タスティエーラ勝利は目前 東京優駿

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 競馬の祭典、第90回東京優駿(芝2400m)が5月28日に東京競馬場で行われる。皐月賞馬ソールオリエンス1強ムードではあるが死角ありの見方も可能で、皐月賞2着のタスティエーラに期待したい。

◾️ソールオリエンスはハマったのか

舞台は東京競馬場

 皐月賞のソールオリエンスは大外から一気の末脚で差し切り勝ちを収め、キャリアわずか2戦で三冠レースの初戦を制した。この衝撃の勝利で単勝1番人気は約束されたも同然。確かに皐月賞の末脚は桁違いで、とんでもないスーパーホースの可能性はある。ただ、1つ言えるのは、競走馬としての完成度は低いということである。

 競馬ファンなら分かっていると思うが、ソールオリエンスは京成杯、皐月賞と2戦連続で4角を逆手前(右回りで左手前)で回り、大きく外に膨れている。競走馬は右回りなら右手前、左回りなら左手前でコーナーを回るように調教されているが、おそらくソールオリエンスの頭の中には「最終角は左手前で回るもの」という意識がインプットされているのではないか。

 初戦の東京競馬場(左回り)での新馬戦では普通に左手前で回って、結果、際どい勝負になったが競り勝っている。続く京成杯では逆手前となって4角で膨れたものの、力の違いで他馬を圧倒した。もっとも、4角で膨れたことについて、平地調教注意が与えられている。たまたま、外に他馬がいなかったので制裁とはならなかったが、運が悪ければ降着、失格もある斜行であった。

 横山武史騎手は皐月賞後のインタビューで馬のリズムで、と後方から進んだ理由を説明していたが、京成杯の時のような癖を出す可能性があると考えれば、控える競馬をするのは当然のこと。外に膨れても後ろの馬に迷惑がかからないように最後方というのは当然の選択肢である。既に賞金は足りているので、皐月賞は直線勝負にかけて、どこまで脚を伸ばせるかを見て、4角で膨れない府中で勝負を、という考えもどこかにあったのかもしれない。

 この作戦が、思わぬ幸運を呼び込んだと言える。

①重馬場で前半1000mが58秒5という超ハイペースとなり、先行勢は総崩れとなった。

②馬場の内が荒れており、各馬とも馬場の良い外を狙った。

 このような状況下で、ほぼ最後方から馬場の良い外を通ったら、前が止まった結果、飛ぶような末脚に見えたというのが皐月賞の評価であるように思う。実際、レースの上がり3ハロンは37秒2もかかっており、ソールオリエンスの上がりも35秒5に過ぎない。

 言葉は悪いが、ソールオリエンスの勝利は多くの条件がハマったもので、それが皐月賞という大舞台であるため、とてつもないスーパーホースの出現という評価になっている可能性はある。東京優駿では4角で外に膨れる心配はないため、新馬戦の時の3番手、京成杯の時の5番手のように前につけることになるであろう。その時に、目が醒めるような末脚を使えるかどうか。

 新馬戦(芝1800m)は上がり33秒3の末脚を使ったが、実はこの時は前半1000mが65秒0という超スロー。しかも、2着のレーベンスティール(現2勝馬、本賞金900万円)の上がりの方が0秒1速い。東京優駿で前につけたら、切れ味勝負で他馬に劣る可能性は否定できない。何より3回しか走っておらず、最終角を左手前でしか回ったことがない、競走馬として未完成の馬がダービー馬になれるのかという不安は残る。

◾️最も強い競馬をしたタスティエーラ

 以上のように、ソールオリエンスの粗探しのようなことをしてみたが、本番ではぶっち切りで勝たれて、(参りました)と頭を下げることになるかもしれない。一競馬ファンとして、そうなることを期待している部分もある。ただ、繰り返しになるが、皐月賞で思わぬ幸運に恵まれたのは確か。

 そうなると、思わぬ不運に泣いた馬がいるはず。それがタスティエーラである。皐月賞の上位9頭で、3角の位置取りが10番手以下だったのが実に7頭。先行勢が総崩れになる展開を証明しているが、その中で3角6番手、4角4番手と前、前の競馬をして2着に粘っているのがタスティエーラである。

 厳しい流れの中、前で踏ん張って直線半ばで先頭に立ち、完全に勝ちパターンに持ち込んだところ、足元をすくわれる形で2着に泣いた。”ハマった”ソールオリエンスがいなければ、皐月賞馬になっていたわけで、このレースで最も強い競馬をしたのはタスティエーラであることは間違いない。

 東京競馬場での共同通信杯で4着に敗れているのは気になるが、この時は福永騎手(現調教師)が「勝ち馬の直後につけたかった」とレース後に語ったように、いかんせん、後ろすぎた。その差が最後まで響いてファントムシーフの4着と敗れた。これがデビュー2戦目、考えようによっては上出来の内容と言っていい。中2週でG2ディープインパクト記念に挑んで優勝しており、皐月賞の強い内容を加味すれば、この馬こそがダービー馬に相応しい。

 ディープインパクト記念優勝、皐月賞2着にもかかわらず松山騎手からレーン騎手にスイッチしたのも、勝てる可能性がある、その可能性を少しでも大きくしたいと考えてのことであろう。

◾️スキルヴィングは前走安全運転に終始

 タスティエーラを負かすとしたら、ソールオリエンスがとんでもないスーパーホースであった場合と、スキルヴィングが”本物”であった時と考えている。スキルヴィングのG2青葉賞は着差(半馬身)以上の完勝であった。

 青葉賞出走時点で東京優駿への出走権利がなかっただけに、C.ルメール騎手も包まれないように安全運転に終始していた。最悪でも優先出走権が取れる2着までに入ればいいという乗り方に見えた。それで2分23秒9の勝ち時計で完勝、相当な器であるのは間違いない。

写真はイメージ

 ルメール騎手にはファントムシーフという皐月賞1番人気3着というお手馬がいながら、スキルヴィングをチョイス。ファントムシーフは皐月賞で落鉄し、さらに直線では前をカットされる不利を受けた。本番では巻き返す可能性は十分あると思われるが、その事情を織り込んでも、なお、スキルヴィングを選んでいる事実は相当に重い。ルメール騎手が(ファントムシーフでは、ソールオリエンスとタスティエーラを負かす可能性は低い)と考えたと推認するのが通常の思考であろう。

 中心がタスティエーラ、強敵がスキルヴィング、一発ならソールオリエンスという順番(皐月賞馬を「一発なら」というのもどうかと思うが)。

◾️昔から予想は下手でして…

 それ以外に上位に食い込みそうな馬として、ファントムシーフは変わらず優勝候補の一角と言ってよい。皐月賞で4角8番手で踏ん張り、4着に入ったメタルスピードも上位争いに加わっても不思議はない。3角から上昇して4角4番手で5着に粘ったショウナンバシット、そのショウナンバシットやダノントルネードと僅差の勝負をした実績に加え、皐月賞6着のシャザーンも同様に侮れない存在と言える。

 別路線組ではG1ホースのドゥラエレーデと、3連勝中のサトノグランツ。あまりズラズラと馬名を並べるのは潔くないので、このへんまでにしておこう。

 筆者は馬券は買わないが「馬連を1点だけ買え」と言われたら、タスティエーラとスキルヴィングの組み合わせを買うと思う。競馬の予想は昔から得意ではないので、皆さんはこれを外して買うのもよろしいかと(笑)。

    "タスティエーラ勝利は目前 東京優駿"に2件のコメントがあります

    1. MR.CB より:

      》》ジャーナリスト松田様

      さあ今年もいよいよダービーがやってきました!

      皐月賞についてはソールの勝因は、松田さんと同じく馬場と展開、馬番で腹を括った鞍上のファインプレーに尽きると思っています。
      そして一番強いレースをした2着馬ですが、どうも釈然としません。【運】が求められるダービー。勝つべきレース(皐月賞)に勝てなかったタスティエーラの持つ運が、手綱をレーンに変えることで一新できるか?が不安ですね。また当日9時の段階で4番人気と低い評価(信じれば美味しい単勝)がヤラれ慣れた身には実に嫌〜な予感がします。敗者の直感です(笑)。
      2番人気に押されるルメールのスキルヴィング。
      引退された藤沢和雄調教師が以前から主張される「ダービーは皐月賞組が強い」が気になります。

      結局のところ『あれも怖い、これも怖い』で、大好きだった田村正光元ジョッキーの名言「乱気流の中の心境」です(⁇⁇笑笑)。

      小生は「タスティエーラを下された」のではなく「松山が選んだ」(笑)、6枠11番のハーツコンチェルトと今年も心中いたします!

      ともあれ日刊スポーツ・『穴の松田』を知る小生としては松田さんにはメタルスピードあたりに、◉をドーンと打って欲しいですね!

      1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

        ハーツコンチェルト、惜しかったですね。びっくりです。今年の青葉賞組は強かったということでしょうか。

        スキルヴィングにアクシデントがなければ、もしかしたら、スキルヴィングが頭だったかもしれないと思いました。

        とにかく、見ていて力の入るダービーでした。いいレースだったと思います。

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