8割が台湾好き 尋常ではない日台関係
葛西 健二🇯🇵 @台北 Taipei🇹🇼
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台湾に親しみを感じる日本人は8割近くに達することが、台北駐日經濟文化代表處(大使館に相当)の調査で分かりました。日台関係は相思相愛がデフォルトになっているため今更という感じもありますが、二国間の関係で、これほど好感度が高いのは世界的にも珍しいのではないでしょうか。私は台湾在住23年ですが、その間、日台関係も、台湾人の日本に対する思いも大きく変わったことを感じさせられます。
■チュンチュンも一役 日本人の台湾びいき
台北駐日經濟文化代表處は2021年1月6日、日本人1000人を対象に行った「台湾に対する意識調査」の結果を発表しました。「台湾に親しみを感じる」と答えた人の割合は77.6%、これは前回の78.1%とほぼ同水準です(台北駐日經濟文化代表處2019年12月26日)。
代表処は「2016年の調査開始から通して見ても傾向に大きな変化はなく、安定して親しみ・信頼を得、良好なイメージを保っている」「これは台日関係の発展に対する評価の表れ」と分析しています(以上【2020】台湾に対する意識調査報告書から)。
このニュースに関心を示した台湾ネットユーザーの間では、「日本人は台湾のどこ・何が好きなのか」で盛り上がりを見せました。
九份,神隱少女的聖地 (九份、千と千尋の神隠しの聖地だよ)
台南街道的昭和感吧 (台湾の街並みは昭和感が漂う)
滷肉飯 但都有八角 (豚の角煮飯、でも八角が入っているよ)
牛肉麵比拉麵好吃 (牛肉麺は(日本の)ラーメンより美味い)
ASUS的手機… cp值高 (ASUSのスマホ・・・コスパ高い)
因為有峮峮 (チュンチュン<呉函峮>がいるからだろ)(参照:チュンチュン呉函峮と素顔の台湾チアの魅力)
日本人を惹きつけてやまない台湾の魅力について、様々な意見が交わされました(PTT 批踢踢實業坊、yahoo!新聞コメント欄から抜粋)。こうした意見もその通りだと思いますが、それ以上に、日本人は台湾人の心に惹かれているのではないかと、私は感じています。
■日本人の8割が好感を持つ国が台湾以外にあるだろうか
日本人に聞きたいのですが、日本国民の8割が好感を持つ国が台湾の他にあるでしょうか。政治的・経済的には結びつきが強くても、アメリカに好感を持つ人が8割になるとは思えません。基地問題や覇権主義に嫌悪感を持つ人は一定程度存在するからです。
中国や韓国は…言わぬが花。8割が好感を持つというのは、国際社会では珍しいように思います。豪州とニュージーランドなど、歴史的に繋がりが深い成熟した二国間の関係ではあるのかもしれませんが、日台が豪・新のような関係だったかと言えば、それは違うでしょう。
昨今の日本人の台湾への好感度アップは、2011年の東日本大震災時に台湾の人々が見せた支援がきっかけになっていると推測します。当時、台湾からは250億円を超える義援金と600トン近くもの支援物資が送られました。義援金についてはそのうち慈善団体から寄せられたものと直接義援金を届けた個人と団体とで合わせて約220億円にもなります。
それまで日本は近隣に友好国はなく、どちらかと言えば「戦争で迷惑をかけた」と言われ、メディアも自国を被虐的に扱いがちでした。日本人は他国から愛されることに慣れていなかったところに、こうした国ぐるみの支援があったことで、ごく身近にいた友人の存在に気付いたという部分があるのではないでしょうか。
■好感度アップを示す訪台日本人の増加
こうした日本人の台湾への好感度の上昇は、訪台日本人の増加が如実に示しているように思います。
2019年12月9日、訪台日本人延べ人数が年間で初めて200万人を突破しました。2011年130万人、2013年 142万人、2015年162万人、 2017年190万人、2019年217万人と、年々増加(但し2020年は渡航制限のため26万人)、9年間で約7割増です(交通部観光局観光統計資料庫 「来台旅客 Inbound visitors」)。
台北市内でもここ数年、日本人観光客を見かける機会が以前に比べ多くなっています。私の妻が勤める百貨店では、増える日本人観光客対応のため4年前から社内で毎年短時間の日本語研修が実施されています。
また、私の住む地域は台北市街地から山を隔てた場所にあり、観光名所もないごく普通の住宅街なのですが、一昨年ごろから近所の行きつけの水餃子屋さんで日本人観光客を見かけるようになりました。不思議に思い店主に尋ねると「日本の雑誌社が取材にきてその後ガイドブックに掲載された」とのこと。
店主は嬉しそうでしたが、今までガイドブックではまず紹介されなかった地域、更に地元民御用達の店が掲載されたということに、私は「ついにこんなところまで目をつけられたか」と、大げさですが少々危機感を感じたのも事実です。
2002年から2010年を見ると、2002年99万人、2004年89万人、2006年116万人、2008年109万人、2010年110万人。この9年間の傾向は微増または横ばい、若しくは減少となっています。増加率にすると11%、僅か1割増に過ぎません。このように、2011年を境に日本人の訪台が急増しているのは客観的な事実です。
2011年からの9年で訪台日本人が急増したのは、台湾に対する好感度の上昇とリンクしていると考えていいのではないでしょうか。台北駐日經濟文化代表處の好感度調査は2016年から始まっており、それ以前の好感度に関しては推測するしかありません。
しかし、3・11の時の支援の心が契機となって台湾に興味・感心を抱いた人や、(感謝・恩返しの気持ちで)台湾旅行を選んだ人等が訪台数の大幅増加に繋がったように思います。
■憧れから感謝、良き隣人へ 変化した台湾人の日本観
私が台湾に来たのは1998年、今から23年前です。振り返ると当時の台湾の人々は「日本・日本人」に対して何か憧れのようなものを抱いていたように思います。実際私が「日本人」だということに、台湾の人が何かと「好好喔 (いいなあ)」「羨慕 (うらやましい)」と反応する場合が多かったからです。
また当時は日本統治時代を経験した多くの方が存命でした。当時私の住んでいたアパートの近所に幼少時代台湾で日本教育を受けたおじいさんがいました。この方は私を見かけるといつも嬉しそうに日本語で声を掛けてきて、決まっていつも「あの頃はよかった」「懐かしい」と昔を偲ぶ気持ちを口にしていました。
その「憧れ」に新たな変化が加わったのが、1999年9月21日に台湾中部で発生した「921大地震」に際する日本の対応です。921大地震に際して、日本は他国に先駆け国際緊急救助隊として国際消防救助隊員145名を被災地に派遣しました。この救助と活躍は台湾でも連日大きく報道されていました。私はこの日本の支援を機に、日本に対する「感謝」の気持ちが大きくなっていったと考えています。
2011年の東日本大震災時に、台湾の人々が自発的に差し伸べた日本への支援の手。当時台湾のコンビニエンスストアには日本に対する支援金専用のアクリル容器がレジそばに設けられ、どのコンビニでもそこが紙幣で埋められていた光景が強く印象に残っています。当時台湾社会は一体となって日本への支援へ動いていました。
それが921大地震時の日本の支援に対する「報恩 (恩返し)」と「互相幫助 (助け合い)」の気持ちから起きたというのが台湾社会での共通認識となっています(参照:3・11から新型コロナ禍へ続く日台友好「一起抗疫、一起加油」 )。
つまり、日本も台湾も、苦しい時に手を差し伸べてくれた相手への感謝を忘れず、信頼関係を高めていったのです。
ここに至り、台湾の人々にとって「日本」とは、互いに「助け合う」べき「好鄰居 (良きご近所さん)」へと変化を遂げ、2016年の熊本地震及び台南地震に対する官民含めた支援活動等、助け合いの精神は今でも続いています。これが現在の緊密な日台関係の根底にあると考えています。
「憧れ」から「感謝」そして良き隣人としての「助け合い」へと変化してきた台湾の人々の対日本観。最近、台湾では昨年夏頃から次のようなメッセージを目に、耳にする機会が増えています。
Taiwan can help
コロナ封じ込めに成功し「自信」を得た台湾が世界へ伝えるメッセージです。日本だけでなく世界が、成功のモデルケースである台湾の一助で、難局を乗り越えることができるよう、台湾の人々は願っています。
■日台友好は貴重な財産
世界的にも珍しい日台の信頼関係、相思相愛の関係は、両国にとって貴重な財産です。これからもお互いに良き隣人を大事にして、成熟した両国関係を築いていこうではありませんか。
とても感動しました。
日本の周りには、北朝鮮、中国、韓国と言った、およそ、仲間とは呼べないような国が並んでいます。それらの国の中には、日本との関係ばかりでなく、世界的にも問題とされる国も含まれています。
日本の周りは敵だらけと、悲観的になりがちですが、そうではないんだ、こんな近くにこんなに大切な仲間がいたんだと、改めて思い起こさせてくれる記事でした。
ありがとうございました。
名無しの子 様
ありがとうございます。
義理人情に熱い台湾の人、
コロナの影響が深刻な日本に
何か手助けしたいとよく口にしています。
匿名様
ありがとうございます。日本と台湾の絆、これからも大切にしたいですね。