武豊騎手にまた有力馬 サトノインプレッサ

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 武豊騎手が3月28日、阪神競馬場で行われたG3毎日杯(芝1800m)をサトノインプレッサ(牡3、栗東・矢作芳人厩舎)で制した。弥生賞・若葉S・毎日杯をそれぞれ別の馬で制し、一体、どの馬で本番に行くのか分からない状況となった。

■出遅れてインで我慢、直線で前が詰まる

武豊騎手が2020年クラシックの絡まった糸を解きほぐす

 この日のサトノインプレッサの競馬を簡単に表現すると「出遅れてインで我慢し、直線で前が開かなかったが狭いスペースを突いて抜け出して最後は手綱を緩めた」というもの。一言で言えば「相当強い」と思わせる内容であった。

 2着のアルジャンナがG3東スポ杯でコントレイルの2着だから、その比較からしても皐月賞の有力候補のコントレイルとそれほど差がない計算となる。

弥生賞・サトノフラッグ→皐月賞(C・ルメール騎手)

若葉S・アドマイヤビルゴ→皐月賞回避→京都新聞杯(武豊騎手)

毎日杯・サトノインプレッサ→?

 サトノフラッグはもうルメール騎手でダービーまで行くと思われる。アドマイヤビルゴは京都新聞杯経由で武豊騎手でG1東京優駿(日本ダービー)に行くことが濃厚と思われるが、確定ではない。本賞金1600万円では出走できるかどうか分からず、京都新聞杯で足元をすくわれる可能性もないわけではない。

■母は英マイルG1を3連覇の名牝

 サトノインプレッサは母サプレザが英G1サンチャリオットS(芝8ハロン)を3連覇しているため、血統を考えればNHKマイルCがいいのかもしれない。また、サトノフラッグとの使い分け、皐月賞までの間隔(中2週)、追い込みが効く長い直線というコース形態も考えれば、次走は5月10日のG1NHKマイルCではないか。

 仮にそうだとしても、その次は中2週で東京優駿の可能性はある。今日の競馬を見れば距離延長でもバッタリと止まるとは思えない。サトノフラッグの皐月賞の結果も検討材料に含まれるのではないか。

 武豊騎手はどうするのか。東京優駿はアドマイヤビルゴの京都新聞杯、サトノインプレッサのNHKマイルC、そしてマイラプソディの皐月賞の結果を見て選ぶことになると思う。

 アドマイヤビルゴが京都新聞杯、サトノインプレッサがNHKマイルCをそれぞれ楽勝したら、腹を括って勝てる可能性が高い方を選ぶしかない。

■乗れる騎手の辛さ ドバイ開催中止で巡ってきた縁

 武豊騎手は弥生賞を勝った後、「久々に嬉しい悩み」と語ったそうである。乗れる騎手だからこその悩みであろう。そして、今年はドバイワールドカップが中止になったから、急遽、サトノインプレッサに騎乗が決まったという不思議な縁。

 オーナーサイドからすれば「弥生賞を勝ってくれてありがとう、本番乗せられなくてごめんね」という意味も込めた騎乗依頼だったのかもしれないが、これも競馬である。この日の勝利で、決して弱くはない人馬の絆が出来たと言っていい。いずれ武豊騎手が自分で乗る馬を決めなければならない時が来ると思う。

 1990年代半ば、僕は雑誌Numberで横山典弘騎手のインタビュー記事を担当した。その時、横山典弘騎手は大レースで2頭のうち1頭を選ばなければいけない時の苦悩を語っていた。

 「勝った方を選べば『あの乗り役はしっかりしてんな』って、義理も人情もないみたいに言われ、負けた方を選べば『あの乗り役は見る目がねえな』と言われる。どっちを選んでも乗り役ってのは悪く言われるんだ」。

 どうせ悪く言われるなら、勝つ方を選んだ方がいい。今年のクラシックの、こんがらがった糸を解きほぐすのは武豊騎手であるのは間違いない。

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