武豊騎手の言葉が重い 一角崩しサトノフラッグ

The following two tabs change content below.
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 5月31日は第87回G1東京優駿(日本ダービー、芝2400m)が行われる。今年は人気の2頭の順当な結果になりそうだが、あえて割って入る馬を探せば武豊騎手のサトノフラッグではないだろうか。

■誰が見ても「皐月賞組が強い」

東京優駿の舞台・東京競馬場

 G1皐月賞は1着コントレイル、2着サリオスで2頭の差は半馬身だった。3着のガロアクリークはサリオスから3馬身半差と離されていた。その後、G2青葉賞を勝ったオーソリティはG2ディープインパクト記念の3着馬で、その時の勝ち馬サトノフラッグが皐月賞5着と敗れている。G2京都新聞杯を制したディープボンドは皐月賞10着、プリンシパルSを勝ったビターエンダーは皐月賞14着だったから、誰の目にも「皐月賞組が強い」というのは明らか。

 普通に考えれば、コントレイルとサリオスの2頭のマッチレースであろう。しかも両馬とも年明け初戦だったことを思えば状態はアップしてくると思われる。

 ただ、競馬は何が起きるか分からない。コントレイルが大出遅れするかもしれないし、サリオスが直線で前が詰まって出られないかもしれない。多少の不利なら底力で克服してしまうかもしれないが、波乱の可能性はないわけではない。

 その可能性がある馬は、武豊騎手のサトノフラッグだと思っている。

■武豊騎手も認める皐月賞上位馬の強さ

 武豊騎手は非常にクレバーで、コメントもよく考えられているのは皆さん、ご存知の通り。騎手のコメントは自ずと制約はあるが、規定に反しないレベルで何とか真意を伝えようという努力を常に感じさせられる。

 武豊騎手のHP(Take a Chance!)にはダービーに関するコメントも掲載されている(5月28日公開)。これを見てみよう。

 「皐月賞の上位馬が強い、という下馬評に異論はありません…。」

 この部分は上記に示した皐月賞以外の前哨戦の結果から、皐月賞組の強さが分かるということについて、武豊騎手自身も異存はないことを示していると言っていい。「上位馬」に3着のガロアクリークを入れるかどうかは微妙だが、2着との差、人気薄(8番人気)で一か八かの直線勝負に近いレース内容からすれば、武豊騎手のいう上位馬は2着までを指していると考えるのが通常の思考法であろう。

■真意は(まともにいったら勝ち目はありません)?

 さらにコメントを見てみよう。

 「サトノフラッグは、少し緩い馬場でもこなせそうな体幹の強さが武器ですが、有利な材料になるほどの馬場の変化はないと読んでいます。」

 これは極端な道悪で皐月賞とは全く異なる状況になることはないと思っていて、そうであれば、現時点ではサトノフラッグと上位2頭との差は歴然としていると言っているのであろう。

 ここで考えていただきたいのは、皐月賞でサトノフラッグは3角から上昇して4角ではコントレイルと並ぶ位置にいたという内容であったこと。正攻法で勝ちに行って、コントレイルに6馬身半差をつけられる完敗を喫しているのである。

 ディープインパクト記念はその方法で快勝しており、それがサトノフラッグの競馬であると言っていい。だが、それをすれば今回も勝ち目はなく、しかも馬場の助けもなさそう。

 この状況はある意味、武豊騎手には僥倖と言える。「まともに行ったら、勝ち目はありません。だから、一か八かの勝負に出ます」という競馬ができるからである。つまり「着を拾いに行くような競馬はしない。勝ちにいく」ということである。勝ちに行く理由を、以下のように端的に語っている。

 「ホースマンなら誰もが勝ちたいのがダービーです。」

 要は(勝たなければ意味がないレースである)ということ。具体的には7枠15番という外目の枠を引いたので、最後方に近い位置につけて、馬場のいい部分を走らせ、直線一気の競馬をするように思える。展開が向けば一角崩し、場合によっては突き抜けることもあるかもしれない。コメントを読む限り、そのように感じるし「そういう競馬をするから前が止まらずに惨敗する可能性もあることは分かってくれよ」というアピールでもあると思う。

■「競馬に絶対はない」の言葉の重さ

 皐月賞でのサトノフラッグは、直線でコントレイルに離された時点でC・ルメール騎手が無理をしなかったように見えた。勝てなければ皐月賞だけの騎乗と本人も分かっていたであろうし、賞金からダービーの出走権は確保できているから、無理をして馬を壊すよりは…という考えはあったのではないか。

 そうした状況を考え合わせると、武豊騎手の以下のコメントの重みがお分かりいただけると思う。

 「『競馬に絶対はない』という格言を信じるようにしています。」

 以上の点から、2強の一角崩しの可能性があるとすれば、サトノフラッグだと思っている。

2 thoughts on “武豊騎手の言葉が重い 一角崩しサトノフラッグ

  1. アバター MR.CB より:

    》》ジャーナリスト松田様

    「要は(勝たなければ意味がないレースである)ということ」。まさにダービーそのものですね。後に種牡馬(ウオッカは除く)となる経済効果も含めて、『2番じゃダメ』なんです。

    サトノフラッグの敗因はわかりませんが、能力差と言うよりもモチベーションの問題のような気がします。あくまでも推測です。たぶん前走の皐月賞で最後の直線、コントレイルに外から並ぶ間も無くかわされたショックが残っていたのかも…。皐月賞のレース映像を何度見ても、勝馬の強烈な脚力は凄まじい破壊力でした。サトノは運悪く(?)、偉大な父ディープを彷彿とさせる走りを真横で魅せられた訳です。「何だよ、こいつはバケモノか⁈」と思ったのかもしれません(笑)。

    ともあれ、祐一(福永)が謙遜気味に「これでスターホースの仲間入りをした」語ったと同時に、「今日はとにかくコントレイルの第5戦目を非常に良い形で終えれたということ…それだけを考えていたんで良かったと思います」が凄いと感じました。
    〈第5戦目、それだけを〉。1,4倍の大本命、しかも負けが許されないダービーの檜舞台を、通過点と言ってのける自信に驚きました。
    まずはアーモンドアイとの勝負、そして海外での活躍を夢見たいと思います。

    一競馬ファンとして、父ディープの16年目に誕生した最高傑作の無事を心から願い、今回の勝利をお祝いいたします。

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

      >>MR.CB様

       サトノフラッグは一か八かの勝負を賭けた乗り方をしたにしても、負けすぎですよね。おっしゃるように精神的なものもあったのかもしれません。あるいは途中で故障していたとか。

       ディープインパクト以後のダービー馬を分類すれば、オルフェーヴル・ドゥラメンテとともにトップを形成するグループに属するとしていいと思います。
       秋は菊花賞に行くようですが、新型コロナウイルスで海外遠征が考えにくい状況もあるので仕方ないのかなと思います。僕がオーナーなら秋は欧州に行きますけど。

       凱旋門賞を最初に勝つ日本調教馬の可能性は十分ありそうですね。キズナが4着でしたか、あれぐらいは走れそうな気がします。頑張ってほしいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。