日本なんて問題にならない台湾の嫌韓「また韓国か!」燃え上がるネット世論
葛西 健二🇯🇵 @台北 Taipei🇹🇼
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新型コロナウイルスが世界的な規模で広がりつつある中、政府発表を巡って台湾国民による韓国への非難が強くなっています。もともと、台湾は嫌韓感情が強いことで知られています。台湾の嫌韓は日本の比ではありません。近年のスポーツ国際試合での因縁もあり、燃え上がっている台湾の嫌韓の実情をお伝えします。
■韓国政府の虚偽の発表にネット炎上
発端は2月11日、韓国政府が「台湾を含む6カ国で新型コロナウイルスの市中感染が確認された」と発表したことです。これに対して台湾外交部は同日、韓国政府に訂正を求めました。翌12日にはWHOのタリク・ジャサレヴィッチ報道官も台湾で市中感染が確認されたことはないとしました。
韓国はこの類の表現をよくやります。昨年8月、韓国政府が日本から廃プラスチックなどリサイクル用廃棄物を輸入する際に放射能検査を強化する旨、発表しました。これに対して在韓日本大使館はソウル市の放射線量が東京や福島市より高いことを示すという強烈なカウンターパンチを見舞ったのは記憶に新しいところです。
今回の韓国政府による虚偽の事実の発表に、台湾のネットでは一気に韓国批判が巻き起こりました。2月16日時点ですが、新型コロナウイルスの感染者の数は韓国28人に対して台湾は18人です。
「韓國比我們慘吧(韓国の方が俺たちより悲惨だろ)」
「韓國病例比台灣多,還敢這樣講(韓国の症例は台湾よりも多いのに こんなこと言えるのか)」
「又韓國 不意外(また韓国か、驚かないよ)」
■嫌韓の原因は1992年台韓断交と韓国車売りつけ
私は20年以上台湾に住んでいますが、台湾の人の韓国嫌いは日本の比ではないと感じます。現に「私は韓国が好きだ」と胸を張って言う人に出会ったことがありませんし、「韓国が嫌い」と公言する人がかなりいます。私の感触ですが、5人中3人は公然と韓国嫌いを口にします。
この嫌韓は、1992年の国交断絶を巡る騒動が原因の1つです。当時の韓国の盧泰愚大統領が中国と国交を樹立し、台湾と一方的に断交。その前に危機感を抱いた台湾は大量の韓国車を購入して韓国を引き止めようとしましたが、その直後に断交が行われたのです。車を大量に買わせた挙句に断交し、ソウルの大使館員は即日の国外退去処分という屈辱的な扱いをしました。
私は1998年に台湾に来てから、この「韓国車売りつけ」と「突然の断交」に関してはいろいろな人から聞かされました。多くの人が「韓国が嫌い」というフレーズを発するのを何度も耳にしました。せめて、自動車を売りつけずに断交していればと思うのですが…。
その後、偶然なのか必然なのか分かりませんが、スポーツの国際試合で韓国との軋轢も多くなっています。2010年アジア大会の女子テコンドーでは台湾の楊淑君選手がベトナム選手との試合で失格になりました。この判定に韓国が介入していたとの報道がなされ、韓国製品の不買運動が起き、台北の韓国人学校にはタマゴが投げつけられるという事件も起きています。
2013年に開催された第3回ワールドベースボールクラシック(WBC)では韓国選手のラフプレーが問題になり、抗議のプラカードが掲げられたり、韓国の国旗を燃やしたり、過激なパフォーマンスが行われました。
■プレミア12台湾ー韓国のアツい戦い
昨年11月12日に行われた世界野球プレミア12、台湾は因縁の韓国と対戦。この日、私は仕事で高雄のデパートにいたのですが、試合時間になるとスタッフもスマホをちらちらと観て、館内も人がまばらになりました。多くの人が韓国との試合を観るために早々に帰宅したようで、スタッフも仕事どころではないという感じでした。日本人は(仕事中に何だ)と思われるかもしれませんが、これが良くも悪くも台湾の緩いところです。
台湾が7-0で完勝すると街中で「ワッ!」という歓声が起こり、人々が喜び合いました。私のスマホには台湾の知人からはl「台湾勝利」のメッセージが何通も届きました。
中には「日本に負けるのはしょうがないけれど、何より韓国に勝ったことが一番嬉しい」とのメッセージもあり、台湾の人々の韓国に対する特別な思いを感じました。
理不尽な国交断絶は台湾社会に大きなショックを与え、強烈な嫌韓の気持ちを生み出したのは間違いありません。それをリアルタイムでは知らない若年層は、昨今のスポーツ大会における韓国のモラルが欠如した行為によって韓国にマイナスのイメージを抱くようになり、新たな「韓国嫌い」を生み出しました。
こうして現在の台湾社会は総じて韓国に対し良いイメージを抱いていない状況となっているのです。
■韓国籍の友人はいい人ばかりだが…
新型コロナウイルスの韓国政府の発表に台湾の国民が一斉に反発したのも、以上の諸事情と無縁ではないでしょう。
個人的な話をすれば、台湾在住の韓国籍の友人は皆、誠実で親切、良き友人です。私が台湾で知り合った外国籍の人々は皆、お互いを尊重する気持ちを持っています。台湾でのマイノリティとしての存在(外国人)同士、時には台湾人よりも互いを信頼し助け合います。台湾にしろ韓国にしろ日本にしろ、自分の国(安全な場所)にいるから声高に他国を悪く言えるのではないでしょうか。
安全な場所(自分の生まれ育った国=故郷)を離れ、他国で「外国人」として過ごせば、また違った見方ができるようになると思います。