ヘルプマークを顔に突きつけ ”席譲れ” の無礼
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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混雑する電車の中で、若めの男性が座席に座る乗客1人1人の顔にヘルプマークを突きつけて席を譲るように求める場面があった。譲られた席に座ったその男性は、譲った女性にお礼も言わなかったようで、貧乏ゆすりをしながらスマートフォンで動画を楽しんでいた様子。男性のヘルプマークの使用方法に問題はなかったのか、助けを必要とする人々を助けるための制度が正しく機能していないのではないか等、疑問が残る。
◾️乗客にヘルプマークを突きつけて…
JR中央・総武緩行線(いわゆる「黄色い電車」)の始発駅である三鷹駅では、午前7時台は都心まで座っていこうという乗客がホームに列をつくって電車を待っている。ピーク時には次の次の電車の列に並ばないと座れないため、長い場合で10分ほど並ばないと座れない。
9月30日、筆者はいつものように列に並び、午前7時30分過ぎの電車に乗り込み、ドア付近の座席を確保した。発車前の電車には立っている乗客も多かった。間もなく発車という時刻になって、車内に大きな声が響いた。
「失礼しますっ!」
声の主は30歳前後の小柄で少し太めの男性。バッグにつけたヘルプマークを1人の乗客の目の前に突きつけ、席を譲るように要求していた。目の前に突き出されたヘルプマークに困惑した様子であったが、席を譲ろうとしない。そこで男性は横にずれて再び、「失礼しますっ!」と言って隣の乗客にヘルプマークを突き出した。その乗客も席を譲らない。
こうして「失礼しますっ!」という元気のいい声が何度も響き、男性は車内を回遊する。やがて男性は筆者の前に立ち、同じように席を譲ることを求めた。そこで筆者は両手で「あちらへ」と優先席の方を示した。すると男性はスタスタと歩いて優先席の方へ行き、同じように「失礼しますっ!」と声をかけた。ところが優先席でも譲ってくれる乗客がおらず、一般の席に戻ってきた。
最後にようやく中年の女性が立ち上がって席を譲り、その男性は座席を確保した。その際に男性が頭を下げたり、お礼を言ったりといった謝意を示す言動は確認できなかった(小声で「ありがとうございます」と言った可能性まで否定するものではない)。
電車が動き出すと男性は右足で貧乏ゆすりをしながら、取り出したスマートフォンで動画を見ていたようである。その間、席を譲った中年の女性は当然、混雑する車内でずっと立っていた。
◾️席を譲ってもらえなかった4つの理由
ヘルプマークは「義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、または妊娠初期の方など、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなるよう、作成したマーク」であり、「電車・バスの中で、席をお譲りください。…外見では健康に見えても、疲れやすかったり、つり革につかまり続けるなどの同じ姿勢を保つことが困難な方がいます。 また、外見からは分からないため、優先席に座っていると不審な目で見られ、ストレスを受けることがあります。」(東京都福祉局・ヘルプマーク)と説明されている。
件の男性もヘルプマークを取得しているということは、それが不正な手段で得たものでなければ、外見からは分からないハンデを背負っていたということであろう。それでも筆者を含む多くの乗客、特に優先席に座る乗客からも席を譲ってもらえなかったのは以下のような理由があると考えられる。
(1)大きな声を出して車内をスタスタと歩き回り、障害を抱えているように見えなかったこと
(2)スムーズに歩く、元気のよい声などから、ホームに最長でも10分間並んで席を確保することは可能であるように見えたこと
(3)最初に優先席で声をかけずに一般の席に声をかけたこと
(4)乗客に対して威圧的とも感じられる大きな声を出し、顔の前にヘルプマークを突きつけるという礼を失した行為に反感を買ったこと
(3)について説明すると、この路線に限らないと思うが、列に並んで座席に座る人たちは優先席を避ける傾向がある。なぜなら、席を必要としている方が乗ってきた時には座席を譲らなければならず、目的地まで座っていける保障がないからである。
つまり、優先席に座るというのは、そういう可能性を考慮して仮に座っている状態と考えられる。そうした事情を考えれば、その男性はまず、優先席で席を譲ってもらうようにお願いすべきであった。そうした配慮も全くなく、車内で大きな声を出して周囲の注目を自分と目の前の乗客に集めること自体が、乗客にとってはいい迷惑である。その上、「ほらっ!」とばかりにヘルプマークを顔の前に突きつける失礼な行為で、席を譲ってもいいかなと思っていた人も、(この人には絶対に譲らない)と考えたとしても仕方がない。
男性が席を譲られた後の「貧乏ゆすりで動画視聴」の態度が、そうした乗客の思いを倍加させたことは容易に想像がつく。
◾️より良い社会の実現のために
筆者は長年この電車を利用しているが、実際に高齢の方が乗車してくると優先席に座る人はラッシュ時でも席を譲るシーンを何度も見かけた。もちろん筆者も席を譲った経験はある。この日、件の男性に多くの人が席を譲らなかったのは、この路線を利用する人たちの社会福祉に対する理解が低いことが理由ではないと言い得る。
席を譲るという行為は簡単そうに思えるが、思いのほか難しい。たとえば、筆者は目の前にお腹の大きなワンピースの女性が立つと、席を譲るべきかどうか悩む。席を譲って感謝されたことはあるが、女性が妊娠していなかった場合もあったようで、「えっ?」という顔をされて「大丈夫です」と言われたこともある。「失礼しました」と小声で謝ったが、後からその女性は(お腹が出てるってこと? 失礼な)と苛立ちを覚えていたかもしれないと思うと、申し訳ないことをしたと思う。
筆者だけでなく、助けを必要とする人たち、たとえば車椅子を使っている方などのために役に立ちたいと思っている人は、この路線に限らず少なくないと思う。
しかし、この日の男性のようにその言動から本当に座席が必要なのかという疑問がいくつも生じ、さらに相手に厚意を強要するかのような手段を使えば、乗客の反感を買うだけであろう。
そのことで本当に助けを必要とするヘルプマークの利用者が、この男性のように疑惑の目で見られるようになることが憂慮される。
ヘルプマークは法的な拘束力を有するものではない。それは誰もが分かっているはず。東京都福祉局も、「困っている人を助けてあげてください」と呼びかけているわけであり、助けるか助けないかは最終的には当該人の判断に委ねられる。多くの人が困っている人を助ける意識を持てば、より良い社会になるのであろう。
そして、より良い社会の実現のための努力は、ヘルプマーク非保持者から保持者への片務的なものであってはならない。保持者からも非保持者が多少なりとも負荷を背負って席を譲っていることを理解し、感謝する気持ちを言動で示したらいかがか。
こうした相互の思いやる気持ちが生まれることで、ヘルプマークが適切に機能する社会が誕生すると思う。
三鷹駅の件の男性が、この文章を読んでいてくれたら幸いである。









この様な場合に提示する為に” helpless “マークを自作しよう、と思った。
こんな経験をしました。
私はうつ病から障碍者手帳持ちとなりましたが、今ではほぼ普通に働き、日々生きています。
ヘルプマーク持ち歩くほどでもないです。自分が障碍者だと言いふらす趣味はなく、なんか乗り気にもならないので。
なので、自分が座席の空いていない電車で座っている前に、ヘルプマークやマタニティマーク付けた方、お年寄りがこられたら、座席は譲ります。
ですが、一年ほど前、東急目黒線に乗っていた時のことです。
その時はさほど混んでなく、ポツポツと座席も空いており、隅の席に座り文庫本を広げました。
そうしたら、次の駅で年配の方が、ドカッと隣に。見るとヘルプマークを付けておいでです。
文庫に再び目を落とした次の瞬間でした。
「もしもし、もしもし。あなた、あなたですよ」
と、結構大きい強気の声でその方が突如私に。何かしたかな?
すると、その方は私に。
「あなた、〇〇駅(3駅先)で立ちなさいっ」
??
「……あの、なぜですか(小声で)?」
「私はヘルプマーク持っているんですよっ!!」
叫ばれました。
みなこっちを見る!
申し訳ないですが、カチッときましたので、
「(小声で)私は手帳持ちで、体調がすぐれないのですが」
年配の方、ギョッとなる。
「なら、手帳見せなさい。ヘルプマーク分けてあげますから」
「(小声で)お見せする理由がありません。あとマークはいりません。結構です」
その方、真っ赤な顔して立った!
幸いそのタイミングで、電車、〇〇駅についてくれました。
「あ、〇〇駅ですよ」
憤然と、降りて行かれました。
なぜ私にその駅で「立て」と言われたのか、理由は謎のままです。
こういう方も、ヘルプマークの方にはおられましたです。
貴重なお話をありがとうございます。ヘルプマークを持った段階で、他者に気遣ってもらえる権利、座っている人をどかして自分が座れる権利を手にしたと勘違いをする人が多いのでしょう。それを持たない人にとってはいい迷惑ですし、本当に助けが必要な人が助けてもらえなくなるなど、悪い影響を与えると思います。制度自体が間違っているのかもしれません。
いつも拝見させていただいています
ヘルプマークは都営地下鉄の駅の改札で駅員さんに欲しいと言えば貰えます
身分証明書や名前など一切必要ないのです
先日電車に乗っていたら4名の女子高生が乗ってきました
いきなり優先席に座り鞄からヘルプマークを取り出しつけました(笑)
その後混んできてお年寄りが来てもおしゃべりに夢中
迷惑系ヘルプマーカーが増えてるのは確かですね
身体障害者手帳所持、ヘルプマーク所持の当事者です。
この男性のふるまいは本当に残念ですね。
1.当方は、短時間なら普通に歩けますが、じっと立っていると苦しくなるので、優先席を利用させていただくことが多いです。その際ふだんはしまっているヘルプマークを見えるように出しています。しかし、夕方など混雑時はヘルプマークを出していても、優先席は満杯で、寝ている人(明らかな寝たふりの人も)がほとんどですね。萎えます。
2.自治体のヘルプマークの取り扱いがアバウト過ぎて、都営地下鉄駅で簡単に取得できたり、メルカリで売られていたり。ヘルプマークそのものの材質がバッグ等に付けづらかったり。(マタニティマークのようなのがいいと思う)
当事者として、馬鹿にされているような気さえします。
言いたいことはこの何十倍もあります。
記事にしていただきありがとうございます。
貴重なお話をありがとうございます。三鷹から乗り込んだ男、実際はどうか分かりませんが、本当に助けが必要ではないのであれば、周囲にかけた迷惑は大変なものですし、それ以上に本当にヘルプマークを必要としている方にも多大な迷惑をかけていると思います。ヘルプマークの運用について、行政がもっとしっかりと管理していくべきではないかと思います。システムそのものに欠陥があるのではないでしょうか。