チュンチュン呉函峮と素顔の台湾チアの魅力
葛西 健二🇯🇵 @台北 Taipei🇹🇼
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皆さんは「チュンチュン」をご存知でしょうか。台湾プロ野球で最も人気が高いチアリーダーで、日本でも若い男性を中心に人気を集めています。本名・呉函峮、愛称・峮峮(チュンチュン=Qunqun)です。今回は台湾のチアリーダーの人気とプロ意識をお伝えします。
■チュンチュン・Qunqun・峮峮「スッキリ」出演
チュンチュンさんはそのルックスと明るい笑顔で台湾では高い人気を誇ります。日本でも知られるようになり、週刊ヤングジャンプ2019年12月5日号で「台湾No.1チアガール初登場」というコピー付きで表紙に起用され、今年3月5日号に再登場しました。4月20日にはスッキリ(日本テレビ系)に、テレビ電話で出演しています。
本名・呉函峮(ご・かんくん=ウー・ハンチュン)、1990年4月19日生まれの30歳。「大學生了沒」(中天電視=CTi TV)にレギュラー出演して知名度がアップ、SNSサイト「無名小站」の2010年「十大正妹(美女ベスト10)」投票では第8位に選ばれました。台湾では10年前から、注目度が高かった人です。
いったんは学業(南台科技大学=台南市)に専念したものの、卒業後、芸能活動を再開。2016年に台湾プロ野球の中信兄弟のチアリーディングチーム「Passion Sisters」に加入しました。もともとテレビ番組で注目されていましたから、球場内外で人々の目を引くのは当然でしょう。ほどなくブレイクし、現在、Instagramのフォロワーは35万人を超えています。
2019年8月に発売されたファースト写真集「一見峮心(一見鍾情=一目惚れと音をかけている)」(撮影・黄天仁、ロケ地:北海道)は初日発売のプレミアム版は5分で完売。台湾国内で2万部を超える大ヒットとなりました。日本でも発売され、2週間で売り切れたため追加輸入されたそうです(ニッポン放送HPから)。
彼女が日本のメディアを通じて、日本のファンにメッセージを送ったことは台湾でも報じられています。
希望你們一直保持正面的能量!一起努力防疫,相信下雨過後一定會出現彩虹的 我會在台灣為你們加油打氣,也非常期待與你們見面那天的到來喔
(いつでも前向きに!一緒に防疫対策をしましょう。雨が止んだら虹が必ず現れます。台湾で日本の皆さんを応援しています。会える日が来るのを楽しみにしています。)
■台湾の楽天にも人気のチアリーダー
台湾には5つのプロ野球の球団があり、各チームにチアリーディングチームがあります。多くのチアリーダーは球団としての活動以外にも映画やバラエティー番組に出演したり、YouTuberとして活躍したりしています。チアリーダーとなる前からモデルや歌手として知られていた人も少なくありません。チュンチュンさんもその一人です。
今年、楽天モンキーズ(旧Lamigoモンキーズ)の「Rakuten Girls」に新加入した筠熹さん(本名:鄭宜婷)は、かつて踊りながら天気予報をする”お天気アイドル”として人気を博した「ウェザーガールズ」の1人、嗨獎(ハイジャン=芸名)として活躍していました。 テーマにちなんだ衣装を着用して踊る斬新さや萌え感が日本の男性に受け、ウェザーガールズとして2012年に日本でCDデビューしています。
筠熹さんはその後、台湾に戻りテレビ番組の司会、CM、ドラマなどで活躍し、今年はチアリーダーの仕事も始めたというわけです。
私は一昨年から同チームの本拠地の桃園野球場内フードコートでたこ焼き店を出店しています。そこで驚いたのが、試合を見に来る日本人の多さです。現地在住の方もいますが、台湾旅行で野球観戦に来る日本人が予想以上に多いのです。
その中でも複数の方が「試合もだけれど、人気のチアリーダーを見に来た」と言い、中には「今日はスタンドかぶりつき」と息巻く猛者もおり、あらためてその人気の高さを実感しました。
ウェザーガールズは、私もそのアイデアと映像の斬新に興味を惹かれ2010年の配信開始から追っていました。2011年頃からは日本のネット民の間でも話題となっており、匿名掲示板2ちゃんねる(現5ちゃんねる)にウェザーガールズ関連スレッドが立てられていました。当時のスレッドから抜粋したコメントがいくつか手元に残っていたので、紹介します。
「レベル高すぎワロチ」「台湾の未来は明るいな」「台湾に移住したらなんか幸せになれそうな気がする」
■球場で応援 ファンに混じって電車で帰宅の気さくさ
台湾でのチアリーダーは年齢、性別を問わず幅広い層から支持を受けています。それは、彼女たちの元気で明るい応援が試合を彩るだけでなく、観客の声援を一つにまとめあげる大切な存在であるからです。
笑顔で元気よくダンスやコールを行い、観客もそれに合わせて歌い、踊りながら応援することで球場に一体感が生み出されます。お客さんとの適度な距離感・一体感を大事にしており、イニングの間の休憩時や試合前後は観客の人たちと写真を撮ったり、声援に応えたりしています。
各球場には彼女たちを間近に捉えるためのカメラも用意されており、試合中継ではカメラに向かい各選手の応援歌に合わせ振り付けを踊る彼女たちの姿も流されます。台湾プロ野球におけるチアリーディングチームとは、球場に足を運ぶファンだけではなく、試合中継を見るファン達の声援もまとめあげ一つにする特別な存在であると言えるでしょう。
そして、試合が終わると、電車でファンに混じって帰ります。間近で見ていると(可愛らしく気さくでいい人達)そのものであることが分かります。
■新型コロナウイルス禍で見せたプロ意識
台湾プロ野球は4月12日から無観客による開催が始まり、5月8日からは各球場上限付きの観客入場を解禁しました。中央感染症指揮センターは5月26日に、6月中旬には観客入場制限も外される見通しであると発表しました。近いうちに各球場に昨年のような賑わいが戻ってきそうです。
約1か月の無観客試合の期間も、チアリーダー達は試合前にはピッチでダンスパフォーマンスを行い、開始後はスタンドから元気に踊って選手を応援、カメラの向こう側にいるファンにも声援を送るなど、無観客の球場を明るくし、試合を盛り上げようと頑張っていました。
そのプロフェッショナルな姿勢には野球ファンだけでなく一般の人からも高く評価され、台湾プロ野球におけるチアリーディングチームの重要性があらためて認識されたと言っていいでしょう。
そんな彼女たちの姿を見てきた者としては、チュンチュンさんのように日本でも注目されるチアリーダーが出たことは嬉しいものがあります。同時に、新型コロナウイルスで変則的な開催となった中、彼女たちが変わらぬ笑顔でパフォーマンスを見せていたプロ意識も知っていただければと思っています。