アエラの犯罪?虚偽情報入力しワクチン接種予約
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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AERAdot.編集部が、虚偽のデータを入力して新型コロナウイルスワクチン大規模接種センターで接種の予約を取り、システムの欠陥を指摘した。これに対して岸信夫防衛大臣が朝日新聞社と、同様の取材を行った毎日新聞社に抗議する意思を表明した。アエラなどの取材は犯罪が成立する可能性が高く、その報道倫理が厳しく問われる事態となっている。
■AERAdot.編集部が虚偽データを入力して予約
AERAdot.は5月17日午後、「【独自】『誰でも何度でも予約可能』ワクチン大規模接種東京センターの予約システムに重大欠陥」という記事を公開した。吉崎洋夫記者の署名がある。それによると24日から千代田区大手町に開設予定の新型コロナウイルスワクチン大規模接種センターで接種が開始されるにあたり、サイトで予約を実行。
すべて虚偽の6桁の市町村コードと10桁の接種券番号、生年月日を入力し接種希望日時を選んだところ5月29日8時に予約が取れた。さらに別の虚偽データを入力して5月30日16時30分に予約できたというもので、システムの欠陥を明らかにしている。
さらに防衛省関係者の「極論すると、悪意を持った人物が、乱数的に任意の番号を次々と入力し、全ての枠を占拠することすら出来てしまう、危機管理も何もあったものじゃない。杜撰な仕組みです。予約枠だけ占拠して、当日誰も行かなければ、大量のワクチンがムダになりかねない、まさにワクチンテロが出来てしまいます。」というコメントを紹介した。
毎日新聞でも同様の取材が行われ、岸防衛相は「ワクチン接種を希望する65歳以上の方の機会を奪い、ワクチンそのものが無駄になりかねない悪質な行為だ。厳重に抗議する」と朝日新聞出版・毎日新聞の両社を批判した(産経新聞電子版:岸防衛相、朝日新聞出版と毎日新聞に抗議へ 架空の接種券予約で)。
■AERAdot.編集部の行為は犯罪か
このAERAdot.編集部の取材方法は虚偽の情報を入力、本来、取得することができない予約をして、ワクチンを接種させる業務を妨害している。業務妨害罪(刑法233条後段)、もしくは電子計算機損壊等業務妨害罪(刑法234条の2第1項)が成立するように思う。
電子計算機損壊等業務妨害罪の加害行為の1つに「虚偽の情報もしくは不正の指令の入力という情報処理阻害の類型」がある。動作阻害については「設置者の目的に反するような動作をさせること」があり、業務妨害とは「電子計算機の動作阻害を通じて、電子計算機による業務の遂行に外形的混乱を生ぜしめることをいう」とある(刑法各論第6版 西田典之 p131-132 弘文堂)。
加害行為は虚偽の情報の入力であり、情報処理阻害の類型に当てはまる。動作阻害は、本来、ワクチン接種資格者に接種予約を成立させるという目的で電子計算機を設置したのに、資格のない者に予約を成立させる動作をさせていると考えれば、当てはまらないでもない。ただ、コンピューターシステムの損壊等を念頭に置いた犯罪のため、本件で言えば、通常の業務妨害の方が適切なのかもしれない。
いずれにせよ、こうした犯罪と思われる態様で行われた取材でも、それがワクチン接種システムのセキュリティーホールの存在を指摘するという報道目的であれば、それは正当行為(刑法35条)として違法性が阻却される可能性はある。その点は慎重な検討が必要である。
■外務省秘密電文漏洩事件の最高裁決定
AERAdot.編集部の取材方法が正当な業務行為と言えるかどうかは、いわゆる外務省秘密電文漏洩事件の最高裁決定が参考になる。同決定は、違法性が阻却される場合について以下のように判示する。
「それが真に報道の目的からでたものであり、その手段・方法が法秩序全体の精神に照らし相当なものとして社会観念上是認されるものである限りは、実質的に違法性を欠き正当な業務行為というべきである。」(最決昭和53年5月31日)
さらに、違法性を帯びる場合にも言及している。
「取材の手段・方法が…一般の刑罰法令に触れる行為を伴う場合は勿論、その手段・方法が一般の刑罰法令に触れないものであっても…法秩序全体の精神に照らし社会観念上是認することのできない態様のものである場合にも、正当な取材活動の範囲を逸脱し違法性を帯びる」(同)。
今回の件は真に報道の目的であることは、一応、認められると思われる。しかし、その手段・方法が社会観念上是認されるかと言われれば、それは厳しいと言わざるを得ない。新型コロナウイルスのワクチン接種が国民の生命を守るために喫緊の政治課題になっている状況で、①接種のシステムのセキュリティーホールを突いて本来、資格のない者に予約を成立させていること、②その方法を広く告知することで愉快犯・模倣犯を生みかねないこと、の2点を考えれば、とても社会観念上是認されないであろう。
もっとも、このように法律・判例で杓子定規に考えるより、一般的に「何でワクチン接種を遅らせるようなことをするのか」「その取材が今、必要か」という国民の思いにAERAdot.編集部が気付かないことの方が大きな問題と言えるかもしれない。
■AERAdot.編集部の手法を称える阿部岳記者
こうした考えの一方で、政府の導入したシステムの杜撰さを批判する声も少なくない。沖縄タイムスの阿部岳記者はこの件をTwitterで「ザルシステムの欠陥を指摘され、修正する機会を得られた。朝日新聞出版と毎日新聞には『厳重に抗議』ではなく『丁重に御礼』するのが筋だ。」(2021年5月18日13:08投稿)と投稿した。
また、ヤフーの該当記事に付せられたコメント(ヤフコメ)を見ると、セキュリティーの甘さを指摘する声が多数を占めている。
確かに、虚偽のデータを入力するだけで資格のない者が予約を取れてしまうシステムはお粗末の一言。不正な入力をしても予約が取れず、有資格者だけが予約を取れるシステムが理想である。
しかし、セキュリティーホールのないシステムを時間をかけて完璧に作り上げることと、接種を進めるためにある程度のバグを覚悟で早期に稼働させるか、どちらを優先させるかは検討されなければならない。
新型コロナウイルスの感染症の対策として決定的な役割を果たすワクチン接種は、一刻も早く実施する必要がある。菅義偉首相は1日100万人接種を口にしており、開始が1日遅れたら100万人の接種が遅れ、そこから一定数の死者が出る可能性はある。そうであれば、AERAdot.編集部がやったような予約枠を詐取して、政府の政策を遅らせようと考える愉快犯による被害は一定程度覚悟した上でゴーサインを出し、そのような対策を同時並行で行う方法には合理性がある。ミスのないシステムでの政策実行は重要であるが、それも緊急時、特に国民の生命がかかっているような特殊な場合には、その優先度は考慮されて然るべき。「アエラのような妨害行為を行う者は、仮に存在しても少数に過ぎない」という国民への信頼も検討材料の1つと言える。
メディアは日本のワクチン接種が先進諸国の中で遅れていることを指摘し続けてきた。もし、セキュリティーも完璧なシステムを作るために時間をかけたら「なぜ、こんなに遅いのか」と批判するのではないか。それらを考えると、AERAdot.編集部のやり方は全く支持できず、国民の生命と健康を害するものでしかないように思える。
■AERAdot.編集部が行った行為を記録・記憶すべき
今回のような出来事を見ると、一体、日本のメディアとは何なのかと思う。批判されるべき人を称え、国民の生命を守るための政策の実行を妨害する媒体のどこに存在価値があるのか。
戦後最大の国難と呼ばれる事案が最終的な解決に向かおうとした時に、朝日新聞出版と毎日新聞が行ったこの犯罪と呼んで差し支えない取材方法を、我々はしっかりと記録し、記憶すべきだと思う。
おはようございます。
昭和のころの説教強盗と根が同じように思えるのはわたしだけでしょうか?
おはようございます。最近、他のコメントが多くて、中々コメント出来ませんでした。それだけ、このブログを観る人が多くなったという事ですね。
今回の件は、早くワクチン接種を多くの人にとの処置で大規模会場での接種となりました。野党は反対の様でした。緊急の為、個人情報保護の為、本人の市町村コード、接種番号、生年月日を正しく入力する事は、戦後最大の国難に対し、国民の生命を守る為に性善説として当たり前の事だと思います。朝日、毎日が取材として行った事は国難を乗り越えようとする国民に水を差す行為だと言えます。それを擁護する立憲の枝野代表は一体何を考えているのかと腹立たしく思います。
毎日新聞社は「確認作業は公益性が高いと判断した」と主張している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8b4a395e7c7c249f5f78bb8b089fff30d1237241
百歩譲って「確認作業の公益性」は認めるにしても、その確認作業で発見された不適切な操作方法を、あげつらう様に詳細に報じることに、何の公益性があるだろうか。
「こうした不適切なことが可能になっている」ということを、政府に通報する方が、よほど公益性が高いのではないか。
「社会の木鐸」などどいう古びた言葉は使いたくないが、毎日新聞にはもう一度『新聞』というメディアの意義・意味を自問して欲しい。
ここままだと、「生活必需品」とされ、軽減税率の対象となっている『新聞』の「生活必需品」という位置付けに、国民の納得は得られないと思うが・・・
毎日新聞社の入社式訓示を見てわかるように、今回問題になった新聞社は一般市民から感覚がずれていって久しい。目的が正しいなら手段の不法性には目を瞑る。蒙昧な一般市民をを正しく導いていくのが新聞だ。というポリシーを貫いている。今回、両新聞社が気づいて報道しようとした対象がワクチン接種予約システムの不備であったことはある意味幸いだったかもしれない。 報道しようとした対象が最近発覚した原発の対テロシステムの不備だったら果たして何をしたことやら。「原発の対テロシステムの不備を確認する作業は公益性が高いと判断」するのでしょうね。
今回の事もですがマスコミ報道の「日本はワクチンの接種が遅れている」には、知ってか知らずか予防効果のあるRNAワクチンと重症化予防程度の効能しかない不活性化ワクチンを一緒くたにして「日本は世界で100位以下」とかやってる人も多々見られます
実際ワクチン接種率(ただし不活性化ワクチン)が世界トップクラスなのにコロナが猛威を振るっているセーシェルやチリなどの実例もあるのに
ワクチン接種率で不安を煽り、犯罪まがいの手段で接種の足を引っ張るのがマスコミのお仕事なんでしょうかね
セキュリティホールを見つけること自体は まあいいんじゃねえかなと思うのです
問題は それを己の手柄として触れ回った事
そしてその行為をよくやったと大手が褒めたことにあると思います
言ってみれば他人の家の鍵を開けることができた その後に
家主にこうすると開いちゃうんで危ないですよと忠告するのではなく
町中に こうやったらあの家に入れるぜ!って広めた事
そんな輩を咎めるどころか 防犯に貢献したんだからえらいえらいとこれまた広めた事
末恐ろしいです
》》ジャーナリスト松田様
松田さんのご意見に賛同します。
メディアの報道のあり方については、毎度のことながら「あいも変わらずだなぁ」と辟易いたします。
報道の自由、言論の自由といった御旗を掲げた身勝手な振る舞い。誰も頼んでもいないのに、国民、市民の代表然とした厚顔無恥な都合の良い思い込み。近い将来に淘汰されるであろうメディアと、割り切って考えれば良いのかも知れませんが、その浅はかな思考回路には腹が立ってしまいます。ただただ愚痴ることしか出来ません。
松田様
伊是名氏の件から貴殿の記事の注目し拝読させていただいております。
昨今のメディア報道全般を見ていると暗い気持ちになります。
平常時なら冷静に思考できる国民も、コロナ禍が終息しないことで不安や不満の蓄積したことによる批判の矛先は現政権や行政に向かいがちになります。
そのような状況を利用するかのようなメディアの政権批判。
まあ、確かに現政権にも問題は少なからずあるのでしょうが、それでも今回のAERAのような記事はワクチン接種予約を妨害する行為を助長するものとして批判されてしかるべきものだと思います。
ただ、接種券番号や生年月日といった個人情報との紐づけが出来ないことは私も想定していましたが、市区町村コードが架空のものでもエラーにならないのは杜撰の一言です。
このあたりの行政の詰めの甘さを何とかして欲しいものです。
コロナ禍という有事の際に基本的には行政を支持したい者としては、このような詰めの甘いことがあると擁護しようにもしづらくなってしまいます。
ともかく、松田様の記事は楽しみにしておりますので今後ともよろしくお願いいたします。