グレタ・トゥンベリ16歳 環境団体のパペットに振り回される国際社会とメディア

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松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵

青山学院大学大学院法務研究科卒業。1985年から2014年まで日刊スポーツ新聞社に勤務。退職後にフリーランスのジャーナリストとして活動を開始。

 スウェーデンの16歳の少女グレタ・トゥンベリ(Greta Thunberg)さんが9月23日のニューヨークで行われた国連気候行動サミットでの演説と、その後のドナルド・トランプ米大統領とのニアミスの際の不快な表情が大きく伝えられている。彼女の言動、主張する手法は日本でも良く用いられる「子供を使った政治主張」に他ならないと思う。その背後には巨大な政治権力争いが透けて見える。

■ヨットで15日間かけて16歳の少女がNY入り

16歳の女子高生は操り人形?サイト「The Babylon Bee」より

 9月24日の夜のニュースはグレタ・トゥンベリさんの演説を英雄的な行為として扱うものがほとんどであったようだ。16歳にして環境保護活動に身を投じ、激しい言葉で環境保護に消極的な勢力を攻撃する姿はメディアにとって格好の”素材”ということで、重宝されたのであろう。朝日新聞の9月25日付けの社説は「気候サミット 若者の怒りを受け止めよ」とトゥンベリさんの訴えを扱っている。

 この映像を見て「スウェーデンの女の子はすごい」と感じた人は少なくないと思う。しかし、彼女が二酸化炭素を排出しないヨットで15日間かけてニューヨークにやってきたという部分を聞いた時に(え!?)と違和感を覚えた人もまた、少なくないのではないだろうか。

 16歳の少女が一人で大西洋を横断するなど無理な話であり、周囲に彼女をサポートする人たちが多く存在することを示している。それは資金面や航海技術だけでなく、それ以外の部分にも及ぶのは容易に想像がつく。

■黒幕はジョージ・ソロス氏とその影響下にある活動家か

赤い丸がノイバウアー氏(le portail juif fran cophoneより)

 そのあたりを「le portail juif fran cophone」が9月24日付けで興味深い記事を掲載している。「le portail juif fran cophone」とは(フランス語を母語とするユダヤ人のポータルサイト)とでも訳すのであろう。タイトルは「George Soros soutient Greta Thunberg, «activiste du climat»」(ジョージ・ソロスは環境活動家のグレタ・トゥンベリをサポート)というものである。

 ジョージ・ソロス氏は世界的に有名なハンガリー系ユダヤ人の投資家であり、ドナルド・トランプ米大統領と厳しく対立している人物であることは良く知られている。この記事では「グレタは16歳に過ぎず、有名なオペラ歌手で、左翼活動家である母のマーレナ・エルンマン氏が彼女のスタートを助けた」とし、さらにトゥンベリさんのチューターであり、特別なトレーナーとしてドイツ人の活動家の名前を挙げている。それがルイーズ=マリー・ノイバウアー(Luisa-Marie Neubauer)氏(23)である。

 ノイバウアー氏は英語版のウイキペディアで見ることができるが、気候に関する活動家。報道によると彼女はジョージ・ソロス氏が資金提供する団体「ONE」の設立に関わっており、組織の若手アンバサダーであるという。グレタ・トゥンベリさんの活動に常に寄り添い、多くの写真が撮られている。

 既に今年4月25日には「Europe Reloaded」というメディアが「George Soros is backing ‘climate activist’ Greta Thunberg」(ジョージ・ソロスはグレタ・トゥンベリを支援している)という記事を掲載している。内容は「le portail juif fran cophone」と大差なく、「le portail juif fran cophone」がこの記事をベースに書いたと思われる。

■16歳少女の精神的な疾患をも利用したのか?

 こうしてみると、グレタ・トゥンベリさんの背後には巨大な資金を持つジョージ・ソロス氏やその影響下にある環境組織、プロの活動家の存在などが見え隠れする。日本で伝えられるような「16歳の少女の魂の叫び」は実は、環境保護団体や、反トランプ陣営の主張の拡声器の役割に過ぎないのではという疑いが濃厚である。

 しかもトゥンベリさんは精神的な疾患があり、自閉症であることを公言している。この自閉症の特徴として、相互的社会的関係の障害があるという。他人の気持ちを理解できないことはその一つとされると聞くが、そうであれば極めて攻撃的な言葉や、トランプ米大統領に対する不快な表情もその特徴かもしれない。そうした一種の疾患を大人たちが自らの政治主張に利用していたとしたら許し難いことである。

 彼女の精神的疾患を指摘したFOXニュースのマイケル・ノウルズ(Michael Knowles)氏に対して、FOXテレビはすぐに謝罪。以後、ノウルズ氏を起用しないことを明言したのである。

 トゥンベリさんを利用している人がいるのではないかという点は、スイス公共放送テレビ(RTS)が今年8月に直接「あなたが騙され、利用されているという人もいますが」と、問いかけている。これに対してトゥンベリさんは「私が火事を指さして何かしなきゃと呼びかけたとしますよね。周りの人たちは私じゃなくて火事に目を向けるべきだと思うんですね」と答えている。

■「操り人形の糸がはっきり見えた」

 こうした点を踏まえ、「The Babylon Bee」というクリスチャン向けのニュースサイトは9月23日付けで「Marionette Strings Clearly Visible During Greta Thunberg Testimony」(グレタ・トゥンベリの証言の間、操り人形の糸がはっきりと見えた)とダイレクトに報じた。

 記事は記者の皮肉に満ちたものであり、「ある参加者は叫んだ。『ちょっと待って!』。それは操り人形の糸で、サンダーバードみたいなものじゃないか。』などと報じている。このサイトは日本ならスポーツ紙や、夕刊紙の位置付けのようであるが、その分、読者の本音のようなものが隠されていると言えるかもしれない。

 16歳の少女が訴えるからこそ、影響力がある。こうした手法は日本でもよく用いられている。「保育所落ちた、日本死ね」の話や、東京新聞の望月衣塑子記者を支援するためにたった一人で署名運動に取り組んだ中2の女子生徒の話などである。

 こうしてネットでちょっと調べただけでも、スウェーデンの16歳の少女のバックに、どす黒い大人たちの思惑が透けて見えてくる。彼女を英雄視する日本のメディアは少しは考えて報じたらどうかと思う。

"グレタ・トゥンベリ16歳 環境団体のパペットに振り回される国際社会とメディア"に22件のコメントがあります

  1. スプリン より:

    20世紀の紅衛兵じゃないかと想像してたけどあたらずとも遠からずでしたか。

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 matsuda より:

      >>スプリン様

       コメントをありがとうございます。何より許せないのは、彼女の精神的疾患を政治利用した連中がいることです。しかも、それを突いたfoxテレビのジャーナリストがクビになっています。本当に理不尽なことだと思います。

       よろしければまたおいでください。お待ちしております。

  2. 名無しさん より:

    本当に一部のアホが無理やり神聖化しているだけです。

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 matsuda より:

      コメントをありがとうございます。
      僕もそう思います。利用する大人が醜悪だと思います。彼女の将来を考えれば、決していいことではないでしょうね。

  3. みやっち より:

    あのスピーチ俺にはまだたく響かなかった、ヒステリック過ぎる普通の人ならおかしと思いますあれを見て響いたとか言ってる日本の大臣大丈夫か?そっちが心配やけどな‼️

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 matsuda より:

      >>みやっち様
       コメントをありがとうございます。僕もあのスピーチ、憎悪に満ちた表情の彼女の異常性ばかりが目につき、非常に不快に感じました。小泉大臣もちょっと評価を下げましたね。「How dareが」とか言ってましたが、そんなの大人が用意したスピーチですから。

  4. Ashleigh より:

    Babylon Beeは自分でSatireと言っているように、冗談を書くニュースサイトです。クリスチャンのニュースサイトとして裏付けに使うのは不適切ではありませんか。

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 matsuda より:

      >>Ashleigh様

       コメントをありがとうございます。babylon beeの文章については「記事は記者の皮肉に満ちたものであり」と書いているように、そうしたサイトであることは前提の扱いをしたつもりです。冗談を書くサイトであったにせよ、16歳の少女がそう書かれるような存在であること、そうした見方がされていることなどを含めてソースとして扱いました。

       貴重なご意見をありがとうございました。今後に活かしたいと思います。引き続きよろしくお願いします。

  5. かざま より:

    トゥンベリ氏の主張内容それ自体については、コメントは何もないのですか?
    当記事のような背景を踏まえると、氏の主張はこのように解釈すべきであり、それに対する筆者の意見はこうである、といった内容で新記事をお願いします。

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 matsuda より:

      >>かざま様

       コメントをありがとうございます。
       本記事は主張内容以前の問題として主張者のバックボーンを示すことで、その政治的な価値や、主張者の手法の是非を問う趣旨で書きました。

       彼女の主張そのものについては、いずれ、新たな記事を書くかもしれません。その時はぜひとも、ご意見をいただければと思います。
       今後とも当サイトをよろしくお願いします。

      1. かざま より:

        氏の主張内容に対しては何も述べないけど、主張者のバックボーンを示すことで、その政治的な価値や、主張者の手法の是非を問うことはする。
        という行動を、自称ジャーナリストとして「異常だ」と自覚されないのでしょうか。

        されないのでしょうね。ここ日本ですから。。。

        1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 matsuda より:

          >>かざま様

           再びコメントをありがとうございます。
           訴訟においても、訴訟手続きを争点にして本案判決前に却下されることがあるのはご存知かと思います。手続き上の問題があれば本案判決はしないのは当然ですから、その考えはこうした問題でも同様と考えます。ですから、その判断を「異常だ」と自覚することはありません。

           またのご来訪をお待ちしております。引き続きよろしくお願いいたします。

  6. morikana629629 より:

    世界の大人たちが地球温暖化問題にきちんと向き合おうとせず、地球温暖化問題が深刻化していく一方だからこそ、わずか16歳の少女グレタ・トゥンベリさんがこのような地球温暖化問題についてのスピーチをせざるを得なかった。

    そう考えると、地球温暖化問題を放置し続けてきた大人たちの無責任体質が恥ずかしくなります。

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 matsuda より:

      >>morikana629629様
       コメントをありがとうございます。
       地球温暖化問題を放置し続け、最大の二酸化炭素排出国の中国は、特に恥ずかしいと思わないといけませんね。

  7. たけ より:

    グレタさんの指摘も理解できるし、一理あるとは思うけども、其れとは別にやはり経済、お金もそれには伴ってくると思う。
    温暖化に取り組むにしても、そこにはお金が関わってくるし、経済が疎かになりすぎれば割を食うのは貧困層だったりの生活弱者への負担。

    そういった部分を踏まえると、グレタさんの温暖化への提起は評価出て来ても、経済に関してはおとぎ話と言ってしまった事に違和感を感じざるを得ない。
    何故なら、何をやるにもお金が掛かり、経済を度外視して温暖化対策など成り立たないから…

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 matsuda より:

      >>たけ様
       コメントをありがとうございます。
       グレタさんの指摘に対して、欧米でも「彼女の言う通りにしたら世界は破滅する」という反発の声も出てきているようですね。16歳だから無茶を言っても通るという部分はありますが、ここまで世界的な話題になれば「大人の反論」をする人が出てくるのも当然でしょう。
       そういう部分で、子供を利用したプロパガンダの限界が見えてきたような気がしています。

  8. TT より:

    > 最大の二酸化炭素排出国の中国

    最大の二酸化炭素排出国はアメリカと思っておりました。もし、よろしければ根拠を明らかにしていただけませんでしょうか?アメリカの息のかかっていない筋であれば大変参考になります。

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 matsuda より:

      >>TT様

       コメントをありがとうございます。とりあえず、このあたりをご覧になっていただければと思います。
      https://www.globalnote.jp/post-3235.html

  9. 匿名 より:

    なんかもうこういう話が出た時に
    「背後にあるのは何だろう?」と考えもせずに
    「少女が1人で世界と戦ってる」みたいに信じてしまう愚衆や
    または信じ込ませようとするマスメディアも問題なんだよなあ

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 matsuda より:

      >>匿名様
       コメントをありがとうございます。全くおっしゃる通りで、ここぞばかりに飛びついてくるメディアの姿勢は大いに問題があると思います。
       そもそも飛行機に乗らないでヨットを使うという時点でおかしいです。それなら電車も自動車も乗るべきではないでしょう。ちょっと考えれば、おかしな主張をしているなと、分かりそうなものですが。最近はネットの声も厳しくなっていますが、メディアは相変わらずなのが情けないです。

  10. 秋吉万葉 より:

    松田様初めてコメントします。
    伊是名氏のニュース関連でここまでたどり着きました。
    色々な記事を拝読させて頂き、分かり易い記事が多く、大変興味深かったです。

    さて、この記事のグレタ氏の事も何だか遠い記憶に感じてしまうのですが、私もグレタ氏のあの怒気をはらんだ顔には嫌悪感を持ちました。
    そして、最近のニュースでゆたぼんというユーチューバーの中学校に行かない宣言での賛否の話題も、何だかゆたぼんの背後にいる大人が透けて見える感じが似ているものがあるなと感じました。

    何分、私は浅学で文才もないもので、纏まりのない文章かつ上手く表現出来ていないかと思いますが、松田様の記事にはとても興味が惹かれました。
    読ませて頂き、ありがとうございました。

    1. 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 松田 隆🇯🇵 @東京 Tokyo🇯🇵 より:

      >>秋吉万葉様

       コメントをありがとうございます。そして返信が遅れて申し訳ございません。

       記事をご覧になっていただき、ありがとうございます。グレタ・トゥンベリ氏については、自分では建設な的な意見を言わず、「大人が悪い」と叫ぶだけのパペットのようなもので、若いうちはちやほやされても、そのうち、忘れられてしまうでしょう。

       両親が活動家もどきと聞いていますので、その影響だと思います。

       これからもよろしくお願いいたします。

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