LGBT団体「男が女湯に入るはデマ」こそデマ

The following two tabs change content below.
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 LGBT団体の連合会が16日、都内で会見し、SNS上でトランスジェンダー女性を排斥する発言が広がっているなどと訴えた。デマや中傷が当事者の生活を脅かし、差別を禁止する法制度の必要性を主張したと、同日の朝日新聞DIGITALが報じている。しかし、デマとされる内容が決してデマではなく、その根拠の説明が全く根拠となっていないという、論理的に破綻した記事。主張する側も報じる側も、お粗末な政治的プロパガンダと言えるものになっている。

■男が女湯に、はデマなのか?

女性の皆さん、男が入ってきていいんですか?

 問題の記事は全国の性的マイノリティの当事者団体でつくられたLGBT法連合会(代表理事・原ミナ汰氏ら3名)が会見したもので、LGBT理解増進法案が問題になっている今、デマや中傷がSNSを中心に広がっており、当事者の生活を脅かしているとする。そのために差別禁止法が必要であると訴えた。

 LGBT理解増進法案が成立すれば、生物学的には男性でも性自認が女性なら女湯に入れるようになり、これを拒むと差別になるらしいなどという言説が広がって、当事者が苦しんでいるとする(記事の書き方からして、それがデマと主張したと読める)。

 その上で立石結夏弁護士の話を挿入。「公衆浴場は(厚生労働省による)管理要領で『男女を区別し』と定められている。この場合の『男女』は身体の特徴に基づく性別。全裸の時の外見から判断される性別と自認する性別が一見して異なる場合、施設管理者との調整が必要となる。男性的な身体に見える人が『心が女性』と言って女湯に入れるというのは誤り」と解説。現状で「公衆浴場やトイレについてもめ事になるケースは非常に少ない」と強調した。

 最後に性別適合手術を受けていないトランス女性の時枝穂さんの話として、自分は女性風呂に入るのをあきらめており、入れてくれとも言ってないなどとする話を紹介している(朝日新聞DIGITAL・「『心が女』なら女湯入れる」は誤り トランスジェンダー当事者訴え、2023年3月17日閲覧)

■主張と理由説明が全く繋がらない

 LGBT法連合会が何を主張するのも自由であるが、政治的野心のために真実を伝えないのであれば、それは道義上許されるものではない。当然、メディアは真実の報道と政治的プロパガンダは明確に分けて報じる必要がある。マスメディアの存在価値、政党機関紙と決定的に異なるのは、その点である。

 記事をよく読んでいただきたいのだが、同連合会がデマだとする内容について、立石弁護士の話は全く繋がっていないことにお気付きであろうか。

デマとされる内容:LGBT理解増進法案が成立すれば、性自認女性の男性が女湯に入れるようになる。

(1)厚労省の管理要領では「男女を区別」とされている。

(2)この場合の「男女」はジェンダーではなく、セックスとしての「男女」。

(3)心と体の性が一致しない人の場合は施設管理者と調整が必要。

(4)男に見える人が性自認女性で女湯に入れるというのは誤り。

 このような流れとなっている。まず、デマとされる内容は、あくまでもLGBT理解増進法案が成立すれば、ということが前提となっている。ところが、立石弁護士は現在の法令、要領について論じており、(4)で「現状では性自認女性の男性が女湯に入れない」と結論づけている。SNS上で広がっている不安は、現状では認められていない「性自認女性の男性が女湯に入る」が、LGBT理解増進法案が成立することで骨抜きにされる、つまり男が女湯に入ってくる、というものである。

 立石弁護士はあくまでも現状を説明したに過ぎない。それなのに、将来状況が変わった時に発生するかもしれないことを否定するかのように文章の中で使われているのはどういうことか。書いた記者が何らかの政治的意図を持って書いているか、そうでなければ理解力が著しく欠如しているか、どちらかであろう。

■デマではなく現実に起こり得る恐怖

 実はこの記事を読むと、LGBT法連合会がデマとする「LGBT理解増進法が成立すると、男が女湯に入ってくる」がデマではなく現実に起こり得ることが逆に分かるものになっている。

 立石弁護士の話にあるように、公衆浴場に関する管理要領(公衆浴場における衛生等管理要領)は、法律や条例の類ではない。行政内部の処理基準、指針のようなものである。つまり、この解釈の変更や文言の変更は厚労省内部でできる。

 現行の公衆浴場に関する管理要領での男女は、生物学的性(セックス)で考えられており、そうであれば、性自認(ジェンダー)が女性であるからといって女湯に入れないのは言うまでもない。その点は立石弁護士の言うとおり。

 ところが、LGBT理解増進法が成立すれば、行政は性的な差別をなくすための努力が求められる。そうなると、当然、公衆浴場に関する管理要領においての男女についても、セックスで分けることが差別的である、ジェンダーで分けるのが公平という声が起きれば、「男女」についての考え方を柔軟性をもたせることになるであろう。そのような管理要領の下、実際の公衆浴場に対して、男女の考え方について指導することになり、公衆浴場ではセックスで分けるが、ジェンダーで分けることも行われ得る。

 外見が女性に見えれば、セックスが男性であっても女湯に入ることは当然に行われるであろう。同時に、手術するための資金がないなどから、ペニスがついている性自認女性が女湯に入れろ、それを認めないのは差別と訴えることは考え得る。訴えの柱の1つとなるのは憲法14条1項の平等原則。同じ性自認女性なのに、手術をしてペニスがない者は女湯に入れて、手術する資金のない者は女湯に入れないのは法の下の平等に反すると主張すれば、それはそれで一定程度の合理性を有するように思える。

 誰を女湯に入れて、誰を排除するか、極めて難しい問題を厚労省は公衆浴場の経営者に一任するわけである。立石弁護士は「心と体の性が一致しない人の場合は施設管理者と調整が必要。」と言っているが、今は単純にセックスで分けているものを、LGBT理解増進法成立後はジェンダーで分けて、さらに認めるジェンダー、認めないジェンダーがいて、それを現場でいちいち判断し、相手が納得しなければ訴えられる。それが面倒なので「性自認女性を全部女湯に入れてしまえ」と考える者が出てくるのは容易に想像がつく。

 文章の最後に性別適合手術を受けていないトランス女性(ただの男性ではないのか?)の時枝穂さんの言葉が、主張の欺瞞性を如実に示している。「私は女性風呂に入ることはあきらめているし、入れてほしいという主張もしていない。」というものである。

 あきらめているということは、施設管理者が「入っていいよ」と言えば入るのであろう。「入れてほしいと主張もしていない」というが、今後は主張するかもしれないし、他の同じジェンダーの人は主張してくる可能性を否定していない。

 「語るに落ちる」とは、まさにこのことであろう。

■デマと言える理由を説明して

女は女湯、男は男湯の簡単な原則で何がいけないのか

 LGBT法連合会と朝日新聞に問いたい。上記の説明を聞いた上でも、なお、「LGBT理解増進法案が成立すれば、性自認女性の男性が女湯に入れるようになる。」がデマと言える理由は何か。どうか論理的に説明していただきたい。立石弁護士は現状では「男に見える人が性自認女性で女湯に入れるというのは誤り。」と言っているに過ぎないのに、どうして、それを状況が大きく変わる将来についても、デマと言い得るのか。

 当サイトを含め、LGBT理解増進法案に反対する勢力のほとんどが性的マイノリティに対する差別をなくしたいと考えている。しかし、それは性的マイノリティの権利や自由を100%認め、それによって性的自由を侵害される多くの女性たちの被害を黙認することと決してイコールではない。

 この問題は憲法で言えば、個人の権利・自由と公共の福祉の衝突場面である。個人の権利・自由も他者の権利や自由との関わりの中で認められるものである。表現の自由も100%、何を言うのも自由というわけではない。最近の例で言えばガーシー容疑者の他者の名誉を傷つけたり、脅迫したりする言辞は、表現の自由の保障の外にあるのは言うまでもない。

 そうした微妙な棲み分けをすべきところを、「差別だ」「性的自由だ」の一言で自分たちの都合の良い社会に変えようとする姿勢に多くの人が不信感を抱くことに、なぜLGBT法連合会は気付けないのか。

 メディアも同様。そこを丁寧に説明して国民に正しい判断材料を与えるのがメディアの役割ではないのか。それを一方の言い分を、破綻しているにもかかわらず正当な主張であるかのように記事にまとめるのであれば、もはや公平公正なメディアとは呼べない。

 このようなお粗末な記事が掲載されることが、LGBT理解増進法案が危険な法案であることを示していると言っても過言ではない。

"LGBT団体「男が女湯に入るはデマ」こそデマ"に6件のコメントがあります

  1. 野崎 より:

    フェミミスト達がデマではないとその危険性を指摘している。

    ファシスト共の内ゲバである、LGBにTを加えたことは間違いであったとの主張が奴バラからあった。(今ソースは明確にできない) いや怪我の功名、Tを差別するな!のプロパガンダでLGBをも差別するなと包括できるとの主張もあった。

    いずれにせよファシストの内部、フェミニストから上記の主張がある。これは米国のフェミニストからより強く主張されている、それは何故か?に私見があるが割愛する。

    米国の左派リベラルの活動、LGBT問題に関し詳しい在米の女性、HN苺畑カカシ女史のサイト、苺畑より、から一部引用。

    https://biglizards.net/strawberryblog/wp/2023/03/04/ 
    ●LGBT理解増進法や差別禁止法が通ったからと言って、自称だけ女の男が女子施設に入ってくるなんてことにはならない、という活動家の嘘を暴こう
    Author:苺畑カカシ Posted on:March 4, 2023 Post categories:トランスジェンダーリズム
    ~~~|~
    拙ブログをご愛読の読者諸氏はよくご存じだが、トランスジェンダー許容の法律がアメリカ各地の州で通りはじめたのは2015年くらいからである。法律が通った当時から女子トイレや更衣室で性犯罪が起きはしたが、女性達が女子施設に男がいると言って声を上げ始めたのはつい最近のことだ。

    2015年当初に起きた問題は単に女子施設に男性が入り込んだというだけでなく、実際に女子施設で女児が襲われたり隠し撮りをされたりといったあからさまな犯罪行為が起きたことで、これがトランス許容が原因だと考える人は少なかった。

    しかし2021年のWiSpa事件を皮切りに、あちこちの女子更衣室やお手洗いなどでどう見ても男性に見える人たちが男性の裸体をさらけ出しているという苦情があちこちで聞かれるようになった。そして女性達の訴えも空しく、法律なので施設側はどうすることもできないとし、訴えた女性達がかえって警察に通報されるなどという理不尽なことが起き始めたのである。

    拙ブログでもトランス許容法が通った当時、全く問題は生じていないというバズフィードの記事を紹介したことがある。法律の悪影響は通ってすぐにわかるとは限らないので、日本各地の自治体で法律があるのに問題はおきてないじゃないかというのは全く意味がないのだ。

    それに、アメリカでの例でもわかる通り、一人の被害者が表立って苦情を述べると、他にも「実は私もそういう目にあった」と言い出す人が出てくる。WiSpaの事件も表ざたになったのは一件だけだが、施設側の対応が慣れていたことから考えて、同じような問題は以前にも何回か起きていたと想像できる。

    つまり、こうした法律の悪影響が多く問題視されるようになるまでには、多くの被害者が我慢して泣き寝入りしている可能性は非常に大きいのだ。だから今問題が表ざたになっていないから問題がおきていないなどとは断言できないのである。

    引用此処まで。

    上記は日本でも起こる。
    松田氏の慧眼よ!

    >そうした微妙な棲み分けをすべきところを、「差別だ」「性的自由だ」の一言で自分たちの都合の良い社会に変えようとする姿勢に~~

    LGBT問題は単にLGBTの問題ではない、ファシスト共が目指す社会を作るための攻撃ポイントなのだ。リテラシーの高い同性愛者は自分たちが利用されていることに気がついている。

    かつて竹中労なるジャーナリストがいた、左系の人物だった。彼の造語にデモクラティックファシズムというのがあった。
    一見民主主義が機能しているようであって、その実態はファシズムだという意味合いだ。

    奴バラファシストが支配するデモクラティックファシズムが具現化されようとしている。

    ご返信は不要です。

  2. pomme より:

    記事内にもありますが、女性にとって性別適合手術を受けていないトランス女性はただの男性です。適合手術を受けたから女性になれるわけではない。生殖機能が無くなった男性です。男女の性差の一番の違いは出産出来るか否かでしょう。性別適合手術を受けても子宮が出来るわけではない。これは子供が産めない人は女性ではないという意味ではありません。病気等で出産出来ない女性もいます。性別適合手術に限っての私見です。
    男子トイレにも個室はあります。そこを利用したらいいし入浴は家風呂でどうぞ。T女性がどうしても女子トイレや女湯を利用しなければならない環境ではないはずです。女性達に不安や恐怖を与え、社会を混乱させてまで女性スペースを使いたがる彼ら(あえて、彼らと言います)の考えは全く理解出来ません。
    法案に反対しているT女性もいますが、賛成派から酷い攻撃を受けているようです。
    私はこの法案が通ったら日本は終わりだと思っています。女性の1人としてこんな怖ろしい国に子孫を残したいとは思いません。

    1. AuO2 より:

      逆もまたしかりですよね。
      性別適合手術を受けていないトランス男性はただの女性ですし。

    2. 匿名 より:

      とてもわかります。
      本当に心が女性なら、男性器のついた人が女湯に入ってくることが恐怖。と感じるはずです。
      金銭問題などで手術ができないにしても、同じ心を持つ女性が自分の身体を見て怖がらせてしまう。と思うはずです。
      それを堂々とぶら下げて入ってくるならば性暴力にも近いです。もはや心も女性ではないです。
      やはり心がどうあれ、身体的特徴での棲み分けは必要です。
      ジェンダーの方々も自分の我を主張する前に、それをすることで本当に恐ろしい思いをする側の気持ちにも寄り添ってほしいです。
      ジェンダーばかりがはかられるのはおかしいです。

  3. 野崎 より:

    松田さん、こんばんは

    苺畑カカシしさんに、令和電子瓦版へ一部引用させて頂いたことを報告したところ、
    Replyを頂きました。

    野崎晃一2 days ago
    前略

    ジャーナリスト松田隆氏のサイト 令和電子瓦版
    2023年3月17日
    LGBT団体「男が女湯に入るはデマ」こそデマ

    上記の記事に一部引用させて頂きました。

    失礼いたしました。


    苺畑カカシ2 days ago
    こちらですね。

    まさしくその通り。今の状況は聞いてない。法律が通ったらどうなるんだという話をしている。また浴場をどういうふうに区別するかを経営者に一任することは、活動家からの圧力がかかって非常に危険。まったくの正論。

    https://reiwa-kawaraban.com/society/20230317/
    デマとされる内容:LGBT理解増進法案が成立すれば、性自認女性の男性が女湯に入れるようになる。

    (1)厚労省の管理要領では「男女を区別」とされている。

    (2)この場合の「男女」はジェンダーではなく、セックスとしての「男女」。

    (3)心と体の性が一致しない人の場合は施設管理者と調整が必要。

    (4)男に見える人が性自認女性で女湯に入れるというのは誤り。

     このような流れとなっている。まず、デマとされる内容は、あくまでもLGBT理解増進法案が成立すれば、ということが前提となっている。ところが、立石弁護士は現在の法令、要領について論じており、(4)で「現状では性自認女性の男性が女湯に入れない」と結論づけている。SNS上で広がっている不安は、現状では認められていない「性自認女性の男性が女湯に入る」が、LGBT理解増進法案が成立することで骨抜きにされる、つまり男が女湯に入ってくる、というものである。

     立石弁護士はあくまでも現状を説明したに過ぎない。それなのに、将来状況が変わった時に発生するかもしれないことを否定するかのように文章の中で使われているのはどういうことか。書いた記者が何らかの政治的意図を持って書いているか、そうでなければ理解力が著しく欠如しているか、どちらかであろう。


    ご返信は不要です。

  4. ポニョ より:

    「同性愛マフィア」の存在が危惧される。

野崎 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です