Colabo問題に答えない東京都 やる気あるのか

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

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青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。
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 東京都は22日までに、一般社団法人「Colabo(コラボ)」(仁藤夢乃代表理事)の問題に関する当サイトの取材を拒否した。既に公表された住民監査請求監査結果について問い合わせをするも、監査対象局である福祉保健局、監査を行なった監査事務局ともに口を閉ざした。一連のColaboに関する問題の背景を解説し、問題点を明らかにする。

■若年被害女性等支援事業がスタート地点

Colabo仁藤夢乃代表理事(のりこえねっとTube画面から)

 Colabo(コラボ)は2011年に設立され、2013年に法人化された。「すべての少女が『衣食住』と『関係性』を持ち、困難を抱える少女が搾取や暴力に行き着かなくてよい社会を目指して活動」(Colabo公式サイト・私たちの活動 から)するNPO法人である。

 夜の街を巡回し、家に帰れずにいる少女に声をかける「夜間巡回」や、10代女性限定の無料カフェ「夜カフェ」などを行い、食事提供、物品提供、同行支援などの基礎的支援、10代女性が、一時的に過ごすことのできる場所となるシェルターの運営などを行なっている(同)。

 性的な被害に遭いやすい若年女性の救済は、行政だけで行うのは限界があり、こうしたNPO法人が果たす役割は小さくない。国は「若年被害女性等支援事業」を平成30年(2018)度から実施。当該事業は公的機関と民間団体とが密接に連携し、個々のケースに応じたきめ細かな支援を行う仕組みを構築することを目的とし、都道府県等が実施主体となり、同年度からモデル事業を開始した。令和3年(2021)度からは国が本格実施を開始、都ではこれに合わせて都が主体となって実施している。

 平成30年7月2日、都は「平成30年度東京都若年被害女性等支援モデル事業実施要綱」を制定し、その後、Colaboら3団体と委託契約を締結した。契約期間は1年で、毎年更新されていたが、令和3年度は当該事業は競争入札に適さないとして事業の一部を委託する団体を募集、その契約金額は2600万円を上限とすることとし、Colaboと契約を締結している。

 Colaboは四半期ごとに事業の「実施状況報告書」を提出し、都は適正と認められるとして承認。第2四半期の報告書が提出された後、同年11月24日に委託料2600万円を概算払する決定を行なった。最終的に令和4年(2022年)4月1日に委託完了届及び精算書、実施状況報告書の提出を受け、5月10日に既交付額2600万円、精算額2600万円、差引額0円を決定した(この項は 東京都若年被害女性等支援事業について当該事業の受託者の会計報告に不正があるとして、当該報告について監査を求める住民監査請求監査結果、以下、本件監査結果 から)。

 なお、監査委員は伊藤ゆう氏(主査監査委員・都民ファーストの会)、伊藤こういち氏(都議会公明党)、茂垣之雄氏(代表監査委員・元警視庁生活安全部長)、岩田喜美枝氏(津田塾大学理事)、松本正一郎氏(公認会計士)の5名である(東京都監査事務局・東京都の監査委員紹介 から)。

■監査委員が出した勧告の内容

 住民監査請求の結果には「容認」「棄却」「却下」の3種類があり、容認された場合は監査委員は期間を示して必要な措置を講ずる勧告を行う。棄却は請求人の主張に理由がないとして請求を退けるもので、却下は住民監査請求としての要件を欠いているとして訴えを退けるもの。

 このColaboの会計報告に多くの疑義があるとして、アカウント名・暇空茜氏が住民監査請求(地方自治法242条1項)を行い、監査委員が容認して監査対象局(東京都福祉保健局)に対して勧告(同5項)を発したのが、いわゆる「Colabo問題」である。

 本件監査結果に示された勧告内容は以下の2点。

令和5年2月28日までに、

(1)監査対象局は、本件契約に係る本事業の実施に必要な経費の実績額を再調査及び特定し、客観的に検証可能なものにすること。

(2)調査の結果、本事業として不適切と認められるものがある場合や委託料の過払いが認められる場合には、過去の事業年度についても精査を行うとともに、返還請求等の適切な措置を講じること。

 また、それ以外に6点の意見が付されている。その中には、たとえば「概算払による資金の交付について契約書に通常記載されるべきである『本件事業に係る委託に要する経費以外に流用しない』旨を契約書において明らかにしておくこと。」などがある。

 住民監査請求が容認されることは珍しい。少々、古いデータになるが、平成19年(2007)度と平成20年(2008)度で、全国で出された監査請求1798件のうち、勧告を行ったもの(容認)は91件と5.1%に過ぎない(総務省:住民監査請求・住民訴訟制度について から)。

 この数値をどう捉えるかであるが、公的機関が公金の支出や契約の締結等をする場合は相応の手続きを経て行なっているわけで、それが結果として違法もしくは不当な支出、契約の締結等になる場合はそれほど多くないということであろう。ただし、委託事業の末端の細かい部分までチェックするのは、特に東京都のようなマンモス自治体であれば目が行き届かないことは起こり得るのは容易に想像がつく。そうした諸々の状況から5%という数字になるのであろう。

 東京都での住民監査請求が容認されたのは2016年8月に舛添要一前知事が公用車を私的に利用したとして、経費の返還請求を勧告して以来とのことである(朝日新聞DEGITAL・都監査委員、再調査を勧告 都事業受託した女性支援団体の会計)。

■東京都はやる気があるのか

 ここで問題になるのは、監査対象局(東京都福祉保健局)が実際に勧告に従うかどうか。監査委員が出した勧告は法的拘束力も、強制力も有しない。ただ、尊重する義務があるだけとされる(東京都監査事務局・住民監査請求に基づく監査 から)。

 この点について税を負担する都民が納得いくような再調査及び特定ができるのか、する気はあるのか、東京都に直接聞くことにした。まず、監査対象局である福祉保健局に取材を申し入れると「監査に関することでしたら、監査事務局でしょう」として、事実上、回答を拒否。電話を監査事務局に回され、同局では「個別の事案についてはお答えしません」とのことであった。

 監査結果は公になっていて、勧告に対しては少なくとも尊重義務があるとされているのであるから、「適切な対応をする」ぐらいは答えても良さそうなものであるが、それすらしないで電話を一方的に他局に回す福祉保健局が、本当に勧告に向き合う気があるのか疑わしい。

 なお、Colaboの弁護団は既に「本件監査においては、なんら違法行為は確認されず、監査請求人が主張した事実のほとんどは認定されませんでした。一部について「不当」との指摘がなされましたが…より透明性の高い行政に向けた、担当部局に対する改善の指摘というべきものにすぎません」との声明を発表している。

■刑事責任の追及は?

東京都はどのような結論を出すのか

 仮に福祉健康局が勧告に対する措置を実施したとしても、その内容に不満な場合は、住民訴訟へ、司法の場に舞台を移すことが確実。実際に暇空茜氏は住民訴訟の提起の意向を公にしている(デイリー新潮・「Colabo問題」追及で7000万円の支援金を集めた男性が独占告白「これはネット界におけるウクライナVSロシアの戦争です」)。

 この場合、住民訴訟を提起できるのは住民監査請求をした者であるから、暇空茜氏以外には提起できない(242条の2第1項柱書き前段、第4項)。おそらく、同氏は相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを執行機関に求める請求(242条の2第1項4号)をすると思われる。なお、同氏は1月21日にツイッターで訴訟提起を明らかにした(暇空茜氏ツイート・2023年1月21日午後2時12分投稿)。

 個人的にはここまでの報道やネット上でのやり取りを見る限り、刑事告発(刑事訴訟法239条1項)してもいい事案のように思える。公金を詐取した詐欺罪(刑法246条1項)の疑いはあるように感じるがいかがであろうか。告発は「何人でも、犯罪があると思料する」(刑事訴訟法239条1項)場合は可能であり、住民訴訟の原告適格のような制約はない。そのような方向で事態が進んでいく可能性も否定できない。

"Colabo問題に答えない東京都 やる気あるのか"に1件のコメントがあります。

  1. 野崎 より:

    ああインターネット無かりせば、の思いひとしおです。

    この問題の詳細は把握しておりませんが単に会計上の問題のみならず、その背景、人脈、女性問題以外の活動、関わり等、特に赤い羽根共同募金の問題もネットでは指摘されているようですね。

    中核を成すファシスト共にセミファシスト共が群れ集まっている感があります。

    暇空茜氏なる人物を知りませんが、ここは敵の敵は味方!との位置づけで武運長久を祈るところです。

    ご返信は不要です。

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