「これこそ日本人なんだ」by台湾

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葛西 健二🇯🇵 @台北 Taipei🇹🇼

葛西 健二🇯🇵 @台北 Taipei🇹🇼

京都産業大学外国語学部中国語学科、淡江大学(中華民国=台湾)日本語文学学科大学院修士課程卒業。1998年11月に台湾に渡り、様々な角度から台湾をウオッチしている。

 台湾のネットで”日本アゲ”のコメントが出ています。新型コロナウイルスの影響で海外駐在者らの帰国が困難になる中、日台が協力してチャーター機に相手国の国民を搭乗させる助け合いが続いていることに対するものです。

■サウジアラビア滞在の台湾人11名が東京へ

台湾のサイトにアップされた日台友好のマーク

 4月28日、サウジアラビアに滞在する台湾人11名が日本の用意したチャーター機に搭乗し翌29日東京経由で台湾へ帰国しました。 サウジアラビアでは3月から国際線が一時運休。台湾駐サウジアラビア代表処(大使館に相当)が同国に滞在する台湾人帰国に向けて関連機関に働きかけていたところ、日本側の支援により日本帰国者用のチャーター機に搭乗させることができたというものです。

 台湾外交部の欧江安報道官は29日、日本側の協力で自国民が無事帰国できたことに深い謝意を示すとともに「這也充分印證台灣跟日本關係的緊密友好與相互扶持  (これは台湾と日本の緊密な友好と相互扶助の関係を十分に証明している)」と親密な日台関係に触れました。この報道に関して台湾のネットは概ね好意的です。

真好!台日友好 (ホントによかった!台日友好)

台日友好,願友誼長存 (台日友好、友情がいつまでも続くことを願う)

支持台日建交啦! (日本との国交樹立支持!)

 このように両国の友好関係を称えるコメントや、可愛いキャラクターが手を合わせる「我々は永遠の友」のマークも貼られるなど、台湾の人々が日本に好意的であることが伝わってきます。

■ペルー脱出の際は台湾チャーター機に日本人搭乗

Facebook中華民国外交部が4月2日に投稿した写真から

 この種の問題で両国の協力関係が始まったのは1か月前からです。3月28日、台湾人55名がペルーから出国するため台湾政府が手配したチャーター便に、日本人29名を含む外国籍84名(米、マレーシア、シンガポール)が搭乗し米マイアミへ移動しました。この時は菅義偉官房長官が3月30日の記者会見で「台湾に対し深い謝意の念を伝えた」と述べています。

 このような経緯があるためか、台湾のネット上では「助け合い」や「恩に報いる」といったコメントも出ていました。そんな中、5月1日、あるFacebookユーザーが「台灣幫日本 日本連本帶利回報台灣  (台湾は日本を手助け 日本はそれ以上の恩返し)」という投稿をしました。

曾韋禎氏のFacebookページから

 このユーザーは「ペルーの件で台湾は1機のチャーター機で29名の日本人を助けただけだが、日本は5機のチャーター機で36名の台湾人が搭乗した」と述べ、「台湾の手助け」とその後の「日本のそれ以上の恩返し」を表にして掲載、「台灣能夠幫忙日本的,日本的回報,完全遠遠多過台灣當初給的。 (台湾は日本を手助けしたが、日本の恩返しは台湾がしたことよりも遙かに多い)」と指摘しています。

 このユーザーが掲載した表に記されているように、4月1日に12名、2日に4名、3日に1名、合計17名のインド滞在台湾人が日本側の手配した航空機に日本人と共に搭乗し、インドのデリーから東京経由で台湾へ帰国しています。

 続く4月4日にはフィジー在住の8名の台湾人が日本人と共にフィジー航空チャーター便で東京へ、その後台湾に帰国しました。

 以上のように、日本側の支援を介しての台湾人帰国は合計5回です。手助けは回数や規模で比べられるものではありませんが、このFacebookユーザーはこれを「日本の恩返しが遙かに多い」と感じたのでしょう。

■相互扶助を強調する台湾政府の狙いは?

 そもそも、こうした協力関係は回数で比べられるものではありませんが、これら5件につき台湾外交部は「相互扶助」を強調しています。(我々は一方的に助けを受けているのではない)という部分を確認するのは国の姿勢として当然なのでしょうが、それに加えて今後の対中関係を考えての「台日友好」をアピールする狙いも含まれているのかもしれません。一方、台湾のネットの声は以下のようなものがありました。

連本帶利的還,這就是日本人 (貰った物以上を返す、これこそ日本人なんだ)

台灣幫忙不求回報、日本報恩不計成本 (台湾はリターンを期待しない手助け、日本はコスト度外視の恩返し)

日本永遠加倍奉還 誰會不喜歡這樣的朋友!! (日本はいつでも倍返し こんな友人嫌いになるわけない)

9年過去了日本人還在感謝311大地震台灣人民伸出援手  日本就是台灣在亞洲最好的朋友 ( 9年が過ぎた今でも日本人は東日本大震災の時の台湾人の援助活動に感謝している。台湾のアジアで最も仲の良い友人それが日本だ)

 ほとんどが義理堅く恩を忘れない日本人の姿勢を高く評価しているのは、日本人としては嬉しい限りです。もっとも、それは台湾の人にも当てはまると思います。台湾人も義理堅く「互相幫忙 (助け合い)」を美徳と考え人情に厚い人が多いように感じます。

 1999年9月21日に台湾中部で発生した「921大地震」で日本は大規模な国際消防救助隊員チームを他国に先んじて現地に派遣し救助救援にあたりました。そして東日本大震災の際には、911大地震時の恩返しとの思いと互助の精神から、日本へ多くの寄付金や支援物資が送られています。日本と台湾は同じような道徳観や価値観を持ち、助け合いの精神で繋がっていると思います(参考:3・11から新型コロナ禍へ続く日台友好「一起抗疫、一起加油」)。

■利害関係ではなく信頼関係

 何回助けたとか、どちらが助けた人数が多いとかではないのが、本当の友好関係たる証しなのでしょう。「日本の方が助けた方が多い」という内容の投稿は、損得など関係のない、両国が利害関係ではなく信頼関係をベースに行動していることを強調する意図ではないかと思われます。

 台北在住日本人の1人として、日本と台湾、これからも「好鄰居 (良きお隣さん)」として「互相幫忙 (助け合い)」ながら良好な関係を保ち続けて欲しいと願っています。

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