青学大4位復路V 5区竹石選手よ胸を張れ
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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第97回東京箱根間往復大学駅伝競走の復路が3日、行われ、往路12位の青山学院大学は5時間25分33秒で襷を繋ぎ、総合4位に入った。総合優勝の駒澤大の復路タイムを2秒上回り、復路優勝。前日の5区で17位とブレーキになった竹石尚人選手(4年)にはネットで一部厳しい言葉が投げかけられているが、胸を張って今後の人生を生きてほしいと思う。
■絶望的な12位から徐々に順位上昇
青学大は往路終了時点で絶望的な位置といえる12位から追い上げ復路優勝、総合4位まで押し上げたのは立派と言う以外にない。6区で10位、7区で7位、8区で5位、9区で4位に浮上し、一瞬だが夢をみさせてもらった。
往路終了時点で原晋監督は「ゲームオーバー」という表現を使ったが、それは適切ではなかったと思う。復路の5選手は最後まで前を追い続け、シード権は楽々確保し、3位まで20秒差の4位。ゲームオーバーと思って走っていた選手はいないと思う。
岸本・神林の両選手が無事だったら、5区の竹石選手を8区で、9区の飯田選手を5区で起用していたらと悔しさも残るのは事実だが、「れば・たら」を言っても仕方がない。優勝した駒澤大を讃えるべきだろう。
■注目の青学大5区竹石選手 これが人生
今年の青学大で注目されたのは、5区の竹石選手。報道されているように竹石選手は留年を選択して競技を続ける5回生4年。2020年の4回生4年時には故障で出場が叶わず、5度目のシーズンを迎えることを決意したという。これで区間賞をとって連覇に貢献したというのであれば最高の結果なのだが、現実は甘くなかった。区間17位と失速し、総合優勝を逃す要因になってしまった。2年前にも5区で区間13位でブレーキになり連覇が途切れる一因となっており、考え得る最悪の結末で5年間の競技生活を終えることとなった。
これが人生というものかもしれない。だが、彼を責める気になれない。
自分が納得できるまで競技をしたいと考えても、全員が後輩のチームに残り、再びレギュラーの座を掴むことがいかに大変なことかと思う。フィジカル面ではまだいいとして、精神的に追い詰められると思う。同期の友人は社会人として新しい生活を始める中、自分は学生をもう1年続けるのは心のどこかに(取り残されている)という思いも湧くはず。
さらにレギュラーポジションが取れなかったら何のために留年したのか分からず、レギュラーポジションを取れば後輩は(この人のお陰でレギュラーの枠が1つ減った)と思うかもしれない。そうしたリスクを考えれば、競技に悔いが残っても卒業するのが普通だろう。それを考慮してもチームに残る決断が出来る、そしてポジションを取れるだけのパッションを持った人間はそうそういないと思う。
そのようなリスクばかりの1年間を自身の夢のために過ごしてきた竹石選手を、どうして責められようか。誰よりも競技を愛し、貴重な20代の1年を駅伝に捧げ、目指した大舞台に立った人間にはただ、賞賛の声を贈るのみである。挑戦しなかった者・傍観していた者は、挑戦し失敗した者を責める資格などない、と僕は思う。
■テレビ局に勤務 チャレンジし続けた人生に誇りを
竹石選手はまだ23歳。これからテレビ局に勤務すると聞く。学生としての人生より、社会人としての人生の方が遥かに長い。今後の人生で、箱根駅伝の結果はずっと背負い続けるのは間違いない。その時には自らの選んだ道を語り、チャレンジし続けた人生に胸を張ってほしい。君には恥じることなど何もない。
大学スポーツにこれだけ集中できた人間なら、社会に出てもいい仕事をすることだろう。