復職願う元教員2度目の年越し ワイセツ行為してない
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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生徒に性的な行為をしたとして免職された札幌市の50代の元中学教員が、潔白を訴え復職を求めてまもなく2年になる。28年前から性的な行為をされていたとする女子生徒の讒言(ざんげん)で免職されたとして処分の取り消しを求め札幌市人事委員会に審査請求をしているが、結論が出ないまま2度目の年越しとなる。
■2021年1月に免職 全国ニュースに
元教員が懲戒免職処分を受けたのは2021年1月28日のこと。その理由が28年前、1993年から1994年かけて教え子にわいせつな行為をしたこととされており、4分の1世紀以上も前のことで懲戒免職という過去に例がないような事例であることから、全国的なニュースになったので記憶されている方も多いのではないか(毎日新聞・20年以上前の生徒へのわいせつで教員免職 高裁判決受け、行為認定 札幌市教委 ほか)。
教員は免職の辞令を受けた際に、市教委に上申書を手交した。そこには以下の文言が書かれていた。
この度の処分について、私、●●●(実名)は、不服であることをお伝えします。
私は、この度私にかけられた疑義について一貫して身に覚えがなく潔白であることを主張し、具体的な理由も示してご説明してきました。この主張は今も変わりありません。
にもかかわらず、これらが認められなかったことは納得できません。これは不当な処分です。
今後、私は不服申し立てなど、あらゆる手続きを進めてまいります。
最後に、このような不当な処分のために、一時的とはいえ、自分が天職と思って誇りをもって誠心誠意務めてきた教職から去らねばならなくなったことについて、言葉に尽くせないほど悔しく思っています。(本人提供)
身に覚えのないことで50代で懲戒免職、その悔しさが滲み出るような文言である。そして「一時的とはいえ、」の部分は赤文字でアンダーラインが引かれている。それは懲戒免職は一時的なものであり、必ず復職するという本人の強い意思の表れと言っていい。
しかし、このような上申書がニュースに流れることはなかった。メディアの報じ方はよくある学校での教員の性的スキャンダルで、28年前の行為でも許されず、厳罰を下したという点を強調するものが多かった。そのため、ネットの世界では凄まじい教員バッシングが発生、教員は精神的に追い詰められることになった。
■大晦日も仕事 単発のアルバイトも
免職された日から2年近い月日が流れようとしている。元教員は生活のために、新しい仕事を見つけたが、教員の頃から大幅に収入は減った。復職のために審査請求をしているが、もし、復職が認められなかったら、裁判で処分の取り消しを求めるしかなく、弁護士費用がかかることが予想され、無駄遣いはできない。大晦日の12月31日も仕事があり、新年も1月2日から仕事が入っている。仕事が休みの日には単発のアルバイトに出ており、それらを含めると1月の休みは3日しかないという。
2021年1月28日の免職で生活は一変した。激務、そして教員時代とは比べものにならないほどの収入でも頑張っていけるのは、「もう一度、教壇に立つ」という強い思いが支えている。
「何としても教壇に戻りたいという思いがあります。まだまだやり残したことがあります。生徒に美術の面白さを伝えたいですし、自分の知識や経験を生徒だけでなく後輩の先生にも伝えたいです」と復職への思いを語る。
潔白を主張する元教員に対して、被害者として名乗り出たのが写真家の石田郁子氏(2021年当時43)である。2016年から札幌市に教員の処分を求め、それが認められないと市と教員を相手に損害賠償を求め2019年2月に提訴した。石田氏によると中学3年の時に教員からキスをされたり、体を触られたりするなどの被害に遭い、それは大学生になるまで続いたとする。交際していると感じていたが、その後、それらの行為を「暴力を振るわれている」と認識するようになったと主張していた。
当初、札幌市は石田氏の訴えを認めず教員を処分しなかった。一審・東京地裁も控訴審の東京高裁も除斥期間にかかっていることから訴えは棄却。一審ではわいせつな行為も認定されなかったが、二審は訴えは退けながらもわいせつな行為はあると認定した。教員側は形の上では請求棄却で勝訴しているため、わいせつな行為を認定した判決に対して上告もできず、一方、石田氏は請求が棄却されて敗訴しながら上告せずに判決を確定させた。
残ったのは、何の審理も行わずにワイセツ行為はあったと断じた高裁判決である。この結果に共同被告であった市教委はそれまでの態度を一変。2021年1月5日の判決確定から23日後の28日に免職処分を言い渡したのである。
■処分取消を求め審査請求
元教員は2021年3月1日に札幌市人事委員会に免職処分の取り消しを求め、審査請求を行った。既に1年10か月を経過したが、まだ結論は出ていない。先の見えない、いつまで続くか分からない日々を頑張っていける原動力は一体何なのか。そう聞くと、元教員は間髪を入れずにこう答えた。
「何としても職場に戻りたいという気持ち、何も悪いことをしていない自分が免職されるなんて理不尽ではないかという憤りでしょうか。もちろん、私と家族の名誉を守るということもありますし、信じて応援してくれる人たちのためにも頑張るという気持ち、そういったものがあるから、頑張れます。」
全国でわいせつな行為等で教員が免職になる例は決して少なくはないが、その多くは実際に行為に及んでおり、処分の取り消しを求める例はレアと言われる。処分が重すぎて適切ではない、という類の訴えはあっても、被害を訴える生徒と全く言い分が異なる例はほとんどないと言っていい。
その上、審査の過程で、石田氏が免職すべきとして出してきた証拠はそのほとんどが客観的事実と一致しないものであることが分かり、当サイトがこの問題を扱った連載(免職教師の叫び)では教員と石田氏が写っている写真は合成されたものであることも明らかになった(参照・連載(19)影なき闇の不在証明)。
また、石田氏の要求で実施された「平成28年当時の札幌市教育委員会における対応についての検証報告書」という第三者が当時の市教委の対応について検証した報告書では、市教委の事実認定の問題点について「市教委の担当職員は、過去に懲戒処分に関する手続きを担う職務に就いたことがなく、事実認定の理論や手法を学ぶ機会もなかった。処分対象者が否認した場合の事実認定の手法も学べず、参考となる前例も極めて乏しかった。」「石田氏の供述に虚偽が含まれること等を想定しておらず、その供述の信用性を検討する意識自体が希薄であった。」と、当時の対応が批判された(参照・連載(34)札幌市教委の魔女裁判)。
■現在進行形の被害
こうした杜撰な方法で免職された元教員の苦しい生活は2年を迎えようとしている。当サイトは札幌市教委に果たして免職は正しかったのか、人事委員会の決定を待たずに処分を取り消す考えがあるかを聞くために取材を申し込んだが「(取材に)対応する気はない。」との返答。また、石田氏は当サイトの2度の取材の申し出に対して、多忙などを理由に1度も応じていない。
もし、元教員の言うことが正しければ処分が違法であるのは言うまでもない。そして、違法な処分によって名誉が傷つけられ、経済的にも追い詰められるという、現在進行形で被害が継続しているのである。
元教員は新しい年、2023年を前にして気持ちを新たにする。「処分の取消し、新たな職場で再スタートとなれればと思っています。ただ、まだ何も決まっていません。もし、処分が取り消されなかったら裁判で取消しを求めて戦いますから、この生活がまだまだ続くことになります。勝っても負けても忙しい1年になると思います」と口にする。
来年には結論が出るであろう審査請求で復職がかなうことを心待ちにしている。
※当サイトでは、この問題を「免職教師の叫び」として連載中です。2023年も引き続き、この問題を追っていきます。
クラウドファンディング等で、鈴木(仮名)先生を支援できないですかね…。
リターンは、例えば裁判後に本人から所感を記載したメールを頂戴できる、とか。
そのお金を復職までの生活支援に使われても構わないと思います。
ただ、これまでの連載記事を読んでいて、鈴木先生はそのようなことを望まれないだろうな、とも思います。
こうして記事を読んでいただき、コメントまでしていただけることが、鈴木先生(仮名)への何よりの支援になっていると思います。
人事委員会がどういう判断をするか分かりませんが、僕は日本の行政組織はそこまで腐っていないと思っているので、納得できる結論を出す可能性は十分にあると考えています。
鈴木先生を応援する一教師様へ
ご本人から、以下のようなメッセージが届いています。SNS等は過去に誹謗中傷を受けたことから、控えており、第三者を通じてお返事したいとのことです。以下、いただいたメッセージです。
ーーーーーー<鈴木浩氏(仮名)からのメッセージ>ーーーーーーー
「鈴木先生を応援する一教師さま、記事のコメント読ませていただきました。このように思ってくださる方がいらっしゃるという事実がとても嬉しく、心の支えになります。ありがとうございます。ただ、コメント主(松田氏)も書いておられるように、クラウドファンディング等、金銭等の援助はお断りさせていただきます。自分の力で問題を解決していく姿を示したいと思っています。お申し出、心より感謝いたします。人事委員会の結論は分かりませんが、応援してくださる方にいい報告ができればと思っています。」
ーーーーーー<メッセージは以上>ーーーーーーー