「カナダ・デンマークは日本より死者数が少ない」と言う人へ…増加のペースは?

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 新型コロナウイルスによる感染症の拡大で、当サイトでは死者数こそが重要と主張してきた。日本は感染拡大が早期ではあったが、死者数では世界で19番目と抑えている。3月28日現在、日本より死者数が少ない国との比較では、どのような位置付けになるのかを見た。(データは日本経済新聞「新型コロナウイルス感染 世界マップ」)

■罹患しても死ななければ元の生活に戻れる

(表1)各国の死者数(3月29日公表分まで)

 新型コロナウイルスによる感染症に罹患しても、治療で回復すれば元の生活に戻れる。原状回復ができればいいのであって、極論すれば感染しても死ななければいい。感染して感染者数が増えたら終わりではなく、そこからいかに生命を維持し治癒させるかも重要な新型コロナウイルス対策である。

 そして感染者の数は正確には把握できないが、死者はかなり正確に把握できることから、その感染拡大の影響を正確に把握できるという側面もある。

 そのため当サイトでは各国の死者数を日々、お伝えしてきた。3月28日現在の日本の死者数は54名。3月8日時点では7名だったので、8倍近くになっている。しかし、同じ3月8日時点で10名だったスペインは5690名、11名だった米国は1246名と激増している(表1参照)。

 こうした状況から「日本の新型コロナウイルス対策は各国に比べて概ねうまく行っている」と書いてきた。しかし、日本より死者数が少ない国も存在する。そうした国に比べると、うまく行っていないのではという考えもある。

■日本より死者数が少ない4か国との比較

(表2)日本と日本より死者数が少ない国との比較

 そこで、3月28日現在、日本より死者数が少なく、数字が近い4か国(デンマーク、カナダ、イラク、フィリピン)と比較してみた。各国で感染が拡大していった時期が異なり、単純な数値の比較はできないため、死者が10名以上となった日を基点にし、1週間後まで毎日と、10日後、2週間後の数値をグラフにしてみた。それが表2である。

 まず各国の3月28日現在の死者の数と、死者数が10人以上になった日を下記に示す。

日本:54名(3月11日に13名)

デンマーク:52名(3月22日に13名)

フィリピン:45名(3月16日に12名)

イラク:40名(3月18日に11名)

カナダ:39名(3月22日に13名)

 デンマークとカナダは10名以上になった1週間後の数字で日本(31名)を上回っている(デンマーク52名、カナダ39名)。イラクは10日後に40名で日本の36名を上回った。唯一、日本より死者数の増加が少ないのがフィリピンだが、10日後に35名で1名少ないだけである。

■デンマーク・カナダは日本を超えるペースで死者数増加

 以上の点から、この先、同じようなペースが続けデンマークとカナダは死者数で日本を超えてくるものと思われる。イラクも同様で、フィリピンも可能性はある。

 このグラフからも日本は感染拡大が早期であったにしては死者数の増加を抑えているということは言えるのではないか。

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