ワイドナショー女子アナ沈黙 出演者言い訳&スルー
松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵
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フジテレビのワイドナショー(日曜午前10時~)が19日、番組内で中居正広氏の女性トラブルと同社の港浩一社長の記者会見について触れた。発言の多くはフジの弁明に終始しており、週刊文春1月23日号の女性アナを接待要員のように扱い、タレントからわいせつな行為を受けたという記事についての話は言及されなかった。メインキャスターの女性アナは一切、口を開かず、視聴者の不信感を募らせるだけの内容であった。
◾️台本通りのコメントか
東野幸治氏らがメインキャスターを務めるワイドナショーは港社長の会見(17日)後とあり注目を集めたが、1時間半の番組のうち5分扱ったのみで、その内容も事実関係を紹介し、お笑い芸人らが当たり障りのないコメントをするといったものであった。コメントを簡単に紹介しておく。
ヒロミ氏:(調査委員会を立ち上げたことは)いいことだと思う。何があったのかは全く分からない。我々は(調査委員会の調査を)待つしかない。
今田耕司氏:守秘義務があって真実を知ることができない。憶測が憶測を呼んで、SNSは憶測だらけ。第三者が入って(こういうことだった)というのをはっきりさせれば一番いいんじゃないかなと思う。
清原博氏(弁護士):第三者委員会を立ち上げるのは一歩前進だと思うが、調査には限界がある。(調べるのは捜査権のある)警察ではなく、弁護士。当事者に話を聞いても「守秘義務があって話せない」、「あの件はもう話したくない」と言われたら、弁護士としてはそれ以上聞けない。第三者委員会の調査が終わっても、何が真実か分からないかもしれない。
岩田明子氏(ジャーナリスト):今回の(港社長の)会見は制約があった。中継も配信もなかった。キャパシティの問題があったのかもしれないが、会見の態勢はもう少し考えてもよかったのではないか。
おそらく台本通りと推測される。ヒロミ氏、今田氏の芸人の2人がフジテレビが調査委員会を立ち上げて事実の解明に乗り出したことを評価する。次に清原弁護士が「調査委員会にも限界があるから、どうなるか分からない」と最終的に有耶無耶になった場合の伏線を張り、最後に岩田氏が会見のあり方について改善の余地があったと批判的なコメントを入れましたよという体裁を整える。
番組としての中立性を強調し、批判も入れたというアリバイ作りという流れを事前に台本として作成しておいたのであろう。東野氏も、このコーナーではずっと目を下に落とし、書類を読み上げていた。
◾️清原弁護士と弁護士職務基本規程
この短いやり取りの中にも問題はある。弁護士の清原氏がフジテレビが設置を明言した調査委員会を「第三者委員会」と2度も口にした点である。第三者委員会は日本弁護士連合会がガイドラインを定めており、それによると「企業等から独立した委員のみをもって構成され、徹底した調査を実施した上で、専門家としての知見と経験に基づいて原因を分析し、必要に応じて具体的な再発防止策等を提言するタイプの委員会」とされている(日本弁護士連合会・「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」の策定にあたって)。
フジテレビは外部の弁護士を中心とした調査委員会を設置するとしており(産經新聞電子版・中居正広さんの女性トラブルでフジテレビ社長が謝罪 弁護士らの調査委員会設置へ)、弁護士である清原氏が間違えるとは思えず、意図的にフジテレビがこの問題の真相究明と解決に向けて努力しているかのように視聴者を誤誘導させたのではないかという疑いもある。
そもそも弁護士である清原氏はフジテレビの番組に出演しているわけで、そこでのコメントは弁護士職務基本規程に沿ったものとならざるを得ない。
【弁護士職務基本規程21条】
弁護士は、良心に従い、依頼者の権利及び正当な利益を実現するように努める。
つまり、清原氏は出演を依頼したフジテレビの権利や正当な利益の実現に努めなければならないのである。他のニュースに関して弁護士としての知見を利用してコメントするのとは状況が全く異なる。本来、その点を説明してから話をすべきところ、その前提の説明が省かれている。しかも「第三者委員会」という事実と異なる単語を持ち出しているのであるから、この番組の制作者は相当悪質な印象操作をしていると言っていい。
◾️椿原慶子氏無言の理由
これ以外にも問題はある。中居氏の問題だけを話題として取り上げたが、週刊文春1月23日号に掲載された現役のフジテレビの女性アナという水谷愛子さん(仮名)が告白した内容について全く言及していない。これは局員が騙し討ち的に女性アナをホテルのスイートルームで行われた飲み会に呼び出され、ベッドルームから全裸のタレントに手招きされたという事案である(参照・中居氏”新たな被害者”報道 問題の根源フジの体質)。
この日の放送は東野氏と椿原慶子氏がメインキャスターとして番組ホームページで発表されていたが、椿原アナはこのコーナーでは全く口を開かなかった。アナウンス室に勤務する女性アナとして会社の接待要員のように扱われたことがあるか、タレントからセクシャルハラスメントを受けたことはあるか、水谷愛子さんの告白は真実と思うかなど、事案の核心部分を語れる立場にある。ヒロミ氏や今田氏が何が真実か分からない、憶測が憶測を呼ぶと言っているのであるから、椿原アナがそこで正確な情報を伝えればいいのに、なぜ、しないのか。
港社長の会見に至った経緯、会見の内容などを伝える部分は椿原氏が事案の背景を説明し、その後、当事者としてコメントするのが自然と考えられるが、この日は東野氏がニュース原稿を代読する形となった。このような構成は一部の視聴者にとって不自然と受け取られる可能性がある。
フジテレビの17日の「NEWS イット!」では同局の宮司愛海アナが「会社に対してはもちろん、調査はもちろんですけれども、社員に対する説明もしっかりと真摯に行って、それを真摯に公表してほしいと思っています」と語っている(Sponichi Annex・フジ宮司愛海アナ、生放送で訴え「傷ついている仲間が多くいる」「社員に対する説明を真摯に、公表して」)。椿原アナも同じことは言えたであろうし、制作サイドも当事者に最も近い位置にいる女性アナとして発言させるのが視聴者の信頼に応える方法であることぐらい理解すべき。
いずれにせよ、この日のワイドナショーは、フジテレビがこの問題について真剣に解決しようと思っているのか疑われるような、お粗末な作りと言うしかない。
なお、スポンサーについては、コーナーの後の紹介で「Satellite Office(サテライトオフィス、以下SO)」と「dip」の2社がコールされた。その直後のCMは「SOーSOードミノピザーAC JAPAN(旧公共広告機構)ー日本赤十字ーカナデビアーGeekly」の6本であった。AC JAPANの部分は広告を拒否した会社のものが入る部分だった可能性はある(参照・社長会見という名の茶番 スポンサー逃げ出す)。
フジテレビの経営陣は、今、自らが置かれた立場がどのようなものなのかを理解すべき時である。この日のワイドナショーを見る限り、彼らには何が問題なのかが全くわかっていないのではないかと思わずにいられない。