青学大が往路制覇 完全優勝へ3日に復路

The following two tabs change content below.
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 優勝の大本命の青山学院大学が箱根駅伝の往路を制覇、2年ぶり6回目の総合優勝へ大きく前進した。1月2日、第98回東京箱根間往復大学駅伝競走の往路が行われ、3区でトップに立った青学大が5時間22分6秒と、2位帝京大に2分37秒差をつけて優勝。復路に有力選手を残す布陣から、2年ぶりの総合優勝が見えてきた。

■青学大の層の厚さ

箱根駅伝5区の函嶺洞門付近

 青学大は1区に当日変更で志貴勇斗選手(2年)を起用、5位となった。独走となった吉居大和選手(中大2年)から45秒差とはいえ、2位の唐沢拓海選手(駒大2年)からはわずかに6秒遅れただけで、順位は5番目だが2番手集団でなだれ込んだという印象。

 2区の近藤幸太郎選手(2年)は区間7位の記録だったが、こちらも区間賞の田沢廉選手(駒大3年)から56秒差、2位のライモイ・ヴィンセント選手(国士大4年)とフィリップ・ムルア選手(創価大3年)からは28秒差で、非留学生(日本人選手)では3位という好タイムで2位に浮上した。

 3区で太田蒼生選手(1年)が区間2位の記録で首位を奪うと、4区の当日変更で出場した飯田貴之選手(4年)、5区の若林宏樹選手(1年)がともに区間3位の好走で楽々とトップを守って2年ぶりの往路優勝を決めた。

 登録16選手の1万mの持ちタイムが全員28分台という層の厚さから、駒大とともに優勝候補の筆頭に挙げられていたが、その選ばれた選手がほぼ自分の力を出し切ったと思われる走りで、他大学に付けいる隙を与えなかった。

 エントリーで1区の湯原慶吾選手(4年)は2年前の10区で優勝のテープを切り、昨年は3区で出場している主力に近い選手だったが、最終学年では2年の志貴選手に取って代わられたことが、青学大の層の厚さ、内部の激しい競争の存在を示している。

■他の有力校にミス相次ぐ

駅伝を前にした箱根の街角(資料写真)

 他の有力校を見ると、ブレーキが出たことで思い通りにレースを進められなかったのは明らか。青学大と並ぶ優勝候補の駒大は3区の安原太陽選手(2年)が区間16位と沈み、同じ区の青学大の太田選手に3分1秒も差をつけられたのが痛かった。

 せめて90秒速く走っていたら、机上の計算では往路5時間24分4秒で青学大に1分58秒差の2位、復路での逆転の可能性も、それなりにあったかもしれない。区間の順位を見ると(2、1、16、9、4)で、青学大は(5、7、2、3、3)。3区が勝負を分けたのは明らかであろう。

 昨年の往路優勝校の創価大は、1区の葛西潤選手(3年)が15位と出遅れ、3区の桑田大輔選手(2年)が区間17位、5区の三上雄太選手(4年)が12位では、残る2、4区で2位、1位と好走しても往路8位はやむ無しの結果。

 國學院大は2区の伊地知賢造選手(2年)が区間12位はタイム的にはそれほど悪くないものの、それに加え昨年11月の激坂王決定戦で学生首位だった5区の殿地琢朗選手(4年)が9位となったのが響いての4位だったように思う。

 大健闘と言っていい2位帝京大も4区の寺島渓一選手(4年)が14位とふるわず、そこをカバーできていたら青学大との差は1分台で、復路にかなり望みをつなげたかもしれない。

 こうしてみると、ノーミスの青学大が他大学の自滅で勝利を決めたのは明らかで、層の厚さとともに指揮官が選手のコンディションを見定めた上での適切なコース配置をしたことが勝利を呼び込んだといえると思う。

■復路はピクニックランも

 中継した日本テレビで渡辺康幸氏が復路の見通しを聞かれ、「青学大はピクニックランになるかも」という話をしていたように、総合優勝は青学大でほぼ決まりと思える。昨年の4区4位の佐藤一世選手(2年)、2年前の2区区間賞の岸本大紀選手(3年)の”大駒”2枚が補欠として控えており、世田谷246マラソンで駒大の唐沢拓海選手らを破って優勝した田中悠登選手(1年)も出場は可能。

 佐藤・岸本両選手は7、8区に入るのではとネット上では囁かれているようで、田中選手は出番はないかもしれない。9区の中村唯翔選手(3年)は昨年エース区間の2区を走り、10区の中倉啓敦選手(3年)は昨年の同区で4位という層の厚さで、他大学からすれば往路のチームが2つあるという感覚ではないか。

 青学大の往路のタイムは5時間22分6秒で、2年前に記録した5時間21分16秒には及ばなかったが、復路の豊富な手駒を考えれば、同年の10時間45分23秒という総合タイムの更新も夢ではない。

■33年ぶりの出場に「青学すごいな!」

青山学院大学(資料写真)

 青学大は2009年、33年ぶりに箱根駅伝の出場を決めた。この時、僕は青学大の大学院の1年に在学しており、その報をテレビのニュースで見たと思う。同級生とともに「青学すごいな!」と驚き、応援したものである。

 その後、母校は着実に成績を上げていき、2015年に神野大地選手が5区で駒大を交わして往路優勝したが、その際はテレビの前で絶叫していた(その年に初の総合優勝)。その頃、僕は青学大を卒業し、勤めていた会社もやめて大学院の研究生として在籍していただけに、喜びもひとしおだった。

 その後、大学に行った際に学食で一色恭志選手が仲間と食事をしているのを見たし、原晋監督がキャンパス内を歩いているところをすれ違ったこともある。彼らは非常に眩しい存在であった。

 昨年は復路優勝を果たしたものの総合では4位に終わっている。OBとして、ぜひとも2年ぶり6回目の総合優勝、可能なら復路優勝を含めた完全優勝を果たしてほしい。復路は1月3日午前8時にスタートする。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です