コロナを圧倒 台湾の”鉄人部長”支持率91%
葛西 健二🇯🇵 @台北 Taipei🇹🇼
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台湾の新型コロナウイルス対策の司令塔・衛生福利部の陳時中部長が世論の圧倒的な支持を集めています。感染者386名、死者6名(4月10日現在)と世界で最も防疫に成功している台湾の頼れる「鉄人部長」を紹介しましょう。
■蔡英文総統支持60% 防疫対策に満足84%
台湾は1月20日に「中央感染症指揮センター」を設置し、歯科医出身で台湾保健当局の衛生福利部(日本の厚労省に相当)のトップ、陳時中部長が対策本部長として現場を指揮しています。SARS禍(2003年)の際の経験を活かした迅速で徹底的な対策が実施されてきました。感染者、死者数とも他国と比べて少なく、世界で最も新型コロナウイルスの封じ込めに成功した国と言っていいでしょう。
台湾の民間テレビ放送会社TVBSが3月20日から25日にかけて行った電話によるアンケート調査によると、蔡英文総統の支持率は60%で2016年の政権発足以来、最高を記録し、政府の防疫対策に「満足」と答えた人は84%にのぼりました。さらに対策本部長の陳時中氏の支持率は91%と、考えられないような数値を示しています。
指揮センターは1月下旬から連日定例記者会見を開いており、YouTubeでも視聴が可能です。会見では当日の発症件数とともに各案件の案件番号と患者性別、おおよその年齢、感染経路及び症状が詳しく発表されます。
発表を見るたび感心するのは政府が感染経路をほぼ特定できていることです。感染者数や症状、経路については衛生福利部疾病管制署のサイトに毎日報告が載せられ、誰でも閲覧できます(衛生福利部疾病管制署HP)。事実を詳細に述べることで情報の共有が可能となった上に透明性が維持され、陳部長の分かりやすく実直な話し方も加わり、人々の不安解消に大きな効果を発揮しています。
■愛称は鉄人部長・阿中
陳時中部長は防疫に関する奮闘ぶりから「鉄人部長」と呼ばれています。また毎日1~2時間ほど行われる記者会見に1日も欠かさず出席。全ての質問に誠実に答える姿勢や、実直で優しい語り口から「阿中 (中さん)」と親しまれ、絶大な人気を集めています。
中でも印象的だったのは、2月15日に柯文哲台北市長が自宅隔離者にリストバンドを装着させ、常時位置を把握するよう提言したことに対する意見です。陳部長は会見で、自宅隔離されているのは「畢竟是人,他不是豬,他不是一塊肉 (彼らも結局のところ人間であり、豚ではないし、一つの肉塊ではない)」のだから、「應該要有好的關懷系統及社會支持力量 (思いやりあるシステムと社会が<隔離者を>支える力)」が解決の道であることを強調。一人の人間としての目線から発せられたこの言葉には多くの人が共感しました。
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