WBC最強は侍ジャパンと台湾「經典女孩」

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葛西 健二🇯🇵 @台北 Taipei🇹🇼

京都産業大学外国語学部中国語学科、淡江大学(中華民国=台湾)日本語文学学科大学院修士課程卒業。1998年11月に台湾に渡り、様々な角度から台湾をウオッチしている。

 野球の世界一を決める戦い、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の3月の開幕を控え、台湾は盛り上がっています。2006年の第1回から5大会連続でWBCの出場となる台湾は1次ラウンドでオランダ、キューバ、パナマ、イタリアと対戦し、上位2か国が進出する準々決勝ラウンドを目指します。初戦は3月8日、パナマが相手です(台中市・インターコンチネンタル野球場)。

■打撃4部門トップの林立ら36人招集

呉哲源選手(中信ブラザーズyoutubeチャンネル画面から)

 1月13日、CPBL(中華職棒大聯盟)は台湾代表の合宿参加メンバー36人を発表しました(CPBL在籍28名、国外リーグ在籍8名)。CPBLからは、打撃4部門でリーグトップとなり年間MVP獲得の林立、防御率2.33で台湾投手として8年ぶりにトップに輝いた黄子鵬(ともに楽天モンキーズ)、今季シーズン11連勝と大活躍し、年間優勝の立役者となった呉哲源(中信ブラザーズ) などが選出されました。

 海外組からは、メジャーリーグベースボール(MLB)所属で、4球団合計69試合に出場し現在FAの張育成、鄧愷威 (サンフランシスコ・ジャイアンツ)、鄭宗哲 (ピッツバーグ・パイレーツ)が選ばれました。また日本野球機構(NPB)所属では、宋家豪(楽天イーグルス)、張奕、呉念庭(ともに西武ライオンズ)、王柏融(日本ハムファイターズ)の4選手が代表メンバーに名を連ねています。

 また、日本でも知名度が高い元西武ライオンズの許銘傑氏が投手コーチに、アジア人史上初の最多勝利の快挙を成し遂げた台湾の英雄、元ヤンキースの王建民氏がブルペンコーチに就任しており、コーチ陣も豪華な顔ぶれです。

 3月11日の台湾対オランダ戦の内野ホットシート限定販売では、販売開始から僅か10分間で5000枚が売り切れました(聯合新聞 2022年11月29日付)。精鋭揃いのドリームチームに対する期待の高さが窺えます。また台湾のネットでは代表チームに関して熱い議論が交わされています。特に今回は投手を中心に若手選手が多く抜擢されていることを期待とする一方で、

投手抗壓性有待加強 (投手のプレッシャー耐性を更に鍛えないと)

 と若さ故に経験値の少なさ故にプレッシャーに負けるのではと危惧する声や、

至少要有一個有經驗的老將、不一定要先發、至少有穩定軍心的效果 (チームを落ち着かせる為にも少なくともベテラン1名が必要、先発しなくてもいいから。)

と、ベテラン不在を不安視する声も複数見られました(コメントは  Yahoo奇摩ニュースPTT 批踢踢實業坊 から)。

■史上最強の侍ジャパン 四人のエースと三人の四番

 台湾のメディアはWBCの優勝予想として、「過去に例のない最強豪華布陣」(聯合新聞網 2022年12月27日付)の日本代表を分析、優勝候補に挙げています。台湾メディア「TVBS」は、大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)、ダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)、山本由伸(オリックス・バファローズ)そして、佐々木朗希(千葉ロッテ・マリーンズ)を「4強投 (四大エース)」とし、攻撃陣では村上宗隆(東京ヤクルト・スワローズ)、鈴木誠也(シカゴ・カブス)、そして大谷を「4棒海  (四番/強打者)」と位置づけています。

 その上でこのような史上最強の顔ぶれが、栗山英樹代表監督の選手配置・起用に際し「甜蜜的煩惱  (嬉しい悩み)」になるだろうと評しています(TVBS新聞網 2022年12月27日付)。

 他国のメンバーにまで関心を寄せるのは、台湾で野球観戦が馴染みの深いレジャーであることと無縁ではないでしょう。CPBLは、各チーム特色ある熱い応援スタイルと、終盤までもつれ込むリーグ戦の優勝争いで毎年盛り上がり、多くの人を魅了しています。また国際試合では台湾中が一丸となって代表チーム「中華台北」を応援します。中でも台湾がベスト8入りを果たした2013年の第3回大会は、屈指の名勝負と評される台湾対日本戦(台湾3−4日本、日本vs台湾の野球試合で起こった実話【日台友好】)で大いに盛り上がりました。

 私はそのときちょうどスポーツジムにいたのですが、皆がモニターの前に集まり運動そっちのけで中華台北の活躍にエールを送っていたのが印象的でした。また近年では2019年世界野球プレミア12、因縁の韓国との対戦にも国中から熱い視線が注がれました。試合は台湾が7-0で韓国に完勝、試合終了と同時に街のあちこちで「ワッ!」という歓声が起き起こりました。

 台湾では今回が2年越しの国際大会参加となることも盛り上がる要因の1つでしょう。2021年の五輪最終予選は新型コロナウイルス感染拡大のため出場辞退、2022年3月に開催予定であった日本との親善試合は中止となり、野球ファンをがっかりさせました。

 野球ファンのフラストレーションが溜まる中、今回、地元で1次ラウンド開催ということで、人々の関心はいやが上にも高まります。昨年11月20日の時点で1次ラウンド計9試合が行われる台中市のインターコンチネンタル野球場の一塁三塁内野席の6列目まではすでに70%が売れる人気となっています(TSNA體育新聞 2022年11月21日付)。

■V確実? 台湾代表チア「經典女孩(クラシックガールズ)」

 元気で明るい台湾プロ野球の各チアリーディングチームは日本でも知られています。特に中信ブラザーズのチュンチュン(呉函峮)さん、楽天モンキーズのYuri(陳怡叡)さんが人気を集めています(参照・チュンチュン呉函峮と素顔の台湾チアの魅力)。

經典女孩、中央がチュンチュンさん(悍創運動行銷 Facebookから)

 今回のWBCでは台湾代表チアリーダーとして「經典女孩 (クラシックガールズ)」を結成、チュンチュンさんやYuriさん、林瑟七さん(統一セブンイレブン・ライオンズ)、慈妹さん(富邦ガーディアンズ)など、各球団から21名の魅力的なチアリーダーが集いました。

 今大会では台湾代表の試合に登場、中華民国国旗の色である青、白、赤を基調とした色鮮やかなユニフォームに身を包み、華麗なダンスや元気なコールで球場に一体感を生み出し、台湾代表の活躍を後押しします。ネット上では

這個陣容真的無懈可擊 (このメンバーなら向かうところ敵無しだね)

最強夢幻隊伍無誤 (最強のドリームチーム、間違いない)

台灣絕對經典賽冠軍~啦啦隊的部分 (台湾は絶対WBCで優勝だね、チアリーダーの方だけれど)

と、台湾代表チアリーダーに対する賛辞と自信溢れるコメントが多数寄せられていました(コメントはFacebookから)。

 開幕まであと僅か、2年越しの野球台湾代表の活躍に期待を寄せる台湾です。

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