏の姿を後から合成させたものでしょうか
問16:写真①についてフジテレビで放映された段階では「高校3年時」とされていたものが、FNNプライムオンライン上では「高校3年生の頃」と変わっていますが、石田様としてはフジテレビに対してどのように説明をされたのでしょうか
もし、写真が真正であればネガ(もしくは元データ)を提出できるはずである。本当に石田氏と鈴木氏がオコタンペ湖の展望台で撮影したものであれば、それを示せば、当サイトの検証を簡単に覆すことができる。その機会を問11で石田氏に与えた。
また、この写真①を法廷に出さなかったのはなぜか、問12で聞いた。これは裁判が始まった時(訴状の日付は2019年2月8日)には写真を合成しておらず、フジテレビの放送時(2020年9月30日)までに合成した可能性があると考え、裁判で証拠として提出しない合理的な理由があるかを聞くものである。
■「一切、虚偽を述べていないのでしょうか」
実は石田氏に送った質問のナンバリングを間違え、問15~問16を2度使用してしまった。その点は申し訳なく思うが、2度目の問15、問16と問17はまだ連載で触れていない部分なので割愛する。問18は、情報提供を装って当サイトに接触を図ってきたのではないかと疑われる部分についての問いかけである(参照:連載(17)馬脚を露わすダート道)。そして、問19では事件全体について聞いた。
問18:私、松田隆に対してメールを送付した、アドレス(●●●●@××××.com)の管理者(筆者註:連載内ではX氏とした人物のこと)は石田様でしょうか
問19:鈴木氏に対する訴訟、札幌市教委に鈴木氏の処分を求めた一連の行動の中で、石田様は一切、虚偽を述べていないのでしょうか
以上の質問事項を添付して送付したところ、17日になって弁護士から返信が来た。以下のような簡潔な内容であった。
「石田さんに確認したところ、現在多忙のため今回は遠慮いたします、とのことでした。」
■石田氏に語るべき真実はあるのか
石田氏も何かと忙しいのであろう。しかし、当サイトでは石田氏は虚偽を述べている、写真を合成した、と指摘してきた。もし、石田氏が主張するように中学・高校時代から性的暴行を受け、それがPTSDになった、死にたくなるほど辛い思いをして、写真も本物であるなら、当サイトの記事は許し難いはず。
どんなに忙しくても取材に答えて反論するか、それが面倒なら法的措置を取って記事を削除させる、損害賠償請求をするなどいくらでも方法はある。
しかし、石田氏の答えは「現在多忙のため今回は遠慮いたします」。語るべき真実があるなら、決してそのような答えはしないと思われる。もし、本当に多忙であっても「写真は合成していません。ネガは弁護士を通じて示せます。松永氏は嘘を言っています。交際期間は私が言った通りです。」程度は言えたはず。なぜ、それすら言えないのか。
当サイトではここまでの取材と検証で、石田氏は裁判や市教委への申立において虚偽の事実を述べており、合成された写真を報道機関に提供して虚偽の事実を報道させていると結論づけ、報じてきた。石田氏が、それは違うというのであれば堂々と反論したらいかがか。
もし、それができるのなら。
(第21回へ続く)
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》》ジャーナリスト松田様
いよいよ連載20回目を超えますね。
多忙な中、綿密な取材に基づいた細やかな分析力
を駆使された記事の内容。毎回驚きながら、そしてワクワクしながら読ませていただいています。
なによりも松田さんの片方を擁護するのではなく、ただただ事件の真相を追い求めるシンプルなスタンスを信頼しております。
今回の場合、チェックメイト寸前に石田氏側からメンタル不調を理由として、うやむやになってしまうことが正直なところ心配です。
兎にも角にも、21回を楽しみにしております。
石田氏の信用失墜に繋がる検証記事が公開されたというのに、取材は遠慮ですか…遠慮を「困る」に置き換えると納得出来ますね。
写真は裁判資料として提出されておらず、札幌市教委に対しても同様です。この写真が不正であったとしても、確定判決及び札幌市教委の処分には影響無しでしょう。となれば、鈴木氏(仮名)が石田氏に対して名誉毀損なりの訴訟をしない限り、この偽造写真を名誉回復の手立てにすることは難しいのですね。
思うに、わいせつ行為を受けたのは石田氏にとっては事実なのでしょう。これは、妄想を現実化してしまう彼女特有の考え方がなせることで、この部分に限っては悪意は無いものと推測します。私が恐ろしいと思うのは、(石田氏にとっての)事実を証明する為なら、偽装工作も肯定してしまう彼女の発想です。加害者が罰を受けるのは当然であって、その為に「何かをすること」は許されるとの誤認があるように感じてなりません。「何かをすること」が正しくないことは理解していると思いますが、加害者を罰することは正義であるから、自分の行為も正義だと考えるのでしょうか。
全く事実に無いことで、免職とされた鈴木氏。退職金も無し。公務員に失業保険はありませんよね?アルバイト収入などお小遣いのようなものでしょうし、免職されたとなれば再就職も厳しいと思います。鈴木氏の行動に甘さがあったとは言え、彼はわいせつ教員ではない。なんとか救い出してあげたいです。
鈴木氏は、札幌市人事委員会に懲戒免職処分の取り消し請求をしておられますが、この偽造写真も判断材料にして頂けないものでしょうか。委員の皆様に、こちらの連載を読んで頂きたい。そして、鈴木氏が冤罪に陥れられたことを理解して頂きたいです。
福田ますみ著「でっちあげ」というノンフィクションがある。
虚言癖・妄想癖のある母親が小学4年生の息子が担任教師に虐められ、連日暴力を振るわれ、怪我をさせられたと学校に訴え、新米校長がそれを真に受け、その教師がいくら否定しても認めず、教師は周りの圧力に負けて、仕方なく苛めを認めて謝罪してしまった。そうすれば丸く収まると周りに言われて認めたのに、収まるどころか、騒ぎは余計大きくなり、マスコミにも取り上げられるようになってしまった。教師は停職6ヶ月の懲戒を受け、自宅には嫌がらせの手紙や電話が殺到し、警察に警護を頼まなければならないほどだった。
更に母親は息子がPTSDに苦しんでいるとして、教師と市の教育委員会を訴える民事訴訟を起こした。児童側には報道を真に受けた550人もの弁護団がつき、教師側の弁護士は2人だけ。しかし、怪我の証拠はなく、病院のカルテからPTSDの様子が全く見られなかったことから、原告の嘘がばれていくという話である。
原告の主張はほとんど退けられたが、一部認められ、市教委に少額の賠償金の支払いが命じられた。教師は現場に復帰でき、数年後には全面的に処分が取り消された。マスコミはその後、学校に理不尽な要求をする保護者を「モンスターペアレント」と名付け、その呆れた行状を告発するようになった。
虚言癖・妄想癖のある人間は一定数いるということを、我々は絶えず念頭に置く必要がある。